元英雄、現状を話し合う
ギルドを後にしたアレンは、ここ十日ほどの間にすっかり歩き慣れた道を少し足早に進んでいた。
今日はいつもと比べ少しだけ遅くなってしまったからだ。
ギルドでのやり取りは毎度のことなので、それが原因ではない。
原因は完全にアレンにあり、要するに少し足を伸ばしすぎたせいだ。
あんなのに襲われたのもそれが理由だということを考えれば、まさに踏んだり蹴ったりである。
「ま、とりあえず余計な心配をかける前にさっさと戻りますかね。……心配とかされていないような気もするけど」
ちょくちょくそんな傾向はあった気がするが、最近ではすっかり何があっても大丈夫とか思われているような気がする。
心配をかけたくはないものの、心配されないとなると少し残念な気分になるのだから不思議だ。
我ながら勝手だなと苦笑を浮かべ、さらに少しだけ歩幅を広げる。
目的地である宿屋は、もうすぐそこであった。
この街は一見すると他の街と大差ないように見えるが、実際によくよく見てみると色々と違う点があることに気付く。
そのうちの一つが、冒険者ギルドの位置だ。
冒険者は、一部上位層が頑張ってくれているおかげでそこまで悪くはないものの、基本的にはイメージが悪い。
事実として荒くれ者がなることが多いことから、どうしてもそういったイメージが付きまとうし、恩恵を感じられない層に至ってはさらに悪化する。
王都ではそのせいもあって冒険者の肩身が狭く、だからベアトリスは尊敬されているのだ、などという話をギルドで聞いたものの……ともあれそういったこともあり、基本的に冒険者ギルドというのは大通りには存在していないのが普通だ。
しかしこの街では、全体的に冒険者の恩恵を感じやすいからだろう。
冒険者ギルドは大通りに面しており、それなりに住人から受け入れられているようであった。
そしてそれに付随するようにして、その近くにある宿屋の立ち位置も変わっている。
冒険者ギルドから近い宿というのは、あまり歓迎されず泊まる者が少ない……というか、それを見越して宿屋が作られないことも多いからだ。
それに関してもやはり冒険者に対してのイメージが関係しており、要するに、ならず者や荒くれ者が沢山出入りする場所の近くに泊まりたい者がいるかという話である。
だがこの街には冒険者ギルドの近くだろうと関係なく宿が存在しており、しかも大通りに面している宿らしくそれなりに外見も内装も豪華で、宿泊費も相応だ。
アレン達が取っている宿は実はそんな中の一つ……いや、二室なのだが、その理由を端的に言ってしまえば、無駄なほどに金があるからであった。
それは嫌味でも何でもなく、ただの事実だ。
龍の鱗を高く買い取ってくれるだろうと思ってはいたものの、その額が少々予想外だったのである。
ギルドでは素材を買い取ってくれるが、他に売る場合と比べると大分安めだ。
別に足元を見ているわけではなく、仲介する以上はそれなりに手間賃がかかるからである。
ギルドを通す以上は万が一があってはならず、素材の真偽のみだけではなく質の良し悪しも正確に見極める必要があるなど、やることが多いことを考えれば必然的に買取値は安くなってしまうのだ。
それでもアレンがギルドで売ることを選んだのは、どう考えても他で龍の鱗を売るとか面倒事にしからないと思ったからである。
というか、ギルドに売ってさえ面倒事に巻き込まれそうになったのだ。
他の場所で売ろうと思えば間違いなく余計な面倒事を背負うはめになっていただろう。
あとは、そもそもアレンがそこまでの金を必要としていなかった、というのも大きい。
一先ずは当面を凌げればよくて、その後は周辺で魔物を狩ってくるなりすればいいのだ。
そういうわけで、手っ取り早くも確実にさばけるギルドで売ったわけだが……その額は何と、金貨百枚だったのである。
金貨一枚で親子四人の一般家庭が三ヶ月は余裕で暮らせる金額だと言えばその価値の大きさが分かるだろうか。
一枚ですら過分なのに、それが百枚である。
