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元英雄、二人の事情を知る

 改めて言うまでもないことだが、剣を一本打つのには時間がかかるものだ。

 幾つもの工程を経て、その全てで技術と集中力を必要とする。

 特に今まで以上に本気で取り掛かるとなれば、尚更だ。


 十日。

 それがノエルの指定した時間であった。


 十日後に完成する、というわけではない。

 一先ず十日後に見に来てくれ、ということだ。


 量産品であるとか、奉納を目的とするならばともかく、個人に合わせた専用の剣を作るとなれば微調整は欠かせない。

 とりあえず十日後までにその基礎となるものを用意する、ということらしい。


 聞いた限りでのノエルの製作ペースからすると大分時間がかかるが、きっとそれだけ本気ということなのだろう。

 別に急ぐ必要はないのだし、思う存分気の済むままにやってくれたらいい。

 アレンはそこまで剣にこだわりがあるわけではないのだが、良いものを作ってくれるというのであれば、それに越したことはないのだ。


 ともあれ、すぐに出来ないというのであれば、当然のようにそのまま出来上がるまで待つということは不可能である。

 アレン達が通りをぶらついているのは、そういう理由によるものであった。


「さーて……とりあえずどうしたもんだろうね」

「十日ですか……今までに見た事がないほどにノエルは気合が入っていたようですし、おそらくその間は訪ねに行ったところで反応すらすることはないでしょうね」

「まあ、それまでのんびりと待てばいいんじゃないか? 貴殿は元々それを望んでここにまで来たのだろう?」

「確かにね」


 どちらかと言えば想像していたのは寂れた場所でのんびりと、的な感じだったのだが、別に賑やかな場所が嫌いなわけではない。


 ただ、人が多いということは、トラブルが起こる可能性が高いということであり、冒険者ギルドなどがあれば尚更だろう。

 冒険者は荒くれ者が多いため、トラブルの元となりやすいのだ。


 とはいえ冒険者がいるということは、何かトラブルがあれば冒険者が対応してくれるということでもある。

 冒険者で対処出来ないようなことがそうそう起こるとは思えないし、街の様子をざっと眺める限りでは余所者に非寛容ということもなさそうだ。

 折角だからこの街の雰囲気と住み心地を確かめる意味も込めてのんびりしてみるのは悪くないのかもしれない。


「そういえば、二人はどうするの?」

「そうですね……紹介は終わりましたからこれで終わり、としてしまいますとさすがに無責任ですから、一先ずアレン君の剣が出来上がるまではここにいるつもりですが……」

「ああ、いや、そうじゃなくてさ。――二人とも、ここに何か用事あるんでしょ?」

「――っ」


 アレンの断定した物言いに、リーズが一瞬言葉を詰まらせた。

 ベアトリスも僅かに身体を硬くし、相変わらず分かりやすいなと苦笑を浮かべる。


 貴族は基本的に、自分を律し相手に余計な情報を与えないため、教育の過程でポーカーフェイスを習う。

 これが出来ない者は貴族ではないと言われる程度には基本的なものであるため、リーズも出来ないわけがないのだが、これはそんなことをする必要がないと思われてる程度には自分が信頼されている、ということでいいのだろうか。


