1-4 友人の死と最悪の兵器
やまない雨なんてない。
終わらない物語なんてない。
すべてのものにいつかは終わりが訪れる。
それは明日かもしれないし、何年もあとかもしれない。
突然ではあるが、私はこの物語をいったん整理しようと思う。
まず物語の始まりを、月曜日とする。
・月曜日 物語の始まり
樹海と平原の境目にて物語が始まる。
稲上りんな『ヴァルキリー』と『エリス』戦闘⇒りんなが逃げる。
りんなの拠点に到着。
りんなの親友神崎由衣『ルキナ』登場。
三日間の経緯について話す。
・金曜日 三日前
りんなより先に由衣が拠点へ帰る。
りんなは帰り道に魔法弾に被弾。
『聖母マリア』と会話後、攻撃を受けて吹き飛ばされる。
桐谷花梨『ルサリィ』と会う。
その後拠点へと帰る、その道中に『エリス』と出会う。
・水曜日 拠点に帰還より2日後
114番目の戦乙女『ヘル』が現れ戦闘になる。
花梨が駆けつけて一週間待つ約束をして戦線離脱を果たす。
花梨と一時的に協力関係を築く。
花梨と修行開始。
花梨反転を使う⇒『ルシフェル』
三人そろい気絶
・木曜日 一人目の死人
異世界入りしたばかりの戦乙女、名前等不明が殺害される。
殺した人物『ネメシス』と『聖母マリア』が戦闘。
・金曜日 約束より二日
その日の終わり、あと数分で次の日になるという時間で三人は目を覚ます
・土曜日 現在進行中の時間
『ネメシス』と『聖母マリア』戦闘中。
『聖母マリア』が魔獣『白鯨』を召喚し戦線離脱を果たす。
・日曜日
・月曜日
・火曜日
・水曜日 約束の日
『ヘル』との約束の日
戦いは『ヘル』の戦闘不能で終了、氷漬けになる。
戦乙女『ルナ』名前を椎名弦が突如として現れる。
弦は『ヘル』を回収して消え去る。
りんなと由衣は花梨と別れる。
花梨はその後現在神装不明の明日香と会う。
会話をした後花梨はその場から消える。
そして今の時間は土曜日。
りんな、由衣、花梨、が修行をしている時間に当たる。
そして今ここは樹海の上。
上空にて一人の戦乙女と巨大な生物が対峙している。
戦乙女は神装を『ネメシス』、天聖を『フェニックス』
巨大な生物は『白鯨』といわれる魔獣。
「あ~。なんて残酷!そして危機的状況!人間を壊して遊ぶ時とはまた違う」
「クフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」
「あなたは私を壊せるの?それとも・・・私に壊されてしまうの?」
魔獣を前にしてまるで虫でも見るような目をする。
「あ~そ~ぼ~」
それはまるで悪魔の様な笑顔でただ笑っている。
グォォォォォォォ!と唸り、『白鯨』は泳ぐように動いて大きな口を上げながら『ネメシス』向かって食らいつく。
そんな『白鯨』の口向かって両手を某アニメの技(か〇は〇波)のような形を作る。
「炎解」
自分を中心に火球を展開させる。
「紅蓮」
両手から炎の竜巻が『白鯨』の口めがけて放たれる。
まともにその技を食らって『白鯨』が倒れるように落ちる。
だが魔獣という事もあって樹海に落ちる前に霧の海を発生させ落下によるダメージをゼロにする。
そして体制を立て直した『白鯨』が今度は口から無数のレーザーを拡散させながら放つ。
「いい作戦。多分そのレーザー、フォーミングかな?だけど~無意味。よけることさえ必要ないよう」
レーザーは『ネメシス』に全弾命中する。
レーザー同士がぶつかり合い爆弾が落ちる瞬間のような光を放つとともに巨大な爆発音が鳴り響く。
