巣の中
書くことが見つかりません。なので本編へどうぞ
巣の中を歩きだした俺たちは、警戒心を高めながら進みだした。魔力を温存するために都有から使用してなかった索敵魔法も再開してもらっている。
「左横の通路から反応在り、数は五十ほど!」
「分かった、俺が対応する!」
俺は索敵の報告を聞き、左の通路に左手を向けて土魔法【岩氷柱】を放った。通路の上部が変形し、迫りくる蟻たちの真上から降り注いだ。
「反応は?!」
「なくなりました!」
「よし、行こう」
この際素材はどうでもいい。今最優先するべきはこの異常の解決だ。
「右上の通路から三十体、来ます!」
「誰か頼む!」
「はい!」
リリーが右上の通路に向かって氷の魔法を放った。こんな感じで基本的に索敵に引っかかた敵を、魔力の多い人が迎撃していく戦法で突き進んでいった。
そんな状態を一時間ほど続けていくと、大広間のようなところに出た。その奥に何倍もの大きさの通路がある。恐らくあそこの通路が最深部に繋がっているのだろう。
「あの通路が……」
「恐らくあの奥が最深部でしょうね……」
「よし、じゃあ……」
「待ってください!」
通路に向かっていこうとしたら、索敵している人からストップがかかった。そしてその直後、衝撃の事実を告げられた。
「敵の反応がありました……約五万の大軍です!」
「五、五万……そんな……」
「お、終わりだ……」
「ど、どうする?!」
「お、俺に聞くなよ!」
「じゃあどうすんだよ!」
皆が狼狽えている。そんな中、パン!っと誰かが手を叩いた。
「皆、落ち着いてくれ」
そう声をかけたのはシンラだった。ざわついていた人たちもシンラの声を聞いて一旦話すのを辞めたようだ。
「騒いでいても仕方ない。 とにかく幸いなことにまだ敵は姿を見せていない。 ならまだこちらにできることがあるはずだ」
「できることって、罠を張るのか?」
「あぁ」
「で、でもこの数に道中で張った罠を使っても焼け石に水だろ?!」
「なら規模をでかくすればいい。 ミラト、可能か?」
「あぁ。 それなりに魔力は消費するが可能だよ」
「だそうだ。 ミラトが罠を張っている間、俺たちはミラトに近づけないように耐えるんだ」
「だ、だけど……どうやって耐えるんですか?!」
「セーフゾーンを作ろう」
「セーフゾーン?」
「安全な空間を一定範囲確保することだ。 今回なら……俺たちが来た通路のすぐそばがいいだろう」
俺たちの後ろには通路は一つしかない。その通路をセーフゾーンにすれば、防衛も楽にできるし、いい案だろう。
「そうだ。 じゃあ、これも使おう」
俺は土魔法で六体の大人二人分の高さのゴーレムを作り出した。ゴーレムと言っても、たいして殺傷能力はない。今回は完全に足止めを目的としている。
「じゃあ最後に確認だ。 ミラトが罠を張っている間、俺たちは通路を背に耐える。 そしてミラトの罠が起動するのと同時に反撃に転じる! 何か不満のあるものは?!」
静寂の中、そこで一人だけ声を上げたものがいた。
「すみませんが、私はミラト様に同行します」
リリーだった。
「リリーシャ殿か。 分かった、それで構わない。 ほかに何かあるか?!」
シンラの問いかけに反応するものはいなかった。
「よしj、じゃあさっそく容易に取り掛かるぞ! 索敵係は常に索敵をして、距離が近づいたら教えてくれ!」
「「「はい!」」」
皆が縦鼻を始めだすと、シンラがこちらに駆け寄ってきた。
「この作戦はミラトさんにかかっています。 どうか……頼みます!」
「任せて!」
「期待してます!」
そういって離れていった。そして大広間のようなところに出てから約五分が経とうとしていた時、だんだんと近づいてくる蟻たちの足音と共にもうすぐ接敵すると告げられた。
「よし、皆これが本当に最後の正念場だ! 必ずこの窮地を切り抜けるぞ!」
「「「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」」」
「さてと、リリー……いける?」
「いつでも!」
「よし、じゃあ……行きますか!」
蟻たちの先頭の姿が見え始めたと同時に、俺とリリーは飛び出した。