 そんなことを考えつつも、肩をすくめ――


「まあ、二人が義理堅いのも優しいのも知ってるけどさ、それだけでリーズ達がここまで来るっていうのはさすがに有り得ないでしょ」


 どれだけ暇だったとしても、第一王女は第一王女だ。

 先日の件を報告した際に許可を貰ったとは言っていたものの、普通に考えれば許可など貰えるわけがないのである。

 この国の王は、そこまで甘い人物ではない。


 そもそも二人は知らなかったようではあるが、廃嫡にするどころか一切の身分を剥奪し追放するようなことをするのに、国側の許可を貰っていないわけがないのだ。

 間違いなく報告はしてあるし、実行に移されたということは許可が出たということでもある。


 要するにアレンは、変な言い方にはなるが、国家公認の身元不明人であり、不審人物と大差ないのだ。

 アレンは国王とそこそこ面識はあるものの、それは王女が公的に身元が不明な人物と共にいていいという理由にはならない。


 同行の許可など下りるわけがなく、だが現実には下りた。

 ということは、その程度のことは目をつぶるぐらいに何か大事な用件がここにあり、実はアレンの用事の方がついでの可能性が高い、ということである。


「……なるほど、いつまでも誤魔化せると思っていたわけではないが、最初からばれていた、というわけか」

「むぅ……黙っていたのに分かっているとか、アレン君はずるいです」

「いや、ずるいて……」


 そう言って頬を膨らませるリーズに、アレンはさらに苦笑を深める。

 まあ確かに分かっていながら騙されていたフリをしていたのはずるいのかもしれないが、その言い方はないだろう。


「ま、ともあれ確かに最初から分かってたけど、二人にも事情があるだろうってのは承知してるからね。だから別にそれを話せとか言うんじゃなくて、用事があるのは分かってるから僕に構わずそっちやってきちゃっていいよってこと」

「ふむ……そうか。まあばれてしまっているようだから言ってしまうが、確かに私達はここにとある役目を持ってやってきている。というのも、実は三ヶ月ほど前に『将軍』がお倒れになられてな」

「いや、だから話せとは――って、え? それ本当?」


 ――将軍。


 『将軍ジェネラル』というギフトを持っているがゆえにそう呼ばれる人物であり、そのギフトの効果は勇者と同等か、あるいは状況次第ではそれを上回るとすら言われている。


 その効果は何と、指揮下に入った全員の能力を底上げするというものであり、一度王都の一般兵を使って同数のヴェストフェルト家の精鋭と引き分けたことがあるほどだ。

 しかもその時は時間制限があったからで、そのまま続けていれば勝っていたのではないかとも言われている。


 まあ、能力を底上げする代わりに丸一日寝込んでしまうほどの極度の疲労も与えてしまうため、気軽に使えるものではないのだが、王国最強の一人として数えられている人物だ。

 彼一人が戦ったところで熟練の兵士程度の戦力にしかならないが、彼が軍団を率いることで圧倒的不利な状況でも戦況を一気にひっくり返すことが可能だという、敵からすれば悪夢のような存在である。

 この国は周囲の大半を友好国で囲まれているが、それも彼がいるからだと言われているし、彼が台頭してくるまではその半数ほどとは敵対関係にあったことを考えれば事実なのだろう。


 その彼が倒れたとなれば間違いなく王国の戦力はがた落ちするし、再び半数ほどの国が敵対するようになったところで不思議はない。

 王国は肥沃な土地を数多く持っているし、豊富な種類の鉱石が取れる鉱山などもある。

 国同士の友好など当てにするのが間違いだし、周囲の国からすれば、狙える状況にあれば狙わない理由の方がないのだ。


 そして王国はきっと、それを凌ぐことが出来ない。

 王国の迎撃戦力は、彼が台頭してくる以前と比べ落ちてしまっているからである。


 その理由は単純であり、ヴェストフェルト家が南端から動けないからだ。

 一時的なものならばともかく、攻めて来る国を迎撃する、などということは不可能である。

 何故ならば、南端には現在この国が唯一敵対している国――『悪魔』の国が存在しているからであった。


 彼らは非常に好戦的であり、また一人一人が強大な力を有す。

 ヴェストフェルト家以外では対処が出来ず、実際にヴェストフェルト家が対処するまでは幾つかの家と領土が飲み込まれてしまったそうだ。


 昔は隣り合っていたわけではないためヴェストフェルト家も他国の迎撃に出ることが出来たのだが、周囲の国と友好関係を築いている間に悪魔達は次々と他の国々を滅ぼし、ついには隣り合ってしまったのである。