だがしかし、そこには見下げる様な笑顔をしている『ネメシス』が浮遊していた。
「ざーんねーん。そんな甘い攻撃じゃああ、私は壊れないよ。でもーあなたは壊れないのかな?」
「大炎解」
先ほどの炎解よりもさらに大きな火球が『ネメシス』を中心にして展開される。
「火弾、拡散」
無数に放たれる火弾とは違い拡散レーザーの如く拡散された炎の弾丸は『白鯨』めがけて放たれる。
だがその攻撃は『白鯨』にとって致命傷にはならない。
「予想以上に硬い皮膚なんだね。流石クジラさんってとこかな?だけど次のはどうかな」
「大炎解」
再び巨大な火球を展開させる。
「紅蓮、爆破」
また某アニメのポーズをとり炎の竜巻を放つが、先ほどのとは違い炎がまるで常時爆発しながら放たれる。
その攻撃は『白鯨』の皮膚ではなく薄くそして硬く体中に張り巡らされた魔法の装甲にヒビをいれる。
「成程。皮膚より先にその肉眼じゃ見えないような魔法の装甲を壊すんだね!いいよ、いいよ、いいよ!じわじわと、確実に、そして完璧に、壊してあげる!」
まるで『ネメシス』の感情に合わせるように『ネメシス』の背中の炎の翼が一段と火力がます。
装甲にヒビが入ったことに気づいた『白鯨』が高らかに咆哮をあげる。
そしてその巨体からは考えられないほどの速さで『ネメシス』に向かって突っ込む。
「君の壊し方、わかったよ。でも外からは無理かな」
「炎解」
今度は最初の大きさの火球を作り、左手を手刀のようにする
「熱刀」
左手が高熱を帯びて太陽の如く輝く。
勝ちを悟った顔をして自分の右手を炎で焼き切る。
そのまま『ネメシス』は『白鯨』に食われる。
そしてすでに日の暮れた空に巨大な生物が漂う。
「クフフ、外から壊すより、中から壊してあげる」
刹那、『白鯨』が身をよじらせ苦しむ姿を見せる。
「大炎解」
『白鯨』が驚いたように目を見開く。
「爆散」
『白鯨』の体内にて大爆発が起こる。
そしてその爆発は『白鯨』の背中を内部から破壊する。
破壊されて中身の臓器が見える状態になる。
その穴から火の粉が大量にあふれ出てその火の粉は地に落ちた右手へと集まる。
やがて天聖『フェニックス』の力により体が生成される。
「やっぱり、内部からの攻撃にはまったくもって無力、完全なほどに地理残さず壊してあげる」
背中に大穴を開けられた『白鯨』から大量の血の雨を樹海に流れる。
身の危険を悟った『白鯨』は再び霧を呼び起こし始めた。
「逃がすと思う?ぜーったいに、逃がさないんだから」
「大炎解」
樹海の木々が『ネメシス』の炎によって燃え盛る。
「火弾、業火球」
周囲に広がった炎が一つに集まり巨大な火球になる。
その火球は上空の『白鯨』めがけて放たれる。
火球は霧を消し飛ばし『白鯨』の腹部に直撃する。
背中に風穴改め大穴が開いているため全体を覆う魔法の装甲を簡単にぶち破る。
「ああ、まだ壊れないでね。もっと、もっと、もっと、遊びたいんだから」
まるでロケットが発射されるような勢いで『ネメシス』が飛び立つ。
「でっかいの。撃ち落とすけど。こわれないでね」
「大炎解」
今度は『白鯨』よりも空高い位置で巨大な炎を展開させる。
「紅蓮、流星火」
某アニメのポーズより放たれる炎は大量に拡散されながら流星の如く降り注ぐ。
魔法の装甲がほぼ破壊され、それでもしばしの間降り注ぐ炎の弾に『白鯨』は地を揺らすような、まるで雄たけびの如く咆哮をあげ、遂に地面に叩きつけられる。
「あれれ?もう耐えられないの?まあ私もそろそろネタ切れだし、じゃあもう燃え死んじゃっていいよ」
