表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】辰巳センセイの文学教室【ネトコン受賞】  作者: 瀬川雅峰
一章 舞姫の時間_2018年6月編
21/118

21 エピローグ 創作部は今週も絶賛活動中です

6月18日(月)

 一学期期末テストまで、あと2週間。

 どの科目の学習も、テスト範囲修了へ向けて収束しつつある。


 神田先生は登校を再開。校長には、高熱が出て、一人暮らしのアパートから動けなくなっていた、と説明したそうだ。


 テストが近いので、創作部の活動もあと一週間ほどで停止となる。それまでの数日を有効に使うべく、部員は今日も頑張っていた。



「えっと、テスト前なんだが、新入部員がいるんで、紹介しておきます」

 バラバラと座る部員の前、教壇に立って話し始めたところ、食い入るような、痛いような視線が飛んできた――炎上、ならぬ円城咲耶から。


 俺の隣で、色白のほっそりした女生徒がペコリ、と頭を下げる。

「結城琴美です。美術部と兼部ですが、こちらの活動を通じて、より表現の幅を広げたいと思いました。よろしくお願いします」


「――はぁ?」


 円城のツッコミ方に、遠慮がない。結城は、あくまで落ち着いた歩みでスタスタと進み――円城の隣にすとん、と座った。


「琴美、あんた、()()()で油くさい絵の具塗ってたんでしょ。なんで()()()くんの?」

「美術を志すものとして、魅力的な人に触れるのは勉強のうちです。咲耶、エロイラストのデッサン直してあげよっか?」


 橘が、うわー、しゃれになってねぇーと、和ませたいのか、荒立てたいのかわからないコメントをしている。

「あの二人、小学校からの腐れ縁なんですよ。ずーっとあのノリでやりあいますよ」

――まったく初耳なんだが。


 快速なペンと鉛筆の音にまじり、ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ――


「……あっちダメでこっちとか、サカったネコかしら」

「執着はもうやめるの。あっちはちょっとカタすぎかなって。売約済みだし……」

「ほんと惚れやすいよね。すぐハマって。またボロ泣きするつもり?」

「ボロ泣きはあなたかもよ?私、欲しいものはもう遠慮しないから」

「……あたしのだけはやめなさいよ、恩知らず。取ったら、マジ許さねぇし……」

「こわいこわい。あたしのとか言って、どうせまだ何もしてないでしょ。お・姫・様」

「勝手にそう思ってなさいよ。私だってセンセイと……」

……


「とりあえず!」

 顧問として、はっきり言わねば。

「……お願いだから、仲良くやってくれ。お願いだから」


円城と結城が、くふ―――っと、柔らかくて毒のある笑みを浮かべた。

舞姫編、あと一回更新します。


次回、もう一つのエンディング「補講」です。

正真正銘「舞姫編」の最終回となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓いただいたファンアート、サイドストーリーなどを陳列中です。
i360194
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