 その対応にヴェストフェルト家が回らなければならなくなってしまった現状、ヴェストフェルト家がそこから離れれば、この国の南端もその一つになってしまう可能性が高い。


 悪魔に奪われるか、周囲の国に奪われるか。

 将軍が倒れるということは、そのどちらかを選択するということであり――


「……どうやら本当みたいだね」


 二人の様子を見る限り、冗談ということはなさそうだ。

 アレンが苦い顔をしながら呟くと、リーズが非難するような視線をベアトリスへと送った。


「……ベアトリス」

「言いたいことは分かるし、普段ならば私も同意を示しただろう。だが現状この件は私達だけでは手に負えない。リーズ様もそれは分かっているだろう?」

「……それは」


 言葉に詰まりながら、今度はリーズの目がアレンへと向けられる。

 それは助けを求めているようにも、断ってくれるのを願っているようにも見えた。


 この件は明らかに緘口令(かんこうれい)が敷かれている。

 しかも、下手をすれば公爵家にすら情報が下りていないような類のものだ。

 間違いなくアレンが知るべきことではないし、これ以上話を聞けば後戻りは出来ない。


 だが逆に言えば、今ならばまだ引き返すことは可能だ。

 今ならばまだ、冗談だったで済ますことが出来る。

 その時はベアトリスもさすがに無理強いはすまい。


 そうなれば、アレンは面倒事に巻き込まれることもなく、平穏から足を踏み外すこともなくなる。

 リーズもベアトリスもアレンを巻き込んでしまったと心を痛めることもなくなり、万々歳だ。


 そこまでを考えたところで、アレンは肩をすくめた。

 クソ食らえだ。


「んー……確認なんだけど、倒れたって、風邪とかじゃないよね?」


 アレンの意思を示すには、その言葉だけで十分であった。


 ベアトリスは目礼を、リーズは申し訳なさの中に感謝と喜びを混ぜた視線を向けてくるも、アレンは再度肩をすくめるだけだ。

 二人に何らかの事情があるのを悟っていながらも聞かなかったのは、踏み込んでいいのか判別できなかったからである。


 アレンは確かに平穏を望んではいるものの、それは友人と引き換えに出来るものではないのだ。


「……はい、そうです。どうしても将軍と接する必要がある方には流行り病にかかってしまい人に会う事ができない、ということにしていますが……」


 一瞬俯き、しかしすぐに覚悟を決めたような目をしてきたリーズの言葉に、アレンは一つ頷く。

 やはり相当機密度の高い情報のようだ。

 それをアレンに話してきたということは、それだけアレンを信頼してくれている、ということなのかもしれないが、それ以上にそれだけ切羽詰まっているということなのだろう。


「でも、もう三か月なんだよね?」

「私達は王都を一月ほど前に出ているため、現在の状況は軽くしか分からないが……まあ、薄々勘付いている者は多いだろう」

「だよねえ。しかもこの様子だと、病気とかじゃないよね?」

「三ヶ月前のある朝、いつもは朝早い将軍が中々起きてこないので不思議に思った夫人が自室に様子を見に行くと、頭部を失った状態の将軍の姿を見つけたそうだ」

「うわぁ……」


 将軍の年齢は確か五十代だという話だったから夫人も同じぐらいなのだろうが、トラウマになってもおかしくない状況だ。

 しかも要するにそれは殺されたということであり――


「それで、何でこんなところに?」

「下手人は不明、目的も不明。周辺国が暗殺者を送り込んだ可能性が一番高いが、手段(・・)が分からなかったことで一気に暗礁に乗り上げてしまってな」

