初めての王都
夕食までの間初めてゆっくりと
母様や姉さんたちと話す
メリエル姉さんとアリティア姉さんの
婚約者がどんな人かとか
おすすめの服屋料理屋
入学準備の話では文房具屋まである
と知って驚く行ってみたい
初日なので夕食時もあまり細かい話は
聞かれなかった確かに旅は色々あり
過ぎて心遣いは有り難かった
ぐっすり眠って翌朝
まず悩んだのは服装。昨日は王宮帰りで
一番マシな服を着ていたけど
領地ではスカートすらめったに穿かない
生活だった
さてどうしよう?
ふとクローゼットを開けてみた
セシリア母様!
それなりの服たちが入っていた
靴も下着も
成長期なのにいいのかと思うが
アメリア母様に聞いていたのか
サイズも若干大きいくらいで
ほぼピッタリ
無難そうな物を選び着替えると
ノックの音
応えるとメイドさんが入ってきて
何か手伝うことはないかと聞かれた
少し考えて髪をどうにかしてもらう
まさか領地での紐で束ねるスタイルは
ダメだろう
朝食の席では服装について何も
言われなかった
ホッとした
朝食後は昨日渡せなかったお土産を
出してきた
魔の森のフルーツに海の魚
この屋敷には領地にはない魔道具が
あると聞いていたが、冷蔵庫や洗濯機
のようなものまであった
保存は大丈夫そうだね
セシリア母様はメリエル姉さんと
アリティア姉さんの結婚に向けて
準備がかなり大変らしい
そう言えば王宮でもらった褒美を確認
してなかった…姉さんたちの結婚準備の
ために使ってもらえるかもしれない
セシリア母様に褒美をもらったことを
話して勲章は別として王家の紋章入りの
袋を二人で開けてみた
「え?」
「は?」
白金貨50枚に金貨80枚
二人とも言葉がでない
前世なら遊んで暮らせるような金額
セシリア母様はとにかく仕舞えと
仕草で訴えてきた
袋に金貨を戻して魔法の袋に仕舞う
それからやっと言葉を出して
セシリア母様を説得し
姉さんたちの結婚準備用に
無理やり白金貨5枚を押し付けた
銀行も株式市場もない世界
お金は使ってこそナンボである
持ち腐れは意味がない
そんなこんなで、私の入学準備は
イリス姉さんが手伝ってくれる
街の観光がてら護衛付きで店を
まわる
文房具はなかなか良い物がある
紙質の良いメモ帳にノート、
筆記用具はボールペンのような物が
気にいった。鉛筆はあるが消しゴムはない
密かに冒険者志望のイリス姉さんとは
話しが弾み鍛冶工房も見学
イリス姉さんが気にいった短剣を
プレゼントする
昼食は姉さんオススメの料理屋へ
味のバリエーションが多くさすが王都
とても美味しい
さて午後は、私には苦手な服飾店
イリス姉さんに案内され店内に
マルノー子爵家御用達らしく
瞬く間に採寸されてしまう
魔法使いで貴族学校には行かないことも
承知しているようで、あまり貴族的な衣装は
勧められないが、領地で着ていたような
服はさすがにない
イリス姉さんも豪華なドレスは苦手そう
なので二人であれこれ選ぶ
前世では姉も居なかったし子供は男の子
ばかりだったので楽しい
イリス姉さんも私も父様譲りの銀色の髪
なので濃い色が似合う
入学式の服を何色にするか議論する
入学式の前には試験がある。まあ、
クラス分けのために剣や魔法に体力テスト
のようなものだが
平民が多いので何日かにわけると
生活に負担がかかる
なので入学式の日に午前はテスト
午後に入学式になっている
もちろん親や護衛なんか付けば
大騒ぎになる
しかもセシリア母様と最後まで交渉を
続け私は寄宿舎に入ることを認めて
もらった強引に
つまり、まず入学式前に寄宿舎に入り
それからテストになる
なのでイリス姉さんは、万全の準備を
整えるつもりでいる
私は、入学してから、足りない物を買えば
いいような気がするけど
結局テスト用にはスカートは向かない
ので、領地で着ていたものとは質が違う
よく伸びる革の膝下までのズボン
女の子らしくデザインされた丈夫な
ブラウス、ズボンと揃えた革のベスト
しっかり作られた革のブーツ
が選ばれた。
まあ体操服代わりである
