第二波
今回のこの異常の解決でこの章を終わる予定です
「魔物が出てきたぞ!!」
俺達がそんな話をしていると、穴のすぐ近くにいた誰かがそんな大声を上げた。その大声を聞いた騎士団と、冒険者である俺たち全員が穴の方に意識を向けた。
カサカサカサカサカサカサ…………
独特な音と共に穴からワラワラと現れた。
「多いな……」
その数、およそ三百匹ほどの兵隊蟻二十体ほどの将軍蟻、それに今回初めて出てきただろう五匹の戦闘蟻だ。この中で特に危険度が高いのは個体数の少ない戦闘蟻だ。どちらも兵隊蟻の上位種ではあるが、全体の統率能力が進化したのが将軍蟻で、装甲が厚くなり、牙はさらに鋭く、大きくなったのが戦闘蟻だ。名の通り戦いに特化しており、その戦闘力の高さから、討伐推奨レベルはAに登録されている。
そんなことを考えていると、
「お、おい、どうするんだよ!」
「お、俺に聞かれても……」
という声があちこちから聞こえてきた。
「さて、じゃあ俺が指示しますか」
「お! 鏡魔術師様直々にか?」
「頑張って下さい!」
「メネリアス茶化さないでくれ」
「いや~すまんな」
「リリーありがとう」
茶化しと声援をうけた俺は、大きく息を吸い込み大声で声を発した。
「ここからはこのミラトが全体の指揮を執る! 不満があるかもしれないが聞いてくれ! 騎士団の方々は守備職の方と共に前線の維持と守護を!」
「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」
「その他階級B以下の戦闘職冒険者たちは近くにいる人たちで五人から十人で魔物に対処、階級A以上はソロで魔物に対処しながら、劣勢になりかけているところのアシストに!」
「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「回復職などの後衛職は自らの身を守りつつ、守備部隊を優先的に補助!」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「そして守備部隊の指揮はガナスに、後衛職の指揮はユファさんに、そしてその他の指揮は俺とメネリアス、そして俺の仲間のリリーの三人で指揮を執る。 緊急時の時は一番近い指揮者の指揮に従ってくれ! では、行動開始!!」
「「「「「「「「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」」」」」」」」」」
空気を揺るがすような声と共に俺たちは行動を開始した。俺は率先して魔物の群れに向かうと、鼓舞の意味を込めて、魔法【炎王の拳】を放った。
炎王の拳については次回説明が本文にあります