「……手段が分からない?」


 それはおかしな話であった。

 将軍ほどの人物の警護が万全でないはずがなく、それを乗り越えるためにはまず間違いなくギフトの力が必要なはずだ。


 万全だとはいえ、それ以上の力を使われたら防ぎようがなく……だがそれだけ強力な力を使えば、間違いなく痕跡は残る。

 特に王国にはそういった痕跡を読み取ることに特化したギフトの持ち主がいたはずだ。

 手段が分からないということは考えづらい。


「暗殺に使われるようなものじゃないギフトの痕跡が残ってたってこと?」

「いえ、そもそもの話、現場を含めた周囲百メートルの範囲内に警備で使用した以外のギフトの反応がなかったそうです」

「あー……なるほど、そういうことか」


 ギフトを使わない超凄腕の暗殺者の仕業、ということも考えられないわけではないが、そんなものが本当に存在していたら噂にならないわけがない。


 そして何よりも、そんなことを考えるよりも先に考えるべきことがあった。


「『悪魔』の仕業の可能性が高いってことか」


 『悪魔』とは、便宜上そう呼んではいるものの、実際にはよく分かっていないというのが実情である。

 怪物だとも人型に角が生えてる存在だとも人と変わらない姿をしているのだとも言われており、正体すら分かってはいないのだ。


 分かっていることは多くはなく、だがそのうちの一つに、悪魔はギフトに似た力を使うものの、それはギフトではないということが分かっている。

 悪魔が幾ら力を振るったところで、ギフトとしての痕跡が残らないからだ。


 だから今回の件も悪魔がやったというのならば納得は出来るのだが――


「しかし、やつらが暗殺のような手段を取ったという話は聞いたことがない。やつらは常に正面からの蹂躙だからな」


 悪魔は人類に怨みがあるのではないかと言われているほどに、その戦い方は苛烈で単純だ。

 人類種だろうとエルフだろうと獣人だろうと見境はなく、ただしその全てを殺し尽くす。

 悪魔の正体がいまいちはっきりしないのは、悪魔と戦った際の生き残りがほぼいないからでもあるのだ。


 とはいえ、悪魔との戦いの全てで負けているわけではないのだが、悪魔はどういうわけか魔物を使役出来るようなのである。

 そのため悪魔の戦いというのは、ほとんどが魔物の戦いであり、しかも見たことがないような魔物も多い。

 つまりは、どれが悪魔なのかが分からないのである。


 中には悪魔のようなものを捕らえようとしたところ、自殺され跡形もなく消え去ったとかいう話もあるが……ともあれ。


「とはいえ、それは取る必要がなかっただけ、という見方も出来ますが……」

「そんなことが出来るんなら、もっと前に、しかも邪魔してる張本人に仕掛けるよね」


 何せヴェストフェルト家が悪魔の対応をしだしたのは、アレンが生まれるよりも前だ。


 そういった方法が最近になって編み出された、とかいう可能性もなくはないが、それよりももう少しだけ現実的な考え方がある。


「悪魔とどこかが手を組んだ可能性……心当たりは?」

「さて……正直疑おうと思えばどこだろうと疑えるだろうな」


 人を信じる気持ちというのはとても大切で尊いものではあるが、人の全てを疑うのが健全ではないように、人の全てを信じてしまうのも健全ではない。

 そして残念なことに、友好というものは利益関係の上に成り立っているものも多く、その場合は得られるはずの利益を上回る利益を与えられてしまえば割とあっさりと裏切られてしまうものなのだ。