「大炎解」
「幻獣フェニックス」
巨大な火の鳥が地に横たわる『白鯨』に襲い掛かる。
『白鯨』の咆哮と炎による木々と『白鯨』を焼き尽くす音がまじりあう。
やがて静寂が樹海の夜に訪れる。
木々の炎はおさまり、『白鯨』は息絶えそこには真っ黒な塊だけ残された。
「あーあ。終わっちゃった。さっきのお姉さんでも探しに行こうかな」
「・・・でももっと面白いものないかな」
『ネメシス』はやがてその場から離れはるか遠くに飛んでいく。
目指す場所は特にないが『ネメシス』が飛び立った先にあるものは要塞型拠点。
要塞型拠点『デモン』それが正式名所。
その拠点の指揮を執るのが『カーリー』この『ユグドラシル』に初期のころからいるメンバーの一人でりんなと昔戦った〔1-3死人は既に存在する 参照〕ことのある。
『カーリー』を中心として数人の幹部と幹部一人に三人の部下で構成されている。
元からこの世界に住んでいる住人はこの拠点を指揮しているものの存在なお知る由もない。
そんな拠点のとある一角にて物語は動こうとしている。
「はあ、最近になって急に忙しくなってきたね」
「確かにいきなりって感じはするけど、今までが暇すぎたからいいと思うよ。私は」
「うわ。社畜じゃないですかやだー」
「誰が社畜や!アホぬかせ!」
「・・・。ねえ。前々から思ってたんだけどさ」
「なにが」
「秋奈さ。たまにしゃべり方可笑しいときあるよね」
「つッ!たわけが!言うな!ボケッ!」
「ははは。そんでさ秋奈」
「なんだよ。リア」
「本部ってさ、ここからどう行けばいいんだっけ?」
「あんたぁ!道ぐらいしっかり覚えときいや!全く。21時から始まるプロジェクト実行開始パーティーには何としてでも間に合わせて見せるさかいに」
「おお。頼りにしてるよ」
先ほど秋奈と言われていたほうは第4幹部の部下の一人。
島崎秋奈、背丈もそこそこで髪型はthe体育会系!とでも言いたくなる感じのポニーテールで髪色は黒く、瞳の色も黒く方言が口調にたまに残る。
そしてもう一方は同じく第4幹部の部下の一人。
リア・カルリア、背は秋奈と同じくらい、髪型は腰まで届きそうなツインテールで髪色は金髪、瞳の色は水色、思ったことを口に出すのがたまに傷。
「お、こんなとこにいたんですね。探しましたよ二人とも」
突如として二人の目の前に忍者の如くくノ一の格好をした女性が現れる。
「あ、忍者ちゃん」
「天城さん」
「うぃす!えっとリアさん。その呼び方やめてください」
「え、でも忍者だよね」
「え、まあはい。私これでもこの世に最後のくノ一と言っても過言じゃないと思ってるっすよ」
「そげな事より。天城さん。わざわざ迎えに来てくれはったんですか?」
「そうっす。隊長、もといい幹部の弦さんに頼まれたので」
そして新たに現れたこの女性も第4幹部の部下の最後の一人。
天城(苗字がない)、髪型は動きやすくするためショートボブ、髪色は紫、瞳は片方に眼帯をしていてもう一方は赤い瞳をしている。
そして、この世界ユグドラシルでは彼女以外に素の忍者もといいくノ一はいないだろう。
「ささ、二人とも。本部はあっちっすよ。とっとといかないと弦さんに、殺されるんじゃないでしょうか?」
最後の殺されるんじゃないでしょうか?の部分はとんでもなく笑顔で言い放った。
ただ。その言葉は冗談として受け取ってはいけないという事をわかっている二人は本当に弦隊長ならやりかねないと思っていた。
約10分後、21時まであと3分といったところで第4幹部椎名弦の部下が集合した。
