現場
活動報告に魔法についての定義を書きました。念のため、次話のあとがきにも記載させていただきますが、一足先に知りたい方はお手数ですが、活動報告の方をご覧いただけると幸いです
俺達はすぐに現場に向かいだして、二十分もすれば市街地についた。ついた先では、そこらへんに死骸がまとめられている。
「お! ミラトじゃねーか!」
「メネリアス久しぶり。 ってことは現場に居合わせた冒険者って……」
「おう、俺たちと、もう二人いたんだが、けが人の治療に行ってしまった」
「そうか」
「一人は回復魔術師で、もう一人はたぶん魔術師なんだろうな。 それも高ランクの」
「そんなにすごかったか?」
「あぁ、複数の属性を使いこなしてたな」
そこで俺は魔力感知をすると、感じたことあるような魔力を二つ捕らえた。
(まさか、あの二人が……いや、そんなはずは……)
一応俺は魔力感知された時のために魔力隠蔽を自分に使用した。もしもあの二人なら、魔力感知ができるから、万が一のために対策をしておいた方がいいと思ったからだ。それに見つかると、面倒ごとになるのは目に見えている。
「ミラト様、どうして魔力隠蔽を?」
「昔のメンバーらしき魔力を察知したから、逆に魔力感知された時のためにね」
「なるほど」
「ん? どうしたんだ?」
「いいや、何でもない。 ところでほかの二人は?」
「あそこにいるぜ、ユファは騎士団の武器に簡易的な付与をしに行ってるし、ガナスは空いた穴の近くで待機しているよ」
「なるほど」
階級Sのタンクが守っているというのは、周囲の住民にとって大きな心のよりどころになっているだろう。
「ちょっと挨拶してくるよ」
「おう」
俺達はまずガナスのところに向かった。近づいてみて分かったが、思ったより空いた穴は大きかった。直径十メートルはありそうだ。
「お、ミラトにリリーシャちゃんに……ミラトの同級生さん……だったか?」
「シンファルラ=フォン=ネイシスと申します」
「おっと、王族の方でしたか。 これはご無礼を」
「いや、今の私はあなたと同じ冒険者ですからかしこまらないでください」
「なら遠慮なく。 んで、どうしたんだ?」
「メネリアスにあって、穴の近くにいるって聞いたから、挨拶をとおもって」
「そんな律儀にしなくてもよかったのに」
「それと、君たちのおかげで被害が最小限で済んだらしいね」
「それが仕事だしな。 ただ……」
「ただ?」
「さっきの戦闘で大盾に酸をかけられてな、もってあと一回の進行を食い止められるかどうかって感じなんだ」
タンクにとって盾とは仲間の命を守る大切なもの。それがなくなればいろいろとキツくなるだろう。何かしてやれないかな……あ、そうだ。
「ガナス、よかったらこれ使ってくれない?」
俺は鏡の世界から、一つの赤銅色の大盾を出した。
「【土竜の大盾】という物なんだけど」
「いいのかそんないいものを?」
「あぁ、俺は使わないしね」
「なら遠慮なく借りるぜ」
「あと、その大盾に【土盾】っていう効果があるんだけど、それは魔力を通すと、その盾を中心とした半径三メートルの中なら、好きなところに壁を作れるんだ」
「それはすごくいいな!」
「まぁあと、おまけ程度に【魔力再生】っていう魔力を流している間は徐々に再生する効果もあるよ」
「大盤振る舞いだな! 助かるぜ!」
「じゃあ俺たちはユファのところに行くね」
「おう!」
そして俺たちはガナスと別れて、ユファのところに向かった。
【土竜の大盾】
土竜の鱗を主に使用した大盾。赤銅色で、大きさは高さ二メートルほど
【土壁】
地面と盾が接しているときにのみ使用可能。その状態で魔力を込めると、半径三メートル以内ならどこでも土壁を生成できる。
大きさに厚さ、強度は込める魔力量に依存
【魔力再生】
魔力を流している間、徐々に損傷を回復させる