迎撃
明日、クリスマス閑話と短編投稿予定です!
「【焔の街道】!」
俺の放った魔法は、洞窟の両端に沿うように炎の道が現れた。この炎により、【ライトベール】でおおわれていないところも幾分か見やすくなった。
「皆さん、手前からしっかりと落ち着いて、ゆっくり詰めていきましょう!」
俺は周りに指示しながら前に飛び出し、騎士の盾に攻撃していた兵隊蟻を、雪月花で薙ぎ払った。
「た、助かった!」
「一旦下がって回復して下さい!」
「わ、分かった!」
俺は攻撃をくらっていた騎士をいったん下げ、回復してもらった。
「刀術【燕返し・半月】、【同調斬撃】!」
俺は体制を低くし、右腰のあたりから、左腰のあたりまで半円を描き、今度は左腰から右腰にかけて半円を描きながら、兵隊蟻を斬りつけた。さらに、斬り始めから、【同調斬撃】を起動したことによって、兵隊蟻らの群れのど真ん中や、奥の方でも不自然に半月型の空間が出来上がった。
「すげぇ!」
「お、俺だって!」
「む……ミラトにだけに良いかっこさせねぇからな!」
俺が褒められているを見て、なぜかメネリアスがやる気を出して、魔剣マジックカノンの、魔力圧縮でメネリアスの眼前にいる兵隊蟻を薙ぎ払った。
「おー、メネリアスもう使いこなしているんだね」
「へへっ、まぁな!」
「さすが階級S」
「……バカにしてるのか?」
「いや、シンプルに褒めているんだよ?」
「ならいいか」
「……」
「その調子で頑張ってね!」
「ミラト様、私も見てください!」
「ど、どうしたのリリー?」
俺がメネリアスをほめると、それにリリーが嫉妬しているようだ。かわいい。
「【氷華】! 【氷蔦】!」
リリーが二種類の魔法を兵隊蟻の群れのど真ん中に放った。すると、群れのど真ん中に人二人分ほどの大きさの薔薇が咲き、花弁の中にたくさんの兵隊蟻がの姿があった。そして薔薇は砕け散り、花弁が鋭くなり、あたりに散らばり、他の兵隊蟻を攻撃した。欠片なのでさほどダメージはないが、今回のような持久戦には少しでも全体にダメージを与えるのはかなり有効的だ。
さらにもう一つの魔法は、床から四本ほど現れて、複数体兵隊蟻に絡まると、棘が伸び、装甲を貫くと、その穴から凍りだした。
「どうですか?!」
「う、うん……その調子で頑張るのはいいけど、頑張りすぎないでね?」
「はい!」
なんだろう、今のリリーはなんか、クラスメートがいるときより、積極的になっている気がする。そんな感じのまま、戦闘が続いた。