「で、そうなると怪しいのは国境付近ってことになるわけだけど……そこは監視してないわけがない、か」

「国同士で真の友情は成り立ち得ない。それを忘れていない程度には国境警備隊の方々は優秀ですから」

「だからこそのここ、と」


 そう考えれば、まさにここは狙い目だ。


 悪魔の正体は色々と言われているものの、だからこそきっとそこには真実が隠されている。

 おそらくは様々な姿のものがいるということで、人に近しい姿をしているのであればここほど目立たず侵入するに適した場所はない。


 悪魔達のいる場所に近い、雑多な人種で溢れた捨てられた場所。

 さらには非公式ながらも王都と交流がある。

 悪魔の能力は未知数ながら、やろうと思えば驚くほど簡単に王都に侵入出来るに違いない。


 だというのにまったくここが警戒されていなかったのは、悪魔がそんな手を取るとは思ってもいなかったからだろう。

 そのことを責めることは誰にも出来まい。


 というか――


「ぶっちゃけた話、見るからに怪しいところがあるよね? まあ僕の元実家なんだけど」

「……言いにくいことをまたはっきりと言ってくれるな。だが実際のところ、もちろん疑ったし、取り調べもした」

「あれ、そうなの?」

「ああ、秘密裏に当主だけ、だがな。謀反を企んでいないか、この国を裏切っていないか。もちろんギフトを使い嘘を吐いていないかを確認し……結果は白だった」

「ふーむ……まあ、確かにあからさまに怪しいし、調べてないわけがないか。それで、自国内の人間ならともかく他の国の人を直接調べるわけにはいかないから、ここに悪魔の痕跡を探しに?」

「悪魔が関わってるかもしれないというのはあくまでも推測だからな。見つかれば確定ということで次の動きに移行しやすいこともあり、探しに来ない理由はない」


 それは道理であった。

 ただ、それでも一つ疑問が残る。


「それで、どうしてリーズがそれを調べてるの?」

「そうですね……色々と都合がよかったから、でしょうか? 啓示があったこともあり、どちらにせよこちらの方に来ることは決まっていましたし」

「ああ、啓示のが前だったんだ」

「厳密には、事件が起こったすぐ後、ですね。そのせいもあり、二つの間には何か関係性があるのではないかと思われていたのも、わたしがここに来ることになった理由の一つです」

「ふーむ……ちなみに、リーズはそれに関してどう思ってる? 僕はアレ、若干違和感あるな、とは思っていたんだけど」

「えっと、その……それに関しては、また後ほど、ということでもよろしいですか?」

「うん? ああ、なるほど。それに関してはここで(・・・)話すわけにはいかないってことか」

「……さすがに気付いているか」

「まあね」


 苦笑を浮かべるベアトリスに、アレンは肩をすくめてみせる。

 何のことかと言えば、普通に考えて、緘口令が敷かれているような話を周囲に人々がいるような場所でしていいはずがない、ということである。

 賑わいの中にいるため、誰が何を話しているのかなどということはほとんど聞こえないとはいえ、誰かが聞いていないとも限らないのだ。


 とはいえ、たとえその話がこの街にいる全員に伝わったところで、所詮ここは辺境の地である。

 他の場所に拡散するはずがなく、仮に拡散したところで、その頃には王都の方でも隠しきれなくなっている頃だろう。


 だから問題はないし――


「むしろそれを材料にして釣る、と」

「手掛かりなど皆無に等しいからな。まああくまでも、関係者が残っていれば、の話だが」


 ここで次の動きのための仕込みをさらにしている可能性もあるし、協力者が残っている可能性もある。

 それを炙り出せればという、まあやらないよりもマシ程度の策だ。


 それでも手掛かりがない以上は、やる意味はあるだろう。


「もっとも、それもこれも貴殿が協力してくれればこそ、だがな。……巻き込んでいながら勝手だが、すまない。それと、ありがとう」

「……そうですね。本当にありがとうございます、アレン君。それと、ごめんなさい」

「別にまだ何をしたわけでもないんだから、お礼も謝罪も必要ないよ。大体何か出来ることがあるのかって話でもあるしね」


 そもそも巻き込まれることを決めたのは自分自身だ。

 そういう意味でも、礼も謝罪も必要ない。

 もしも必要があるとすれば、それは本当に何かが起こり、アレンが何か出来た時だろう。


 そんなことを言いながら肩をすくめ、それにちょうどいい暇潰しにもなるしね、とアレンは(うそぶ)くのであった。

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●TOブックス様より書籍版第五巻が2020年2月10日に発売予定です。
 加筆修正を行い、書き下ろしもありますので、是非お手に取っていただけましたら幸いです。
 また、ニコニコ静画でコミカライズが連載中です。
 コミックの二巻も2020年2月25日に発売予定となっていますので、こちらも是非お手に取っていただけましたら幸いです。

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