銀園主
今回までリリーシャ視点です
何でしょう、この感覚。初めて使うのに妙に身に染みているというか、手に取るように使い方が分かります。
「キシャァァァァァァアア!」
「「「「「キシャァァァァァァァアア!!」」」」」
私の変化を感じたのでしょうか、将軍蟻は手駒である兵隊蟻を放ってきました。
「っつ!」
私は反応が遅れ、顔の前で腕を交差させて、目を瞑ってしまいました。しかし、衝撃は来ませんでした。その代わりに、装甲がきしむような音がしました。
「な、何が……?」
私が目を開けると、そこには白銀の蔦で体を貫かれた兵隊蟻がいた。
「キ、キシャァァァァァア!」
流石に私を脅威と感じたのか、大慌てで命令をして、兵隊蟻達を私に向けてはなってきました。しかし、先ほどのことで、私は完全にこの【白銀の園・大華主】を理解することができました。
「無駄です」
私が手を前に出すと、それに呼応するように、無数の茨が兵隊蟻達を雁字搦めにし、そのまま茨に生えている棘で、体を貫きました。
「「「「「キシャァァァァァアア!!」」」」」
私はそのまま歩き出し、将軍蟻に向かっていきました。
「キ、キシャァァ……キシャァァァァァアア!」
手駒を失った将軍蟻は、一度後ずさりしましたが、プライドがゆるさなかったらしく、突撃してきました。
「最後は将らしく、華々しく散ってください」
私が手を前に出すと、蔦がするすると将軍蟻の体に絡みつき、がっちりと押さえつけました。
「キ、キシャァァァァァア!!」
じたばたと、何とか蔦をちぎろうともがいていますが、蔦といえど白銀で出来ているのでちぎれません。
「お別れです。 中々に厄介でした」
わたしがそういうと、蔦がさらに太くなり、ついに蔦で包みこみました。そしてどんどんど持ち上げていき、空中三メートルほどのところで、白銀で出来た薔薇が咲きました。雄蕊のところに、恐らく将軍蟻の魔石と思われる魔石が、輝きを放ています。
「ふぅ……」
私の方がひと段落したので、周りに目を向けてみるとまだ戦闘が続いていました。
「皆さん、お手伝いいたします」
私が手を振るうと、白銀で出来た茨が、次々と兵隊蟻達を貫いていきます。瞬く間に、あたりには見当たらなくなりました。
「みなさん、お疲れ様です。 そして、ありがとうございました」
私はその場で、胸に両手を当てて、お礼を伝えました。するとこんな声が聞こえてきました。
「すげぇ……」
「な、なんて美しいんだ……」
「まるで、銀の花園の主人のようだ……」
「あ、あぁ……」
「銀の花園の主人……なら、【銀園主】なんてどうかしら……」
「いいなそれ!」
「「「「「「「「「「銀園主! 銀園主! 我らが銀園主!」」」」」」」」」」
なにか、取り返しのつかないことになった気がします……