「あれれ?おっそいよー、なあにしてたのかなー?」
「いやぁあ。すいませんっす。思ったよりも遠くにいらっしゃったので」
「すんません!」
「すいませんでした」
「まあーいいけど。だってー第2幹部の部下さんは二人欠席とか言ってるぐらふぁあいだしい」
のんきそうに言っているがそののんきさとは裏腹にとてつもない殺気を放っている。
今このパーティー会場に集まっているのは第1幹部、部下3名。
第2幹部、部下1名、他欠席。
第3幹部、部下3名。
第4幹部、部下3名。
そしてもう一人。
やがて会場に一人の女性が現れる。
この拠点の指揮をとるもの、神装『カーリー』名を有栖川輪禍。
「おや、きたね輪禍」
最初に口を開いたのは弦。
「とっとと要件を話してくれないかなあー。早く帰って寝たいんだよねー」
「弦。私語は慎め。物事には手順というものがある」
輪禍はそれ以上口を開いたらぶん殴るとでも言いたそうに言い放つ。
「貴様らに今日話すことは3つある」
「まず、そこにいる奴から話そうか」
輪禍は指をさした方向には幹部でも部下のメンバーでもなくただ誰も知らない・・・いや弦だけは知っているそのもう一人。
先日りんな、由衣、花梨の3人と戦闘をした者。
「そこにいるのは一昨日弦が回収してきてくれた戦乙女。自己紹介は本人から言わせる」
「・・・。我は、保延寺。保延寺蓮花だ。神装とやらわ『ヘル』だ」
「あれー。ねー輪禍。あの子私がここに回収してきたとき氷漬けだったよね」
「そんなもんすぐに溶かした」
「すいません。話をさえぎってしまうようですが一ついいですが?」
穏やかな口調とともに第1幹部の白崎幸が口はさむ。
「白崎。なんだ?」
「はい。何者かがこちらに向かってきています」
「何者かっテ?」
次に口を開いたのは第3幹部のアイリス・ディスティニーだ。
「それは皆様の思っているようなものです。穏やかな輩ではないですね」
「戦乙女だ。多分一人」
淡々とした口調で第2幹部のエレン・レーダスが話す。
「はい。レーダスさん正解です。敵は一人」
「白崎。敵はあとどのくらいでここにたどり着く?」
「はい。約10秒・・・神装『天照大神』!」
刹那本部の一部が破壊され灼熱の炎があたりを覆う。
唯一滴の位置をある程度把握できた幸だけ神装を展開している。
背中に巨大な太陽のように輝く円盤、身は十二単につつめれている。
「天聖『ベヒモス』」
七色の羽衣が幸にまとう
「八咫鏡」
幸は左手を前に突き出していてその手から半透明な巨大な盾が出現している。
「見たことのない顔ですね。そして、今の攻撃お返しいたします」
半透明の盾がフォーンという音を立て白く光りだす。
「反射」
紅蓮の炎が敵めがけて放たれる。
「その攻撃はーノーダメージだよー」
「面白い性質をお持ちですね」
「あれれ?だれも壊れてないの?まあいいや。これならいっぱい遊べるから」
「貴様。貴様が最初に戦乙女を殺したというやつか」
「すごーい。なんでわかったの?あのおねーさんから聞いたの?」
「ゆーきー。私たちも手伝うー?」
「それは遠慮させてもらいます。まずは場所を移してからです」
「場所を移したいのー?なんか壊されたり見られたらまずいものがあるのかな?」
「壊されてまずい物はあれど、見られてまずい物はこの場に特にないかと」
「草那芸之大刀」
今度は左手に黒光りする大刀が出現する。
「この黒刀からは逃れられないよ」
軽く地を蹴ってフワッと体が浮き上がりあっという間に『ネメシス』との距離を縮める。
