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ギルドカード

また暴れます。

「二度とこのようなことは致しませんので! どうか!」

 と、目の前で屈強な男性と胡散臭そうな男が土下座している。


 なぜこんなことになっているかというと、遡ること約一時間前……













「さてと。路銀も手にいれたから早く母さんのところに行ってやらないと」

 と、ギルドの倉庫を出た俺はお見舞いの品に果実をいくつか購入しに青果店に駆け足で向かった。


 たまにはいいものを食わせてやろうと思い、俺はこの町で一番大きい建物を持つ青果店、【ルード青果店】にやってきた。


 カランカラン

 と、軽快な音を鈴が奏でて俺を出迎えた。


「これは! これは! お客様ぁ! 本日はぁ、なにをお求めですかぁ?」

 と、ちょびひげを生やし、もみ手をしながら胡散臭そうな男が近づいてきた。


「あ、あぁ。実は病弱な母親のために見舞いの品を持って行ってやりたくてな」

「失礼ながらお客様。その母親とはどこにいらっしゃるのですかな?」


 と、聞いてきた。別に隠すことでもないので俺は、

「キョウマの村です」

 と、答えた。


 すると、店員の態度がガラリと変わった。まるで汚いものを見るような、そんな目をしていた。


「ちっ! 田舎もんかよ! 田舎もんは田舎もんらしくその辺を落ちてるもんでも拾ってきな! ここは高位冒険者や、貴族様御用達の店なの! どうせ階級Cとかの貧弱冒険者なんでしょ?! ほら!シッシ!」

 と、言ってきた。まだここだけなら俺は耐えられたかもしれない。


 しかしこいつは俺に向かって言ってはいけないことを言った。


「ちっ! こんな薄汚い男の親もきっと薄汚いんだろうな! ったく、さっさと死んじまえよな。薄汚い奴なんて」


「なん……だ、と……?」

「あ? まだいたのかよ?」

「今……何て、言った……?」

「お前の親なんてさっさと死んじまえばよかったんだよ」


 ガタ! ……ドンッ!


「お前! もう一度言ってみろ! 次は……殺すぞ?」


 と、気づいたら胡散臭そうなやつを胸倉をつかみながら床にたたきつけた。 

 殺気を出しながら。


「ひっ! ぼ、僕は男爵家のじ、次男だぞ?! こ、こんなことは許されないんだぞ!」


 こいつ貴族家の出身なのか。だが今の俺にとっては、


「だからどうした? そんなこと言いだしたら俺は……」

 と、言い切る前に奥のドアからいかにも強そうな男が現れた。まさに屈強とあらわすのがふさわしいだろう


「誰だ?! 俺様の店で騒ぎを起こすのは?!」

「ル、ルードさん! あ、あの薄汚い冒険者です!」


 と、俺を指さしてきた。ルードと呼ばれた男は俺の方を向いた。

 俺はそいつと、その後ろに逃げた男に向かって殺気を少しだけ強くした。


「おう、あんたか。ここは俺の店だ。好き勝手するのは止めてもらおうか?」

 と、相手も殺気を放ってきたが、まだまだつたない殺気だ。


「ル、ルードさんは元階級Aの冒険者で、伯爵家の三男なんだ! お、お前の村なんて吹っ飛ぶんだからな?!」


 あのヤジうるさいな。


 するとルードとかいう男は俺を睨みつけると、

「と、言うわけだ。さっさと出て行ってもらおうか。だが有り金はおいていけ? 迷惑料を払うのは当然だろ?」


 と、俺の財布に向かい手を伸ばしてきた。俺はその手を払いどけた。

「黙れ……俺はそいつを殺してやるんだ。邪魔するならお前も容赦なく殺すぞ?」


 手を払いどけられた男はその手を抑えていたが、思い通りにいかず、ご立腹のようだ。


「お、お前ぇえええええ!! ただで済むと思うなよ!!」

 と、殴りかかってきた。


「……【物理反射(バリア)】」


 俺はその腕を弾き飛ばした。


「お前から仕掛けてきたんだからな? 恨むなよ?」

 と、言い、動きながら言った。この時かなりの殺気を出していたと思う。あの時に周りにほかの人がいなくてほんとに助かったと思う。


「安心しろ、殺しはしない……【衝撃(インパクト)】」

「がはぁ……!」

「……【衝撃(インパクト)】」

「ぐはぁ!」

「……衝撃(インパクト)】」

「止め……!」

「……【衝撃(インパクト)】」


 と、数えてはないが数十は撃ち込んだと思う。


「もう許さねぇ! お前なんて国王に進言すれば、一撃で首が飛ぶんだぞ!」

 と、吠えてきた。普通なら聞くかもしれないが、俺はつい、


「ふふっ、ふふふっ、ふはははははは!」

 笑ってしまった。


「な、何がおかしい!」

 まぁ、そうなるわな。でもさ?


「国王ごときで俺は殺せないよ?」

 と、新しくオリハルコンで作られた()()()()()()と、無数の鏡を作り出した。


 オリハルコンで作られたギルドカード。すなわちそれは【伝説職業(レジェンドジョブ)】であることの証明。階級はEXとなる。アダマンタイト買取後にレントルの爺さんにもらったけど早速役に立ったな。


「な、え? ……え? ……え?」

 と、放心している。


「どうも薄汚い【鏡魔術師】の者です。以後お見知りおきを」

「あぁ……あぁ……あぁ…………」


 あの胡散臭そうなやつも気づいたようだ。だがもう遅い。

 さて、大男の方は……?

「申し訳ございませんでした!」


 そして冒頭に戻る。


 流石に土下座されると罪悪感が芽生えてくる。

「さっきのことは水に流す代わりに見舞い用の果実を見繕ってきてくれないか?」


 うん。俺がこんな偉そうなのもおかしいよね。

 でも、へりくだるのもなんか嫌だったし……


「は、はい! 直ちに!」

 と、ルード達はすぐに果実を見繕ってくれた。


 なんやかんやで暴れた感がすごいけど、用事の終わった俺は【キョウマの村】に向かうため、【移り鏡】を開いた。


次で一章を終わりにしようと思います。

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