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銀治「階段で見上げた先にあったのはなんですか? はい、白パンです」

見て頂きありがとうございます!!

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どうか温かい目で見ていってくださいませ!

 俺はとにかく銀髪美少女が好きだった。いや、大好きだった。白い髪でも構わない。いや、むしろご褒美(ほうび)です。大好物です。


 銀髪美少女が傍に居るなら、俺はもう何も望まない。望む必要がない。

 銀髪美少女は正義であり絶対に守らなければならない存在である。よって、俺には決めた個人的な規律が存在する。


 銀髪美少女三原則

 一、絶対死守

 二、一線は超えない

 三、悲しませない


 この三原則の元に俺は学校生活を送っている。だが、まさかこんなことになるとは思っていなかった。


 校舎の階段を一階から二階へと、一歩一歩を確実に、踏みはずさないように歩いていると上から影が迫ってきているのが分かった。


 落ちてきたであろう落下物に目を向ける。


 股の間から見えるのは純白の白パン。実に素晴らしい。細身がかった足、見ているだけでそれがスベスベなのだと俺には分かる。

 まるで時が止まっているかのように、俺は絵画を眺める貴族のように笑みを浮かべた。


 もう、心残りはない。年齢イコール「彼女居ない歴」を誇る俺には最高のご褒美が眼前に広がっていた。


「ふにゃー!」

「んぐっ……」


 落下物から唐突な可愛い猫のような声がした途端、俺の両頬はムチムチスベスベの肉に包まれた。視界は暗黒に染まりひらりと体に触れた布でスカートの中だと瞬時に悟った。


 神様ありがとう。一生分の幸福をありがとう。もう、死んでもよいかと思います。


 勢いに押され、重力に導かれ、俺の体は後ろにのけ反って倒れていく。

 これが本当の天国行きのチケットって奴かい。最高じゃねぇか。


「グフッ……」


 鈍い音が、なってはいけない音が後頭部から聞こえた。

 硬いコンクリートに頭を打ち付け、上からは柔らかい太ももに顔を挟まれるダブルパンチで俺は悶絶(もんぜつ)した。


「んー! んー!」


 痛みと幸せに叫び声を出したかったが、(おお)い被さる天国がそれを阻止していた。天国に俺の声がこだまする。


「やめっ……息、吹きかけないでっ……声、出さないでっ……」


 可愛いボイスに、痛み以外の興奮が沸き上がりつつあるので、俺は冷静に上体を起こした。

 これ以上は息子がシャチホコと化してしまう。


「ひゃっ……」


 顔の上に乗っていた天国は思いの外、軽々と俺の両足の間に背中からダイブした。


 俺の視界には少女、いや美少女と言っても差し支えないであろう女の子が足を宙に投げ出し転がっていた。


「うぅ……もう……お嫁に行けない……」


 ひっくり返ったまま泣く彼女を見つめる。しくしくと零れる涙を指で拭いている彼女の髪色を見て俺は叫んだ。


「銀髪、しかも美少女だぁあああ!」


 魅惑(みわく)の「太もも顔面挟み」の相手が銀髪美少女ならばーー


「我が生涯に一片の悔いなし!」


 拳に思いっきり力を込めながら、俺は知らないうちに涙を流していた。


「ひぃっ……」


 彼女は何かに怯えて絶望している。


 そして、三原則を思い出した俺も絶望していた。

 銀髪美少女が泣いている!


 ひっくり返ったままだと誰かに見られるとまずいので、とりあえず銀髪美少女をお姫様抱っこした。軽い、可愛い、美しい。三種の神器を兼ね備えている彼女に問いかけた。


「ごめんね、怪我はないかい?」


 小さくて可愛い。愛でたい。ナデナデしたい。しかし、俺は腐っても紳士の対応をとった。


「え……ええ……」


 出来れば「う、うん」って言ってほしかった。その方が見た目とマッチするし。

 じゃなくて。


「可愛そうに……お母さんとはぐれたのかな?」

「いや違うよ、私この大学のーー」

「お母さんの場所分かるかなー?」


 お姫様抱っこが恥ずかしいのか、銀髪美少女の顔は赤く頬を膨らませていた。


「子ども扱いしないで」


 ムッとした表情でこちらを睨み付けているが、それすら可愛いとはこれ如何に。


「どっからどう見ても可愛い子どもで、銀髪美少女ロングとかもう、世界を滅ぼす兵器だぞ。人々は歴史の中でその争いを繰り返しているんだぞ」

「可愛い……美少女って……そんなに褒められても……」


 手で顔を覆いながら彼女は耳まで真っ赤に染まっていた。


「お嫁に来てください」


 間違えた。可愛い過ぎて早まった。


「え?」

「あ、いや、その。お供に来てくださいというか、お友達から始めませんか的な感じではい、その、すみませんでした」


 俺に彼女なんて出来やしない。


「フラれたら死のう……」


 口から本音が漏れていた。


「え、そんなに思い詰めなくても……友達でいいならなるから、元気出して?」


 最高のアングル。上目遣い涙目の極上天然記念物が胸元で両手をぎゅっと握る仕草。


「天使だ……天使が降臨なされた……」

「え?」


 俺は美しい碧眼の瞳を見つめて彼女に訴訟した。


「ドストライク過ぎるんですけどどうしてくれるんですか」

「え、ええ⁉」

「責任取ってください」

「それはこっちのセリフです! パパ、パンツの中に顔突っ込まれて、挙げ句の果てにお姫様抱っこなんて……」


「喜んで責任を取ります」

「ふぇっ⁉」


 銀髪美少女は困り果てた顔で困惑している。

 彼女にありったけの笑みを向けて言い放つ。


「一生守らせてください」

「え……?」

「え……?」


 快諾の返事が来ず、俺は彼女と同じ反応を返した。


「う……」


 来たぞ、これは「う、うん」の流れだ。胸キュンの流れだな。


「う……有象無象の輩と付き合う気はないです……」


 しおらしくも強烈な文句に、この俺でも動揺が隠せなかった。


「う、有象無象って……」


 俺の心にヒビが入る。


「さっさと下ろしてください、ゲス野郎……」


 優しい言い方でも言葉は下品極まりないものだった。

 彼女はしかめっ面で嫌そうな顔をしている。それはまるで、なりたくないのに委員長に指名された時のような、「てめぇらに決められたくないんですけど」と言わんばかりの表情だった。


 それでも、抱き抱えている三原則の範囲内の彼女に対して、紳士的に振る舞う。


「可愛いので許す」


 床に頭をぶつけてイライラしていたのか、自然とコメカミに力が入る。


「ゲス野郎……下ろして……」


 涙目の銀髪美少女に言葉の暴力を食らう。だが、そんな些細なこと、俺には関係ない。それすらもご褒美である。


 お姫様抱っこから、俺は彼女の両脇を手と腕の力のみで持ち上げ、正面で向かい合った。

 肩の下まで川のようにさらさらと流れる銀髪、整った顔立ちは幼く感じる容姿でもしっかりと大人びて見える。困惑している瞳は綺麗な海を連想させるほど青々としていた。


 つまり、何が言いたいかと言うと。


「軽い、可愛い、美しい。ので、口の悪さは許します」

「え、ええええ⁉」



 これが俺と彼女との最初の出会いだった。

主人公:芥川あくたがわ銀治ぎんじ

性別:男

身長:178cm

誕生日:8月25日

特技:剣道、柔道、空手、合気道

趣味:銀髪美少女、アニメ、ゲーム

苦手:集団、ヤンキー、人付き合い

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