入学式の服は藍色の瞳に合わせて
濃い藍色のシンプルなワンピース
もうこのあたりで勘弁してほしい
王都は王国の北にあるが、
この季節は寒くない。しかし、
冬は雪が降ることもある。
冬でもあまり寒くない、マルノー領地
とは違う。
つまり冬になる頃に衣類をつくる
のが正解だと思うのだが
喫茶店に入り休憩する
イリス姉さんが疑問を口にする
「ライラは魔法使いだけど杖とかローブなんかはいらないの?」
「う〜ん今のところはいらないかな」
「ふうん、そうなの?」
「学校の案内にも特に書いてなかったよ」
「貴族学校は、魔術師とクラスが違ったけど、何かローブに杖の印象だなぁ」
「使いたくなったら買うかなぁ?」
ローブに杖はちょっと恥ずかしい
厨二病的なニオイが
屋敷に戻ると
メリエル姉さんとアリティア姉さんが
寄ってくる…
王都の感想や色々なおや店の話
とりあえず私の部屋でおしゃべりタイム
姉さんたちに貴族学校での話を聞いて
魔術師の友達がいないか訊ねる
想像通り、貴族学校はあまり
フレンドリーな場所ではないようで
階級の差が明らかだし
魔術師はクラスが違うのもあり
話をしたこともないらしい
魔法の袋の話をしてみたら食いついた
ので、私も実験してみたかった魔法の袋
どこまで入るか大会開催
袋に入っていた保存食や釣り竿
旅で使った食器、普段着や毛布
兎もまだ入ってたからメイドさんに
渡して保存食は手作りの袋に
まず何を入れるか、姉さんたちは
ノリノリである
椅子を入れてみた。袋を近づけると
入るので
「「「わぁ〜初めて見たぁ」」」
評判はよろしいようで
小さめのソファー
ソファー用のテーブル
意外と入るものだ
勉強机も
本棚も
「「「ベッドは?」」」
姉さんたち、無茶をおっしゃる
入っちゃった
「もう限界だよぉ〜」
本当はまだ入りそうで怖い
とりあえず部屋を元に戻して
「ねぇライラぁ私がそのなかにはいったら
時間が止まってるから歳をとらないとか
ないかな?」
「アリティア姉さんさすがにそれは、
なんか生きてられるか疑問だし」
姉さんを袋に入れて歩くとか勘弁だし
夕食は姉さんたちとうちとけたので
賑やかになった
メリエル姉さんは私が入学して
落ち着いた頃に結婚するそうで
セシリア母様は忙しい
結婚式にはもちろん父様もくる
そこで思い出した
「セシリア母様、私転移魔法が使えて」
「えっ?転移?それはどういうこと?」
導師も転移は珍しいって言ってたなぁ
「一度行った場所にその瞬間的に
移動できる魔法です4人くらいなら
一緒に行けますよ」
大騒ぎになる
私も忘れてたけど、つまり
セシリア母様と姉さんたちを
今すぐにでも領地屋敷に連れて行ける
頭を押さえたセシリア母様
姉さんたちは大はしゃぎ
私が無事王都に着いた報せも
自分で転移したらいい話だった
そんな訳で翌日から
午前中は王都で買い物
午後からはセシリア母様と姉さんたちも
連れて領地屋敷に転移
もちろん領地屋敷は何事か!と
大騒ぎになった。私のせいじゃない
私は悪くない
セシリア母様と姉さんたちが
急に現れた時父様は椅子から落ちてた
お茶が出されたり姉さんたちは
弟たちを構ったり
私は騒ぎに紛れて
魔の森と海に転移して魚やフルーツを
仕入れする
アメリア母様と少しおしゃべりして
夕方には王都屋敷に転移
学校の寄宿舎に入る前の日まで
父様を呼んで来たりセシリア母様を
連れて行ったり
時には、一度行ったので行けるレナシスに
父様を送ったり迎えに行ったり
姉さんたちを領地屋敷に連れて行き
ついでに今度はみんなで海に遊びに
出かけたり
どうやら一度に私を除いて5人まで
転移できるようになったようだ。
メリエル姉さんは結婚してしまえば
あまり遊ぶことはできなくなる
浮き輪やビーチボールで息がきれる
まで遊んでいた
季節もちょうど良く
こんなことならもっと早くに
王都に行っておけば、みんな色々と
仕事や遊びができたのにと思う。
転生して、魔法を得て
まだ先は長いだろうけど、
できる限りの範囲でみんなを幸せにする。
ライラの密かな決心だ。