さすがに予想外であった。
ついでに言うならば、他の龍の素材もそのうち売り払うつもりである。
売る先がギルドとは限らないものの、それでも幾つかはギルドで売ることにはなるだろうし……あの中では最も価値がないだろうと思っていたものが金貨百枚だ。
果たしてあの馬車の中にあるものだけでどれだけの財産となるのだろうかと考えたら、宿ぐらいパーッと使ってしまってもいいだろうかと気分になったのである。
あとはこう言っては何だが、本来リーズは野宿をするような身分の人間ではないし、安宿に関しても同様だ。
そう考えれば、尚更良い宿を取るべきだろうと思い、眼前にあるような見るからに高級そうな宿に泊まることとなった、というわけであった。
ともあれ、そういうわけで拠点となった場所を、アレンは慣れた様子で歩いて行く。
向かっている先はこの宿の最上階であり、所謂VIPが使用するような最上級の部屋だ。
贅沢に最上階一面を使っており、そこをリーズ達の部屋として借り、アレンは一階下の部屋を借りている。
とはいえ一段下がるとはいえ、そこも十分高級な部屋ではあり、二部屋合わせてなんと一泊金貨三枚であった。
そんな値段で利用する客がいるのかと思うが、話を聞けば毎日とは言わないまでもちょくちょく使われていると言うのだから、こんな場所でも金はあるところにはあるものだ。
十日連続でそこを借りてる人間の言う台詞ではないが。
「っと、やっぱり先戻ってたか。ごめん、遅くなった」
そしてそこに辿り着けば、やはりと言うべきか二人の姿は既にあった。
しかし二人の顔にアレンを責めるような色はなく、あるには仕方なさそうな苦笑だけだ。
「いやなに、大して待ったわけでもないからな」
「そうですね……それに遅れたということは、それだけの理由があった、ということですよね?」
予想通りに心配など欠片もされていなかったことに、さて信頼されていると喜ぶべきか気にされなかったと嘆くべきか、などと考えながら、一先ず適当な場所に座る。
何か重要な話でもする時のための部屋なのか、無駄に広く無駄に沢山ある椅子の一つを選べば、早速とばかりにベアトリスの口が開かれた。
「さて、アレン殿の話も気になるが、先にこちらの話を終わらせてしまおう。というかまあ、今日もまた手掛かりなし、以外に言える事はないのだがな」
「はい……ごめんなさい」
「いや、サボってたんならともかく、見つからないのは仕方ないでしょ。毎回言ってるけど、別に謝るようなことじゃないって」
今度はアレンが苦笑を浮かべながら、肩をすくめる。
そもそも、見つかるかも分からないようなものを探しているのだ。
むしろ見つからないのが当然だろう。
「ですが……アレン君は色々とやっているんですよね?」
「やってるっていうか、まあ役割を考えれば自然とそうなるしね。というか、それにしたって結局は魔物退治をしてるだけとも言えるし」
「むぅ……」
その言い分に不満があるのか、僅かに頬を膨らませるリーズにさらに苦笑を深める。
それ以上を口にしないのは、不満がありながらもこちらに分があると理解はしているからか。
まったく、相変わらず変なところで変な責任感の強さを発揮する娘である。
これは言ってしまえば、報告会であった。
今日何をしてどんなことが分かったのか、その成果を報告し合い話し合うための場だ。
今から十日前、この宿を拠点にすると決めたアレン達は、同時に今後の方針も確定させた。
ぶっちゃけアレン達がやろうとしていることは、砂漠の中に落としたかも分からないような針を探すが如き行為だ。
根気がいるとか以前の問題として、そもそも存在しているのかという問題がある。
だがそれは言ったところでどうしようもないことだ。
だからアレン達は一先ず、ここに将軍が暗殺された件についての手掛かりがあると仮定して調査を進めることにした。
とはいえ、言ってしまえばそれはただの人海戦術だ。
しかも数は頼りないとかいうレベルではない。
