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黒の輝石

作者: 森川中也

「この世界は地獄だ。」

過去の私はずっと思っていた。

私は、身体が弱く、背も低く、痩せ細っていて、頭も悪くかった。なので中学生の頃はよくいじめられていた。机に落書き、殴る蹴る、陰口など様々ないじめを受けた。好きな人に告白してもすぐ振られた。親にも見捨てられ、自分に頼れる人がいなかった。なんでこんな世の中不公平なんだろうと思っていた。こんな地獄で生きていくなら死にたいと思った。自殺をしようとしたが出来なかった。怖かったからだ。死の恐怖があったから新しい人生を送ろうと考えた。高校には入りたかったので偏差値40くらいの底辺高校に行った。誰も知り合いがいなかったので、何もなく過ごせると思っていたが、登校2日目から中学の頃と同じいじめを受けていた。

そんなある高2の夏休みのバイト帰りの事だった。私はバイトが早く終わったので遠回りして帰る事にした。帰っている最中、神社の鳥居の前に小さなダンボールが置かれていた。興味本位で開けてみると、そこには黒い猫がいた。小さく、痩せ細っていてまるで私そっくりだった。私はその猫を飼うことにした。

私は猫に名前を付けなかった。名前を付けてしまうと何かに縛ってる感じがして嫌だったからだ。

猫との生活は幸せだった。友達のいなかった私にとっての唯一の友達で話は出来ないが、近くに猫がいるだけで幸せだった。

そんな幸せな日々が長く続くわけがなかった。

3年後、私が起きると猫が居なくなっていた。

私は色んな場所を探した。駅、高校、バイトの辺りなど隈無く探したが居なかった。

最後に最初に猫と私が出会ったあの神社の鳥居に行った。そこに猫が倒れていた。また地獄の生活に戻ってしまうのではと私は恐れた。猫の目の前に黒い輝いていた石を私は見つけた。それを私は猫の形見にした。その形見を見るたびに私は少し地獄を考えなくて済んだ。

私はこのくらい猫の出会いによって「この世界は地獄」とあまり考えなくなった。これは私にとっての幸せだったのかもしれない。


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