表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】辰巳センセイの文学教室【ネトコン受賞】  作者: 瀬川雅峰
終章 こころの時間_2020年3月編
103/118

13 虎穴に入らずんば

同日 11月22日(金) 午後9時30分


「私、美幸さんに連絡することにした」


 部屋に呼んだロッテに、開口一番、結論を言った。


 ロッテは、まっすぐに、私の目を見る。


「……うん、咲耶はやっぱりそう言うかなとは、思ってた」


 私も小さく頷く。


「このまま、無視することもできるのかもしれない。でも、きっとそうしたら私はセンセイに会う度に、聞こうかどうか、聞いてもいいのかどうか……悩んじゃうと思う」


「……うん」


「ロッテのおかげで……いろいろ予習できちゃったし……」


 お父さんから受け取った報告書は、何度も読み返した。


 センセイの周りにいて、特に深く関わっていた人達……小学校から近所にいた鷹取美幸さん、恋人だった神谷恵里さん、高校時代からセンセイと仲が良くて、大学時代に美幸さんと付き合っていた先輩、佐竹和也さん……私の知らないセンセイの青春……生きてきた時間。



「……勝手におじさんに言ったのは……ごめん」


「……ううん。それはいいの。ロッテも、お父さんも、心配してくれたの、わかってるから……だから、ありがとう」


 こういうときのロッテは姉みたいだ。


 ……暴走してるときのロッテはとんでもないけど。


「だからね、ロッテ」


「うん」


「ここからは、私一人で行かせて」


「……」


「あの文面……美幸さんは、それを求めているような気がする。私が一人であの人の前に立てるかどうか、試されてる気がするから」


 ◇


 鷹取美幸様


 お返事遅くなって申し訳ありません。

 お話の続き、伺いたいと思います。


                    円城咲耶



 メールの返事は、すぐに来た。

 ……待ちかねた、と言われているようだ。



 ずいぶん時間がかかりましたね。

 悩ませてしまったようですが、大丈夫ですか?

 直接、お会いして、お話しましょう。


――でも今は、期末テストも近くて、お忙しいころでしょう?




 美幸さんは、高校のスケジュールまでしっかり把握していた。



 ……会って話をするのはテスト最終日、12月6日の金曜日に決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓いただいたファンアート、サイドストーリーなどを陳列中です。
i360194
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