復讐3
少しグロいかもしれません。
俺は未だに麻痺しているネロの元に向かった。
コツ……コツ……と、音を響かせながら近づいていく。少しずつ、されど、確実に。
「や、止め……や、や、止め……」
と、口にしている。何とか助かろうとしているみたいだが共犯の二人でさえあのレベルなのだから主犯のお前を助けるつもりは微塵もない。
俺はあと数歩のところまで近づいた。ネロは顔を青くしてふるえてる。
だが俺はまだこいつを気絶させるつもりはない。確認しなければならないことがあるからだ。
「【回復】」
俺は一度こいつのダメージを回復させた。
「ハ、ハハッ! そ、そうだよな! お前には俺に対しての恩があるもんな! きょ、今日の事は無かったことにしてやるから、な? 代わりに俺の装備を壊しただろ? そ、そのローブをくれたらゆ、許してやるよ」
と、既に助かったと思っている。だが先ほども言った通り助ける気は微塵もない。
「【同調斬撃】」
と、俺は右手で横にピッ!と、線を描いた。すると連動したかのようにネロの足の腱が斬れた。
「が、がぁぁぁぁああ! いてぇぇぇええ! なにすんだよ!」
と、不意打ちで足の腱が斬れたネロは大声で叫んだ。
「い、いてぇよ……ファ、ファナ……か、回復してくれよ……」
と、這いずりながら終始無言を貫いていた回復魔術師のファナのところに行こうとしていた。
だが、もちろん、
「行かせねぇよ、クソ野郎が」
俺は、ネロの手の甲を踏みつけた。
「な、なんで、なんで邪魔すんだよ! 死んじまってもいいのか?!」
「うん、別に死んでも痛くもかゆくもねぇから別にいいよ」
「た、助けるんじゃなかったのか?! だ、だましたな?!」
「はぁ? 何言ってんの? 助けるわけないだろ? お前にはまだ聞くことがあるんだよ」
「こ、答えたら助けてく、くれるんだな?」
「助けるかもしれないな」
「わ、分かった! なんでも答える!」
よし、言質は得た。
「一つ目、なぜ俺の貯金を取り出せた?」
「う、受付にいた、受付嬢のローナに言ったら、二、二百万ルナで、開けてくれるって言ったから……」
二百万ルナか……貯金の十分の一程か。
「つまり、買収したのか」
女癖が悪かったのが今回はこいつにとってうまく利用できたってことか……
「二つ目、どうやってメアを引き留めた。最後まで抵抗してたはずだ」
「あ、あの龍を、相手にミラトは助からないって言ったんだ! それでも生きてるというからあの後もう一度あそこまで戻ったがお前がいなくてほんとに死んだとな、泣きながら納得したんだよ! 今は宿で倒れてるよ!」
「三つ目、あの金は俺の母さんを定期的に癒すための金だったんだ。それがなくなった今、俺の母さんはどうなっている?」
俺の母さんはだんだんと呼吸が出来なくなる病を患っており、治癒魔法を行うことで促進を一時的に止めることができる。だが月に一度の治療がないと恐らく三日ほどで苦しみながら死んでしまうだろう。
「し、しらねぇよ! んなこと!」
「……そうか、これで質問は以上だ。」
「な、なら、さっさと、俺を癒せ!」
と、喚くネロに対して俺は
「……【砂刃】」
と、砂によりできた刃でネロの手首を斬り落とした。
「え? あ、あぁ、あぁぁ……て、手がぁぁぁぁぁぁあ!」
と、叫ぶネロ。
「た、助けるって言ったじゃないか!」
「助けるかも、だ。もう少し真面目ならよかったんだがな。まぁ、お前みたいに屑で手を血に染めたくはないからな。殺さないでやるよ」
「なら、さっさと!」
「ただ……楽にはさせないからな。死ぬよりつらい生き地獄を味合わせてやるよ」
と、ネロの耳元で囁いた。
「や、や、止め、止めろ、い、いや、止めてください!!」
「さぁ、味わえ。【亡者の囁き】」
黒い靄が現れた。その靄には無数の顔があり、ケタケタ、コロスコロス、ヨコセヨコセなど、いろいろな反応をしている。その靄はネロに近づくと、ネロの中に取り込まれていった。
「あ、あぁ、あぁぁ……ああああぁぁぁぁぁぁああ!! 止めろ!止めろ止めろ! だ、黙れ、だまれぇぇえ!」と、叫ぶ。
字からわかるようにこの魔法は相手を精神的に追い詰める魔法だ。実際の死者の霊は一つもないがかなり精神に来るものがある。そしてこの魔法にはもう一つ特徴がある。それは
【葬り去られた魔法】や、【禁忌魔法】と、呼ばれる今のこの時代では使われることのない魔法である。故に普通の浄化魔法では祓うことはできない。
「あ、あぁぁ……がぁぁ……」
そしてネロは気絶した。
お金に関しては
一ルナ=一円とします。
そして
石貨=一円
鉄貨=十円
銅貨=百円
銀貨=千円
金貨=一万
大金貨=十万
白金貨=百万
王金貨=一千万
とします。