緊急依頼
ホントは今日のハロウィン閑話を書こうと思ったのですが、記念すべき百話が閑話ってのはなぁ……と思ったのでおまけの更新です!
「何を言っているんだ?!」
珍しくあの無気力なアレックス先生が怒っている。当たり前の反応だ。
「そんな危険な事、担任として容認はできないといったばっかりだぞ!」
「でも先生」
「なんだ?」
「さっき、上に戻り次第各自自由に帰宅する事と言いましたよね?」
「それが何だ」
「つまり、現段階の立場は鏡魔術師と、その鏡魔術師の通っている学園の教師という事になります」
「だから一体それがどうしたんだ」
「鏡魔術師からの要請……いや、命令なら仕方ないですよね?」
「ぐっ……」
かなりの暴論であることは重々承知ではあるが、これならどんな無茶な要件も通すことができる。だって今の俺は学生という肩書はなく、【鏡魔術師】という肩書があり、その肩書の持つ効果はこの国で一番だ。
「わ、分かった……鏡魔術師ミラト殿の要請を承認しよう……」
少しの間、唸っていたが、最終的にアレックス先生は、俺の要望を受け入れてくれた。
「ありがとうございます。 本当に」
先生には酷なことをしてしまったと思っている。方法はほかにもあっただろうが、今現段階の最善手は間違いなくこれなのだ。
「ったく、鏡魔術師様の要請なら断れねえよな……。いいか、ちゃんと帰ってくるんだぞ!」
「もちろんです」
「ミラト、その……感謝する」
「いいってことよ」
「殿下、ミラトにリリーシャ殿、お気をつけて」
「あぁ! 心配しなくても私は必ずここに戻ると誓おう。 ネイシスの名に懸けて!」
クラス皆の意見を代表してそう言ってきたガネスにシンラは自信満々にそう返した。
「では、行ってきます」
俺はそういうと、移り鏡でギルドの前に転移した。
俺達はギルドの前に転移した。なぜいつものところではなく、前に転移したかというと、こういう異常事態が起きた場合、大体が外で緊急依頼の受付をするからだ。俺が一度体験した魔物のスタンピートが起きたときにも、ギルドの入り口に緊急依頼が出されていたからだ。今回のその例に漏れず、ギルドの前に多くの冒険者や、職員がいた。
「緊急依頼の受付はこちら受け付けています!」
ギルドの職員がそう周りに呼び掛けており、今も複数の職員が受付を行っている。
「すみません、その依頼に俺も参加します」
俺は順番が回ってくるのを待ち、俺の番が来たところで職員にそう声をかけた。
「ありがとうございます! パーティでの参加ですか?」
「あぁ」
「では代表者のギルドカードをご提示ください」
そういわれたので、俺は階級EXを意味する、オリハルコンで作られたギルドカードを提示した。
「こ、これは! ご協力感謝します鏡魔術師様!」
と、大声でそんなことを言うもんだから、周りがざわざわとしだした。まぁ、もう慣れっこである。
「えっと、受付はできたかな?」
「あ! す、すみません! 依頼の受付を完了いたしました。 中にお進み頂いて、詳細を確認していただき、ギルドマスターによる全体の指示があるまでお待ちください」
と、中に案内されたので素直に中に入った。