彩香「とりあえず行ってくるー」
全開のあらすじ:先輩が二人ともやんばい。
「一緒にってことは、その……は、裸でお風呂に……⁉」
「お風呂なんですから裸は当たり前だと思いますけど……?」
「は、はわぁ……」
城川先輩がまた沈んでいった。
一体なにをそんなに赤面しているのか……。
「ひ、柊さんんん!」
「はいっ!」
両肩を掴まれて百合先輩と向かい合う形に……。
「き、君の彼氏のアレは大きいのか!」
顔を真っ赤にして聞いてくる百合先輩。
「アレ……?」
ああ、胸のことかな。
「いや、かなり小さいですね。慎ましやというか、むしろ無いような……」
「そ、そんなに小さいのか⁉」
「そりゃもう、ちょっとだけふにゅっと掴めるくらいしかないですよー」
「ふ、、ふにゅっ⁉ つ、掴む⁉」
「まぁ、私が栄養を全部吸い取っちゃったせいなのか……あははー……」
だが、それがいい。それでいい!
「え、栄養を吸い取るってそんな……つまり……」
「いやぁ、私も揉んだり色々と試してはいるんですけど、中々大きくならなくて……毎回、そのこと言うと怒るんですよねー、あははー」
「も、揉んだっ……色々って……ぶふっ……」
「ちょ! 先輩!」
突如、鼻血を吹きだして倒れる百合先輩っ。
「わ、私にはまだ早かった……」
「せ、先輩⁉ 先パーイ!」
「ぐふっ……」
鼻血を流して幸せそうな顔をした百合先輩と、その隣では頭から湯気を出して全身真っ赤に染まる城川先輩がっ!
どうしてこうなったー!
あ、でも、逃げ出すチャンスじゃないかな?
「せ、先輩方、そろそろ私行きますねー……」
そろりそろりと、彩芽に近寄るために鍛えた忍び足で扉に向かう。
あとは扉の前で「やっぱりサークル入るのもう少し考えますー!」って伝えれば大丈――
「あ、彩香さん!」
「はひゃいっ!」
唐突に呼ばれて扉の前で背筋がビクッと跳ねた。
「か、彼氏、連れて来てくださいね」
「……え」
一旦帰宅。
彩芽に泣きついてよしよししてもらう。
「彩芽ぇ……どうしよぉ……」
「自業自得じゃない?」
「うぇええん……だって、あのタイプの人間に出くわしたことなかったんだもーん……」
「はいはい」
彩芽の膝の上で頭を撫でてもらいながら至福のひと時。
「どうすればいいかなー……むふっ……♪」
「知らないわよ、そんなこと。あと、変な声出さないで」
「彩芽、ついてきてよー……」
「嫌よ、そんな人たちの所行きたくない」
「んじゃ、私どうすればいいのさー……」
「そうね……」
彩芽の撫でる手が止まった。
「その……あれよ、銀治にでも頼めばいいんじゃない?」
「え……」
撫でてくれている彩芽の顔を見つめる。
「他に頼める人いないでしょ」
「でも、銀治君は彩芽のことが好きだろうし、それに彩芽だって銀治君のこと好――」
「それ以上言ったらコロス……コロス……!」
「あ、あははー……」
彩芽の目が本気で怒ってるのでやめておこう。
がるるぅ……って唸りながら威嚇されてるけど、それもまた可愛いなぁ。
「で、でもさー、銀治君だって迷惑かもしれないしー」
「あの変態紳士なら喜んでついてきてくれるわよ。彩香のこと女神とか言ってたし」
「女神?」
「うん」
よく分かんないな……。
「とりあえず、頼めばついてきてくれるわよ。あいつ、なんだかんだ言って……」
「うん?」
「ううんっ! なんでもない! と、とにかく来てくれるわよっ」
なんか照れてる気がするけど……。
「彩芽だったらそうかもしれないけどさー」
「わ、私は関係ないでしょ!」
「そんなこと言ってー……、お姉ちゃんには全てお見通しだよー♪」
「うっ……ぅうううう……がうぅぅ……!」
「あ、彩芽……?
あれ、もしかして怒らせたかな……。
「うがぁああ!」
「ひゃぁ⁉」
――彩芽に五分間こしょばされ続けた……。
うぅ……脇腹が弱いの知ってて……彩芽のやつー……。でも、じゃれ合えたから満足……。
「ふんっ、バカ……」
「わ、笑い死ぬかと思ったよー……ん?」
すんすん……。
「なに嗅いでるのよ……」
「彩芽の布団良い匂いするなーと」
「はぁ……、そんなこと言ってないで結局どうすんのよ」
「んー、彩芽を連れて行く?」
「却下よ、却下」
「彩芽をおんぶして行く?」
「頭突くわよ……」
「う、嘘だよっ」
すでに構えているのでちょっとだけ距離を空けておこう……。
「まー、銀治君しか居ないよねー。ミー君も昨日ご飯食べたあと帰っちゃったし」
「メールしたら?」
「うーん」
メール……打つの面倒臭いなー……。
「……よいしょっ」
「どこ行くの?」
「隣だし、直接行ってくるよー」
「あっそ」
「一緒に行く?」
「い、行かないわよ!」
「フッフッフー、んじゃ、ちょっと銀治君借りるねー」
「べ、別に私に言うことじゃないし!」
「照れてる照れてるー」
「がうぅぅう……!」
「う、嘘、嘘だから! よしよーし……いい子いい子~」
頭を撫でて彩芽を落ち着かせる。
「ふんっ……」
ちょっと言い過ぎたかなー……、帰りにアイス買って帰ろう……。
「んじゃま、行ってくるねー」
「……いってらっしゃい」
作者「ふっふふーん」(*´ω`)
彩香「なんか楽しそうですねー」
作者「もう、楽しんだもの勝ちかなーと思いまして」(*´ω`)
彩香「あー、諦めたんですねー」
作者「( ;∀;)」