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銀治「卵ぉおおおお!」

 玄関のドアノブを掴んだまま、中はまだ見えない。


「ほら! 彩香が脱いだやつ廊下に放置したままじゃんか!」

「そんなの洗濯機にポイだよ!」

「朝の着替えた時にやりなさいよ!」

「にゃははー、つい♪」

「もー……」


 入って大丈夫なのだろうか。


「銀治君、どうしたのー?」


 彩香がひょこっと玄関越しに顔を覗かせた。つぶらな青い瞳が美しい……。


「彩香ー、ご飯どうするのー」

「はいはーい! すぐ行くよー! 銀治君も早くねー」

「分か――」


 言い切る前に玄関の中に消えていった彩香。

 ごくり、と息を飲んでからいざ……。


「……」


 なんか、良い匂いがする……。料理とかの匂いではなく、なんかこう――なんて言えばいいのか分からない! 女の子らしい感じの家じゃなく、シンプルな玄関。けれど、良い香りが漂っている。

 こ、これが女の子の家だというのかぁああああああ!


「グハァッ……!」


 ぼっちの申し子かつ年齢イコール彼女いない歴を誇る俺としては刺激が強すぎる……!


「銀治くーん、一番奥の部屋だからねー――って、どうしたの?」


 四つん這いの姿勢で見上げると、廊下の向こうから手に卵を持った彩香が見つめていた。


「いえ……神聖な場所に立ち入ったせいでダメージが……」

「あ、あはは……銀治君、たまによく分からないこと言うよねー」

「ちょっと立てそうにないので、このまま放置してください……」

「いや、玄関でその態勢を維持されても困るんだけどな……」


 彩香が苦笑いを浮かべて頬をかくと、

「しょうがないなー」

 と近付いてくる。


「いえ、二人でご飯を食べてください。俺は――」

「まーまー、彩芽も待ってるから早く――あっ」


 手に持っていた卵がすっと床に落ちていく。彩香は割れた卵の上をニチャッと踏みつけ――


「あわわ!」


 もう片方の卵が天井に勢いよくぶつかって――――――割れた。

 ドテンッと、卵で滑った彩香が思いっきりしりもちをついて、上から割れた卵がトロトロと彩香の頭上に降り注いだ。

 え、なんてエロゲですかこれ。


「うわぁ、もー、最悪だよー……」


 髪も顔もベタベタになった彩香の谷間に卵の中身がゆっくりと入って――――


「ハッ!」


 見惚れている場合じゃない!

 靴を脱いで急いで彩香の元に近付く。


「大丈夫ですか?」

「う、うん……大丈夫だけど、大丈夫じゃない、かな……。服も髪もべちゃべちゃだよぉ……」

「拭くものはどこにありますか?」

「気にしないでいいよ、シャワー浴びてくるしさー」


 彩香のシャワー……巨乳女神のシャワーシーン……。


「銀治君、今なんか変なの想像してなかった?」

「し、してないです」

「あやしーなぁ」

「そ、そんなことよりも手をどうぞ」

「ありがとー」


 右足を踏ん張るように前に出す。差し出された手を掴み、持ち上げようとするが――


「あ、あわわ! 足元すべって――」

「ちょっと彩香さ――」


 立ち上がろうとした彩香が滑って俺の手が引っ張られ――支えようと踏み込んだ足が卵で滑っ――


「きゃっ!」

「……っ!」


 廊下に倒れた彩香の上に覆いかぶさってしまった。両手を床について、なんとかぶつかることは阻止できた。が、壁ドンならぬ床ドンによって彩香の顔が目の前に……。


「あ、あの……銀治君、さすがに恥ずかしいんだけども……」

「す、すみませ――」

「さっきからバタバタうるさい、んだけ、ど……」


 最悪のタイミングで彩芽に見られた。


「……あ、彩芽さんこれはその――」

「で……でて……」


 俯いた彩芽が拳をわなわなと震わせている……。


「あ、彩芽? これはその――」

「でていけー!!!」


 半泣きで大声をあげた彩芽。それもそうだろう。自分の姉が押し倒されたような状態で見つけてしまったのだから……。おまけに卵が割れてヌメヌメした彩香の体がいらない相乗効果を生み出していた。


「お姉ちゃんから離れろバカ!」

「彩芽さん、これは誤解で――うっ……」


 銀髪美少女に顔を踏まれ……スカートの中が見えたことに意識がっ――


「あ、彩芽さん、パ、パン――」


 ワンピースで片足あげて踏まれたら可愛いらしいビンク色のパンツが見え――


「うっさい! 早く彩香からはなれろ変態! バカ!」


 足蹴にされて罵られるが、色々とご褒美が過ぎるんですが! このままでは何かいけないものに目覚めてしまう!


「は、話を聞いてください!」

「うっさい! どうせそういう事が目的だったんでしょ! どうせ彩香の胸が目的だったんでしょ!」

「ち、ちが――決して胸というわけでは――」

「言い訳する前に彩香からはなれ――」

「ねー、彩芽、パンツ見えてるよー」

「えっ……?」


 床に寝転んだ彩香の指摘にようやく彩芽が止まってくれた。


「ひゃ、ひゃわっ!」


 慌てて足を下ろす彩芽。危なかった……。あともう少し続けられていたら変な性癖が爆誕してしまうところだった……。


「え、ちょ、床なにこれ――すべっ――」


 卵を踏みつけた彩芽が手を振りながらこっちに倒れ込んでくる。


「あ、彩芽さん!」

「――きゃっ!」


 つるんっと滑った彩芽は床の上で見事に後ろにひっくり返っていく。


「んぐっ……」


 彩香の頭の先で膝を立てて倒れる彩芽のスカートの中が丸見えに!


「いったぁ……」

「だ、大丈夫ですか!」


 急いで立ち上がろうと膝を上げるも、足が滑って彩香の股の間に膝が――


「ひゃうっ……!」


 目を丸くした彩香の顔が真っ赤に……。


「あ、彩香さん、違うんです。これはその――」

「バ、バカぁあああ!」


 バシッと思いっきり頬を叩かれ、そのまま右側に叩き倒された。

 バレー部はだてじゃなかった……。今まで受けてきたビンタの中でも、これは最上級の痛みだ……。


「ぐはっ……」

「そっちはまだ早すぎるよ……バカ……」


 うっ……意識が――――


「いたた……ん? なんで銀治が倒れてるの?」

「な、なんでもないよ! ほら、銀治君! 起きなよ!」


 …………。


「ん? 銀治君?」

「どうしたの?」

「銀治くーん!」

 …………。


 ――その後、結局二人とご飯を食べられず、手作りご飯はお預けになってしまった。


次、第八話がいつになるかは分かりませんが、気長に待って頂ける方がいれば嬉しく思います(;*´ω`)

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