「ふーん。逃れられないか。でもー私は斬撃ごときじゃ壊れないよー」
「さて、どうですかね」
幸の黒刀が『ネメシス』の腕を切り落とす。
「だーかーらー。無駄だっ・・・て」
瞬時に回復されるはずの腕は地に落ちたまま、本体の付け根の方も大量に炎をふかし続けるだけ。
「何その刀。すっごいね」
「あなたの特性は既に知っているんで、ちなみにこの刀で切れぬものはそれほどない。といったとこでしょうか」
「大炎解」
幸事巻き込んでの炎の展開をする。
「八咫鏡」
だが盾を中心として完全防御の膜を展開させる。
「どうやらこの炎自体に破壊エネルギーはないようですね」
「爆散」
自分の体を内部から破裂させる。
しかしその威力は八咫鏡によって無力化されるが、『ネメシス』の狙いは爆発させた本体を地に落ちた腕に移動させるもの。
だが、腕はつながらず体はその場で元に戻る。
「これは・・・腕なおらないや」
「それはあなたの慢心が生んだもの。だけど、あなたの天聖なら大量の魔力消費で治るのではないでしょうか」
「あれれ?バレてた?」
瞬間的に魔力を爆発させ落ちた腕を呼び戻す。
「ふー、元から大量に魔力があるけど少し疲れたかなー」
「そのようには見えませんけどね」
「んー。どうせ壊すなら徹底的にだよね」
「そうですか。徹底的に。いいと思いますよ。出来たらの話ですが」
「八尺瓊勾玉」
草那芸之大刀が黄金の如く輝く。
「牙王」
軽く草那芸之大刀を『ネメシス』に対して斬撃でも飛ばすかのように振り下ろす。
カーンという金属音とともに『ネメシス』が吹き飛ばされる。
「八尺瓊勾玉」
再び草那芸之大刀が輝く。
「瞬神」
瞬間的にその場から消える。
そして消えると同時に『ネメシス』の束された方角の落下地点に現れる。
「八尺瓊勾玉」
「限界時間」
軽く刀で地面を突くと『ネメシス』だけの時間が停止に近い状態になる。
「教えてあげましょう。貴方の敗因は私を相手にしてしまった事です」
「八尺瓊勾玉」
「魂壊」
軽く飛躍して『ネメシス』を切りつけた、が、刀は『ネメシス』を通り抜ける。
同時に限界時間が解ける。
「残念。私には斬撃は効かない・・・⁉」
今『ネメシス』は上空より高速で落下している。
「え、フェニックスの力が」
「じゃあね。ちなみに私が切ったのはあなたの魂。つまり神装、天聖を完全に破壊したという事です」
「おや。もう地に落ちていましたか。さてとりあえず脅威の一つは消えましたね」
幸が見下げる場所には真っ赤に染まった肉塊だけがあった。
「八咫鏡」
「現し鏡」
巨大な盾から一筋の光が伸びる。
やがてその光は消え幸もその場から姿を消す。
『ネメシス』の死亡から3日。
「すべての準備が整った。これより作戦を開始する」
要塞都市の中央が開けて地中から巨大な戦艦が姿を現す。
「『対戦乙女殺戮兵器空中装甲戦艦 百鬼夜行』出撃」
「了解です。輪禍さんの名のもとに空中戦艦発進します」
「こちらエレン。全砲塔ともにシステムオールグリーンだ」
「こちらアイリス。周囲の建物への影響はないでス」
「ふぁーいこちらー弦。えーと絶対空間の状態安定でーす」
「我も今のとこ敵の姿は目視してない」
「第一目標を『ショチケツアル』に設定して喘息全身」
「了解です」
「承諾」
「わかりましタ」
「おーけー」
「わかった」
各々の返答とともに巨大戦艦は『ショチケツアル』向けて発進する。
その他部下は要塞都市にて留守番。
戦艦の最高速度は計算上マッハ3まで可能。
時は少し進んで『ショチケツアル』のとある一軒の家。
