現場2
書き溜めってこういう時便利ですね
ガナスと別れた俺たちは、数十メートルほど離れたところにいる、ユファと、騎士団の近くに向かった。
「お疲れ様ユファさん」
「ミラトさんにリリーシャさん、お疲れ様です。 それと、シンファルラ殿下で間違いないですよね?」
「えぇ、そうです」
「シンファルラ殿下に向かって烏滸がましいことは承知の上で、申させていただきますが、私は平民の出なので、礼儀や口調は高貴な方々に比べて疎いため、ご寛恕を乞う次第でございます」
「私は今ここに、王族のシンファルラ=フォン=ネイシスとして来ているのではなく、一人の冒険者のシンファルラとして来ています。 なのでそんなにかしこまらないでください」
「そういってもらえると助かります」
ガナス同様、ユファさんもシンラに向かってかしこまる態度をとっていた。シンラも慣れているようで、さっきと同じようなことを言っていた。
「何か問題でもございましたか? ……こ、これは殿下?!」
ユファさんを俺が呼び出してしまったから、呼び出されたユファさんの様子を見に来た騎士団がシンラを一目見て、大声をあげながら跪いた。
「跪いてなくて立ってくれ。 それと、君の所属しているところと、責任者をおしえてくれるかい?」
「は、はい! 私は騎士団守護部隊【龍の鱗】第七分隊所属ソルであります! 分隊長はリュエン分隊長であります!」
「情報感謝する。 それと、分隊長を呼んできてくれると助かるのだが、頼んでもいいか?」
「は! 承知しました!」
そしてソルと名乗った騎士は、ほかに騎士たちが集まっているところに一目散に向かっていき、集まっている騎士の中でも特に上質な鎧を着た騎士に声をかけた。声をかけられた騎士は話を聞くと、かぶっていた鎧兜を脱ぎながらこちらに向かってきた。
「はぁ、はぁ……お、お待たせしてしまい申しわけございません殿下。 騎士団守護部隊【龍の鱗】第七分隊分隊長リュエン、参上いたしました」
「ご苦労」
「して、どのようなご用件ですか?」
「今回のことで、騎士団と冒険者の協力体制を取ることになるだろうから、今現在騎士団の消耗と、配置などの相談をしたくてな」
「なるほど、ではこちらに。 それで、お連れの方々はいかがしますか?」
「ミラト、どうする?」
「俺たちはいいや、ユファさんに用事があっただけだし」
「だ、そうだ」
「承知いたしました」
そして、シンラはリュエン分隊長と騎士のいるところに向かっていった。そして、俺とリリー、ユファさんの三人になると、俺は、ユファさんに話しかけた。
「それで、付与はどんな感じに?」
「そうですね、まず騎士団員五十人の武器すべてに私の使える風刃の効果を付与済みですが、何分急ぎだったため、もって効果は十分持てばいいといったところでしょう」
魔物を討伐した後、すぐにそれだけの時間効果を維持できる付与を五十人分できる点は、技量、魔力量共にやはり階級Sという事だろう。
「まぁ、おかげで魔力も大量に消費してしまったので、二回目の付与は難しいですね。 それどころか、自分の身を守るので精一杯かもしれません」
それはまずい。ユファさんの存在は戦力の増強に加えて、階級Sの冒険者がいてくれているという心の支え、いうならば、他の冒険者のモチベーション維持に少なからず関与している。
もしユファさんが倒れてしまえば、少なからず全員に動揺が走り、どこか意識に綻びができてしまう。そうなればそこから崩壊するのも時間の問題となるだろう。
「なら、これを受け取ってくれない?」
俺はガナスと同じように、鏡の世界から、俺の使ってないものを取り出した。
「これは?」
それはとてもシンプルなネックレスだ。銀色のチェーンに、真ん中に小指の爪ほどの大きさの水晶がついている。
「【魔壁のネックレス】という魔法道具で、周囲から魔力を吸収し、一定数魔力が溜まるとその水晶が光るんだ。 そしてその状態になると、致命傷を一度だけ防いでくれる障壁を展開するんだ」
「そんないい物を……」
「それだけじゃなくて、障壁を発動させていないかつ、持ち主の魔力が満たされていないとき、周囲から吸収した魔力を持ち主に送り込む効果もあるんだ」
「う、受け取れませんよ!」
いつも落ち着いているユファさんが珍しく慌てた。確かに希少な効果を持つ魔法道具で、普通に入手しようとすれば三百万ルナ、つまり白金貨三枚はくだらない代物だからだ。でもそれを惜しんで、その結果、今回の異常で死傷者などが出てしまえば意味がない。
「いや、俺は使わないし、それに今回地上班と、攻略班に分かれるんだけど、ユファさんたちはきっと地上班になる可能性が高いから、もしものために持っといてくれると助かるんだけど、どう?」
「で、ですが……」
「いいから貰って!」
「え、あ、はい……ありがとうございます」
半ば強制的にユファさんに渡し、装備したところを確認してから、俺たちはメネリアスのいるところに向かって歩き出した。
まずは魔法について
魔法は属性を持つものは適性がないと使えなくて、属性を持たない魔法(既出だと衝撃)は練習すればだれでも使えるという定義にさせてもらいます。
ですが、属性の持たない魔法は素の魔力に形を与えているだけなので、魔法と言っていいかは微妙です。また、その性質上、認知度は、葬りさられた魔法と同じレベルの認知度です
また、ミラトは鏡魔法使いの時に、練習すれば属性を持たない魔法は使えたが、存在を知らなかったため使えなかったと定義させてもらいます。
詳しい理由は活動報告まで。
【魔壁のネックレス】
銀色のチェーンのと、中心に小指の爪ほどの水晶がついているシンプルなネックレス
【障壁展開】
魔力が溜まっている(水晶がほのかに水色の光を発している状態)のみ発動する。所有者の致命傷を一度だけ完全に防ぐ障壁を展開可能。再度発動させるには魔力をためる必要がある。
【魔力吸収】
周囲から魔力を吸い取り、水晶に貯蓄させる。
【魔力送還】
魔力が溜まっているかつ、所有者の魔力が満たされてないときにのみ発動可能。周囲から吸収した魔力を、チェーンを通して所有者に送還する。