それでもここ最近変わったことはないか、怪しいと思ったようなことはないかを聞き続けるほかないのである。
さらには手掛かりが街の中にあるとは限らない。
外にある可能性も十分にあり、そのためアレン達は二手に分かれた。
街の中で調査をするリーズとベアトリスに、外を調べるアレンという形にである。
ついでにアレンにはギルドにもそれとなく話を探ってみるという役目も与えられた。
どちらかと言えば自ら請け負ったとも言えるが、この街で最も外に詳しいのは、やはり冒険者であり、それをまとめている冒険者ギルドだ。
外の情報を集めるというのならば、ギルドに行かないという選択はなかった。
それに、どうも必要以上にベアトリスの名がギルドで影響があるということも分かっている。
あの日ギルドで起こった軽い騒ぎのことは忘れていない。
ベアトリスがギルドに行けば話は聞けるかもしれないが、それ以上に余計なことに巻き込まれる危険性が高かった。
そういうこともあり、ギルドもアレンの担当となったのである。
まあその結果何故かアレンが微妙に目を付けられるようになった気がするが、ある程度は仕方がないだろう。
それに、その分の見返りは得ているという実感がある。
世間話のような体をしてちょくちょくと関係ありそうな話を振っているのだが、これが意外と良い情報が得られているのだ。
「じゃあまあ次はこっちの番ってとこだけど……予想通りって言うべきか、あの森の中には確実に何かがいるね」
この街から南に十キロほど離れた先には、いかにもといった雰囲気の森が広がっている。
ここが未開拓であることの象徴のようなそれの規模は不明であり、ついどこまでも広がっていたとしても不思議ではない、などと思ってしまう程度には広大だ。
本格的に調査をするとなれば話は別だろうが、今のところその予定はない。
単純に人手が足りていないのと、現在その森は非常に危険だからである。
その森は元々それなりに強大な魔物が現れる場所であったらしい。
だがその分見返りも大きく、その魔物自体はもちろんのこと、道端に生えている一見雑草にしか思えないようなものでも新種の草花だったりして、冒険者達は好んでそこへと向かっていたようだ。
というか、ここに街を築いたのも、王国が秘密裏に支援しているのも、どうやらその森に理由があるようである。
そこから得られていたものはそれだけ旨かった、ということだ。
しかし全てが過去形なのは、先に述べた通り現在では非常に危険になってしまったからである。
元々ランク4やランク5の魔物などがゴロゴロしてはいたが、森の奥の方に行かなければそれ以上の魔物と遭遇することはなかった。
だが今から二十日ほど前から、ランク6や7の魔物とも簡単に遭遇するようになってしまったのである。
冒険者などというものをやっている者達は、元より命知らずの馬鹿ばかりだ。
こんなところにわざわざ来るような物好きは尚更であり、しかし確実に死ぬと分かっている場所に向かうほど愚かでもないのである。
そうしてならば他の場所に向かうかとなったところで、正直この周辺はあの森を除けば平凡な場所だ。
出現する魔物もそれほど珍しくはなく、そもそもそれらを狩るのであればこんな場所にいる意味はないのである。
結果的に活発的に活動する冒険者の数は減り、ここから離れる者もちらほら出始めてきてしまったらしい。
十日前にアレン達が冒険者ギルドに向かった時に人気が少なかったのは、時間帯のせいもあったがそういうことも理由だったようだ。
そしてこの街は、基本的には冒険者のおかげで成り立っている。
冒険者が取ってくる品々によって王都から便宜を図ってもらえ、冒険者の落とす金によって経済は回るのだ。
今はまだ大事には至っていないが、こんな様子があと一月も続けば間違いなく様々な場所に影響が出始めるだろう、とのことだった。
実際十日前に比べ、街の活気は目に見えて衰え始めている。
正直あと一月どころか、十日もすれば影響は出始めるだろうとアレンは思っていた。
