着替え
視点戻ります
地上での防衛戦が終わり、十分ほど休憩をとることとなった。
「あ、ミラト様!」
「リリー!」
「お疲れ様です」
「そっちこそお疲れ様。 ところで……【銀園主】って何?」
「そ、それは……触れないでいただけると、助かるのですが……」
珍しくリリーが照れているような、困っているようなそんな表情をしている。
「まぁ、いいか」
「あ、ありがとうございます!」
「夜にしっかりと聞くからね」
「……はい」
一瞬助かったような表情をしたけど、逃げれないと知ってシュンっとした。ごめんリリー、気になるものは気になるんだ。
「あ、そうだリリー」
「はい?」
「一回鏡の部屋に戻って着替えてこようか、ほら制服だし」
「確かにそうですね」
一応武器とかは持っているが、制服は激しい戦闘を想定していないため、万が一があると命取りになる。
「じゃあとりあえずシンラに声をかけてから行こうか」
「そうですね」
俺達は騎士たちの近くにいるシンラに向かって歩き出した。シンラは何か騎士団と話していたが、俺たちが来ているのを確認すると、騎士たちに軽く手を上げて話を一度遮り此方に寄ってきた。
「どうしましたか、ミラトさん」
「今から一度鏡の部屋に戻って、着替えてこようと思うんだけど、シンラも一旦着替えに行く?」
「じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「おっけ」
「では、騎士たちに伝えてきますね、少しお待ちください」
シンラは騎士たちの方に駆け寄り、二言ほど話してからこちらにやってきた。
「では、よろしくお願いします」
「うん」
俺は移り鏡で先に王城に転移した。シンラは一度王城の奥に行くと、数分後に着替えて帰ってきた。服装は最低限の防具に腰にメインとなる雷の魔剣、万が一のための短剣にポーションなどが入っている空間拡張の効果のあるポーチなど、まさに典型的と言っていい冒険者の格好をしている。
「お待たせしました!」
「いや、そんな待ってないよ、じゃあ次は俺達だね」
「はい!」
もう一度移り鏡を使い、今度は鏡の部屋に転移した。
「じゃあシンラ、少し待っていて」
「はい」
「リリー、急ごう」
「はい!」
数分後、俺たちはいつもの服に着替えて出てきた。
「よし、じゃあ戻ろう」
「はい」
「分かりました」
「キュイ!」
「「「ん?」」」
「キュイ?」
「ミロ?!」
俺のローブのフードから、悪戯が成功したような無邪気な声を上げているミロがいた。
「ミロも来るのかい?」
「キュ~? キュイ!」
「そうか、ならせめてフードの中にいてくれよ?」
「キュイ!」
「じゃあ改めて、行こうか」
「はい!」
「分かりました」
「キュ~イ!」
俺は移り鏡を出して、元の場所に戻った。