「りんな。明日にはここから拠点をうつしませんか」
「ん、なんでまた」
「夜襲を仕掛けられる可能性もそろそろ考えたほうがいいかと」
「別に私は構わないけどね」
「・・・。ねえ由衣。何か聞こえない?」
「何かって、何ですか。耳鳴りとかじゃないの」
「いや確かに聞こえる。空を切るような」
「確かに何か聞こえてきましね」
「ちょっと外出てみよう」
「あ、ちょとりんな。勝手に先走らないでください」
りんなと由衣は外に出た。
だがそこにはいつもと少し違う空があった。
「なにあれ。戦艦?」
「こんなの誰が作ったんですか」
「多分要塞の奴等じゃない」
「確かにその可能性はありますね」
「神装『ヴァルキリー』」
グラデーションのドレスに四枚の大きな翼を広げる。
「敵発見です」
「あれは。ほう『ヴァルキリー』か、懐かしい」
「こちらエレン。いつでも迎撃可能です」
「試し打ち程度にでかいの一発撃て」
「招致」
主砲の一つの真空魔力圧縮砲に膨大な魔力が送られる。
「何か来ますね。私も、神装『ルキナ』」
神装をまとうとともに周囲に微弱の電気を放電し始める。
「何かやられる前に仕掛ける。天聖『ジブリール』」
白く輝く剣が展開される。
「かちらも天聖『ゼルエル』」
雷をまとった短剣を展開させる。
「もう遅い」
「真空魔力圧縮砲。ファイア!」
大気が揺れ空間が曲がり地がえぐれ、爆発とともにそこにあった都市は跡形もなく消え去った。
「あっけないなー」
「いや、まだ生きている」
「だが・・・」
「由衣!!!!!!!!!!」
「一人だけだがな」
砲撃から身を挺してりんなをかばい力尽きた由衣は地面に叩きつけられるように落下した。
「嘘だよね。一人はいやだ。一人は寂しい」
「第二射準備しろ」
「招致」
「マイナスエネルギー型ミサイル発射まで5」
「ゆるさない」
「4・・・3」
「ただじゃ済まさない」
「2・・・1・・・0」
「くっ!」
「発射!」
5発のミサイルはりんな目がけて放たれる。
「殺す。天聖『ミーカール』」
「二つ目の天聖だっテ⁉」
「キャンセル」
スパンという音とともに5つのミサイルは粉々になって地面に落ちていく。
右手には白い剣『ジブリール』左手には黒い剣『ミーカール』。
「冷気開放」
シューという音を立てりんなの体中から大量の冷気が放出される。
「氷剣の舞」
空気中の冷気から7本の氷の剣を造形させる。
「氷れ」
7本の剣は戦艦めがけて飛ばされる。
「絶対空間でとめますよー」
絶対空間、それは戦艦を覆う領域、戦艦の周辺を不特定距離の空間。
その空間を一時的に一部の場所に圧縮させることによりいかなるものも動けなくなる。
結果氷の剣は戦艦に届くことはなかった1本以外は。
唯一ぜ対空間により抑えられなかった氷の剣は戦艦の一部に被弾、そこから徐々に氷が浸食を始めていく。
ゆっくり確実に着々と。
「う、体が重い。私は、奴らを潰さないと・・・」
「輪禍さん。まずいです氷の剣が当たった場所から浸食している氷が第4エンジンルームに突入しようとしています」
「絶対空間を元に戻してくれないとこちらも砲撃が出ません」
「我も今動けそうにない。部屋の扉がすでに氷によってふさがれた」
「いやー形勢逆転されちゃったねー」
「こちらも何もできませン」
「唯一可能な手段がこの場からの離脱です」
「仕方ない。離脱開始」
「・・・。ながさない・・・」
離脱を開始すると同時にりんなの意識も闇へと消えた。
・現在の戦乙女の数 112体
・死亡戦乙女の数 3体