ちなみにこの話の情報源はギルドではあるが、これに関しては情報を得られたというよりは情報を与えられたといった方が正確だろう。
明らかに話を伝えることで手伝わせようという意図が透けて見えていたからだ。
この街は規模こそ大きいが、明確に誰かが治めているわけではない。
それでも冒険者の影響の大きさなどから暫定的にギルドがその立場に立っているようであり、ギルドとしても出来ればここは失いたくないのだろう。
とはいえ、アレンがそれを手伝う理由などはない。
正直な話、アレンはこの街がなくなろうとも構わないのだ。
だがアレンの言葉などからも分かるように、アレンは結果的にはあの森のことを調べている。
それはギルドやこの街のことを思ってではなく、どう見ても怪しい以上は調べないわけにはいかなかったからだ。
今から二十日前となると、件のことが起こってからそれなりに時間が経ってはいるものの、無関係とは言い切れない程度には怪しい。
それに、ある程度原因の目星はついていた。
今まで奥の方から出てこなかった魔物が出てきたということは、そうせざるを得なかった可能性が高いからである。
魔物と一括りにしたところで、結局は別種の存在だ。
魔物同士で争うことは普通にあるし、基本的な性質は魔物も動物も変わらない。
即ち弱肉強食であり、森の奥の方にそれらの魔物よりも強大な存在が出現した可能性が高い、というわけだ。
そうして今までは森の周囲や浅いところをアレンは調査していたのだが、今日ついに森の奥の方へと進み――
「ふむ……話を聞いていた時点で私もそうだろうとは思っていたが……ということは、その姿なり痕跡なりを見つけることが出来た、ということか?」
「どっちかっていうと痕跡が近いけど、正確には気配を感じたってところだね。他の魔物と比べて異質っていうか、抑えきれないほどの強大さみたいなのを感じた。まあ逆に言うとそれ以上は分からなかったんだけど」
「アレン君でも、ですか?」
「いや、別に僕万能じゃないからね? さすがに気配からだけじゃ分かることにも限度があるよ」
厳密に言えば、気配から情報を辿る手段はあるにはある。
全知の権能を全力で使えばいいだけだ。
ただし、その代償としてアレンの脳が焼き切れるだろうが。
全知とは、文字通りの意味で全てを知ることが出来る。
しかしそれは同時に全てを知ってしまうことでもあるのだ。
知りたいものの情報だけではなく、そこら辺の石ころ一つ一つの情報までも全てを拾ってしまうために、全力で使ってしまえばアレンの脳が持たないのである。
だからアレンが全知を使うには、まず相手を明確に認識することが必要だ。
せめてこの目で一度は見る必要があり、そうして認識することで、ようやく得られる情報をその対象だけに絞れるのである。
一度認識出来さえすれば、例えその後で目に見えなくなったとしても、関係なく情報は拾えるのだが……まあ、元は権能の中でも最上位であったことを考えれば、その程度の制限はあって当然だろう。
「ちなみに、大体いる場所であったり、どの程度の強さなのか、といったことは分かったのか?」
「んー……場所に関しては何とも言えないところかな。少し周囲を探ってみたんだけど、どうにも曖昧なんだよね。そもそもあれほどの気配なら森の外でも感じるはずだし、多分何らかの手段で誤魔化してるんだと思う」
「基本的に魔物は強大な力を得るほどに気配を隠すのも上手くなる、という話を聞いたことがありますが?」
「それはその通りではあるんだけど、あれはそういう感じではなかったからね」
そもそもアレンがそれに気付けたのも、数日の調査の結果で妙な違和感を覚えたからだ。
そして全知を駆使することで何とか糸口を掴み、ようやく曖昧ながらも気配を捉えることに成功したのである。
気配を抑えているだけであれば、もっと楽に気配を捉えられただろうし、居場所が分からないなどということも起こらなかったはずだ。
