勝利宣言
「よし、じゃあ素材の回収も終わったし、帰ろう」
「そうですね」
「そうだな」
「早く酒が飲みたいぜぇ……」
「皆さんも、今から地上に戻りましょう」
「「「「「「「「「「おぉ!」」」」」」」」」」
俺達は今まで来た道を戻りだした。
「さて、この縦穴をどうするか……」
一番最初に飛び降りた穴が見えてきた。
「それは大丈夫だよ」
「そ、そうか……また何かやらかしたりしなければいいが……」
「シンラの中の俺は一体何なのさ……」
「物に例えるなら、ビックリ箱だな」
ビックリ箱って……そんなに驚くことばっかして……いる気がする……うん、言及するのは辞めにしておこう。そんなこんなしているうちに穴が見えてきて、日の光が差し込んでいた。
「おい! かえってきたぞ!」
穴の見張りをしていたであろう冒険者が、俺たちの姿を見るなり、そんなことを言いながら穴を離れた。きっと報告しに行ったのだろう。
「じゃあみんな、穴の真下に来て」
おれは、穴の真下にみんなを集めると、土魔法を発動させて、穴を埋めながら上昇しだした。
「これなら穴も埋めれるし、一石二鳥でしょ?」
「まぁ、そうだな」
「それよりシンラ」
「ん?」
「そろそろ地上に戻るからさ、何か一言言ってやりな」
「あぁそうだな」
その直後俺たちは、地上に戻ってきた。なのになぜか、シーンとしている。するとシンラが少し前に出て、話し始めた。
「皆の者、よくやってくれた! そなたらの力添えのおかげで、無事に女王を討伐することができた!」
「つ、つまり……」
「あぁ……この戦い、我らの勝利だ!!」
「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!」」」」」」」」」」
シンラが右腕を天に向かって伸ばすと、それに呼応するかのように、冒険者やギルド職員に騎士、さらには周囲の住人の雄たけびが聞こえてきた。皆、性別や年齢を気にせず、幸せそうな顔で抱き合ったりしている。それを見ているシンラに俺は近づき、声をかけた。
「守れてよかったね、シンラ」
「はい……本当によかったです」
シンラはうるんだ瞳でその光景を見ていた。
「本当に……ミラトさんがいなければどうなっていたのやら……」
「辞めてよそういうの」
「ですが事実です。 せめてお礼は言わせてください」
「分かった分かったから、そんな頭を下げないで! ほら、あそこにいる騎士たちがこっちに来たから! ね?」
「分かりました。 では私は彼らに報告に行ってきますので」
「うん、またあとでね」
「はい」
俺とシンラは一旦別れた。
「さてと、じゃあリリー、俺たちはステアさんのところにでも行こうか」
「分かりました」