閑話:年の終わり
今年ももう終わりですね。そんなときの暇つぶしに是非!
「今年もいろいろありましたね、ミラト様」
「そうだね~」
「キュイ~」
俺達は異世界人の発明したこたつと呼ばれる物に入りながら、今年を振り返っていた。
「なんといってもまず」
「アレックス先生のことかな」
アレックス先生の素性は驚きだった。あのけだるそうな先生がまさかエリートの集まりである王直属魔法剣士の、しかも元隊長だなんて到底信じられない。だがそれを裏付けるような体さばきは見事としか言いようがなかった。
「あとは……」
「ミロちゃんですかね?」
「キュ~イ!」
高らかに鳴き声を上げて、リリーにすり寄っていき、そのままリリーの顔の周りをくるくると回りだした。数回ほど回ったところで俺の元に寄ってきて、俺の頭の上に乗った。
「結局ミロはここかい?」
「キュ!」
「そこはミロのお気に入りですからね」
「キュキュ!」
「ハハッ、まぁ構わないけどね」
今は俺の頭の上で遊んでいるミロもれっきとした魔龍だ。そのうちかなり強力な力と、それに見合った体格を持つようになるだろう。懐いてくれているのはありがたいのだが、今の感覚のまま、大きくなった体格でくっつかれたら……いや、考えるのはやめておこう。怖すぎる。
「後はクラスメートの皆さんのお家に行きましたね」
「そうだねぇ……そうだ、その時貰った茶葉、今少し飲もうか」
「あ、私淹れてきますよ」
「いや、いいよ。 この、蒸らしている時の香りも好きなんだ」
「そうですか、ならありがたくお待ちさせてもらいますね」
「ほら、ミロ。 リリーのところに一旦いてね」
「キュ~!」
俺の頭からミロが離れ、リリーの肩に乗ると、そこで丸くなった。
「じゃあリリー、ミロをお願いね」
「はい、お待ちしております」
俺は、こたつから出ると、寒さに身震いしながらキッチンに向かって、紅茶を淹れてこたつに戻った。
「はい、リリー」
「ありがとうございます」
そこから少し、沈黙が続き、そのあと俺とリリーはまるでたらし合わせたようにホッと息をついた。
「落ち着くねぇ……」
「ですねぇ……」
その後もリリーと、あんなこと、こんなことがあったねと、和気あいあいと話していた。
「お、そろそろ今年が終わりそうだね」
「もうそんな時間なんですね」
「今年もいろいろあったねぇ……」
「そうですね」
「来年もいいことがあるといいね」
「そうですね」
「キュイ!」
俺達はそんなことを話しながら残り少ししかない今年を過ごした。
本年も私の作品、鏡魔法をご愛読いただき誠に感謝しております。読んでくださる皆様のおかげで、私のこの活動が続けていられていると言っても過言ではありません。来年度は受験期となるため更新率は低下傾向にあるとは思いますが、どうぞ長い目で更新をお待ちくださると幸いです。
最後にもう一度、ご愛読いただきありがとうございました!良いお年を!