「ふむ……ところで、あれほどの気配、などというと言うことは、かなり強大だと推測される、ということか?」
「そうだね……多分実力的には、この前の龍と同等か、それ以上ってところかな? まあだからこそ僕もあんま深追いしないように周辺を時間かけて探ってたわけだけど」
「アレ以上、ですか……それは、無理をしないで正解だと思います」
「ま、借り物を壊すわけにもいかないしね」
そう言って肩をすくめると、アレンは腰にある一振りの剣を軽く叩いた。
もちろんと言うべきか壊れたものではなく、剣が出来るまでの間ということでノエルに一本借りたのだ。
そのおかげもあって、アレンは外の調査が出来ていた、というわけである。
しかし、以前使っていたものよりも遥かに良い品ではあるものの、おそらく強度に関してだけ言えば以前のものの方が上だ。
さすがに下手に無茶なことをして壊すわけにはいかなかった。
「ううむ……下手をすればアレ以上の存在がそんな場所にいるのは出来れば放置したくはないが……さすがに今回の件とは無関係だろう。ギルドへとそれとなく警告しながら、私達は調査を進めるべきか?」
「そう、ですね……アレン君にこれ以上危険かもしれないことをやってもらうわけにもいきませんし」
「ああ、いや、僕としては一応森の調査を続けるつもりだけど?」
「……それは何故だ? この街やギルドのことを考えて、というわけではあるまい?」
「その通りではあるんだけど、そう断言されると僕がロクデナシみたいだなぁ……まあいいけど。で、理由としては、さっき言った気配を誤魔化してる方法が気になるから、かな?」
先に述べた通り、アレンがそれに気付けたのは、全知を駆使したからだ。
だがそれも最初に違和感を覚えたからで、その理由はきっと誤魔化そうとしている気配が大きすぎるからである。
仮に違和感すら覚えなかったからアレンも全知を使おうなどとは思わなかっただろうし、それは即ち気配がもっと小さいものであったのならば、アレンは気付かなかった可能性が高いということだ。
断言することは出来ないが……その性質次第では、目の前に誰かがいたとしても気付けないかもしれない、ということである。
「っ……それは」
「うん、アレがギフトのせいだったのかは分からないけど、そう考えれば少なくとも無関係だと断言は出来ないよね?」
王国の最重要人物の一人が暗殺され、その暗殺にも使用出来そうな怪しいことが起こっている。
実際には無関係なのだとしても、さすがにこれを無視するわけにはいかないだろう。
「ま、それにその過程でそのことが誰かの役に立つんだっていうんなら、それに越したことはないしね」
「っ……はいっ、そうですねっ」
直前まで沈んだ顔をしていたというのに、一転して笑みを見せたリーズにアレンは苦笑を浮かべる。
相変わらず分かりやすい反応だ。
「とはいえ、明日は下手したら調査は一旦休みになるかもしれないけどね」
「あっ、そうですね。明日はノエルのところに行きませんと。……ノエル、大丈夫でしょうか?」
「行くなりぶっ倒れる……いや、行ったら床に倒れてたところで私は驚かないがな」
「……あまり考えたくはありませんが、有り得るから困ったものですね。寝食を忘れていたところで不思議ありませんし」
十日も寝食を断つなどそのまま死にそうな気がするが、冗談を言っているようにも見えない。
どころか、二人の顔はどこまでも真剣で深刻だった。
「……以前にもそういうことがあったの?」
「さすがに十日はありませんが、二、三日程度ならばよくありました」
「何でも魔法で遅延させることでどうにかしている、とか言っていたな。その分全てが終わった時には反動で倒れるらしいが」
「寿命削ってる勢いだなぁ……」
しかしそれだけ熱心だということでもあるのだろう。
心配している二人には悪いが、正直アレンは楽しみであった。
果たして彼女はどんな剣を打っているのか。
それを確かめるように、アレンは虚空に向けた目を細めるのであった。




