おまけ:メアとファナの旅2
久しぶりのおまけ話の更新になります
長旅の疲れをしっかりと癒した私たちは、ギルドに向かうことにした。
「ここがネイシス支部のギルド……」
「大きいわねぇ~」
この大きさで支部だというのだから本部の大きさは計り知れない。
「とりあえずはいりましょ~」
「うん……」
私がギルドの扉を開けると、そこには活気に満ちた空間が広がっていた。
「凄い活気……」
「そうねぇ~トルコの街とは大違いねぇ~」
そんな風に感心していると、後ろから一人の青年がギルドの中に入ってきて、話しかけてきた。歳は20代ほどだろうか。
「お、あんたら見ない顔だな」
「今日初めてここにきたんですぅ~」
「そうか。 あんたらギルドカードは持っているか?」
「持ってる……」
ワタシとファナはポケットの中からギルドカードを取り出した。そこには階級Sと書かれている。それを見た青年はとても驚いた顔をしていた。
「マジかよ……階級Sの冒険者って……これは俺が偉そうに何も言えないな……」
「何かあるんですかぁ?」
「いや、このギルドは三階建てでな、一回は階級Cまでのやつらが集まっているんだよ。 んで、そこで最近好き勝手やっている【竜の瞳】ってやつらがいるんだが、そいつら全員そろいもそろって女好きでな……しかもなまじ階級Cがあるから、新人の女冒険者が良くねらわれるんだよ」
「怖いですねぇ~」
「まぁ、あんたらなら大丈夫だろ。 んじゃあ俺はこのあたりでお暇させてもらうよ。 あ、あと階級S以上の人たちは三階だから、そこに行くといいぜ」
「ん、ありがとう……」
「いいって、気にすんな」
そういって青年は手を振りながら、二階へ上っていった。
「良い人でしたねぇ~」
「うん……」
「さて、では三階に行きますかぁ~」
「うん……」
私とファナは、三階に向かって、階段を上った。
「凄い……」
「まぁ~」
そこは一階とは比べ物にならないほど、落ち着いた上品な空間が広がっていた。アンティーク物から業物など、派手さこそないが明らかに高価だとわかるものがセンスよく陳列されている。
「おや、見ない顔ね。 どうしたのかしら」
私たちがこの空間に呆然としていると、カウンターにいたエルフの受付嬢に声をかけられた。私たちはその受付嬢のいるところに向かって歩いていった。
「どうかしたのかしら?」
「あなた、誰……?」
「あっ! 失礼したわね。 私はステルクロニア。 このギルドのギルドマスターをしているわ。 よろしくね」
「ステルクロニアって……元【幻想】の……?」
「よく知っているわね。 そうよ、昔は冒険者として活動もしてたわ」
「メア、それよりも話すことがあるでしょ~?」
「あ、そうだ……ステルクロニアさん」
「ステアでいいわよ」
「ステアさん……ミラトって名前聞き覚え……ない?」
「このギルドに登録されてはないはずよ……少し待っててね」
ステアさんは、カウンターの奥から名簿のようなものを取り出してパラパラとめくりだした。
「う~ん、やっぱりないわね」
「そう……ありがと……」
私とファナはステアさんにお礼を告げると、その場を離れた。
大まかにはなりますが、時間軸としてはミラトがギルドのに来る前になります