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旅路

ミヤビ王国を目指す旅。

辿り着いた男爵領地の町で、

また、馬車を探す。


二つ離れた町から、ミヤビ王国への

馬車が出ていることがわかり、

まず、その町に行く手段を探す。


馬をとばせば早いそうだが、

これまでの旅で、この国の荒れ具合が

わかっている。無理はしない。


ようやく、二つ先の町から、この町に

来ている馬車を見つけて、交渉する。

馬車二台で、この町に商品を買いに

来ている。

勿論、護衛もいる…ので、

席に余裕がない…。


御者台に乗せてもらい、護衛も兼ねて

夜はテントで寝るということで、

なんとかお願いする。


王都のミヤビ料理店が、毎回こんな旅を

して、仕入れをしているとは思えない。

多分、ベルデブルクの商店から

仕入れているのだろうと思う。



二つ先の町まで四日。

楽ではない旅だ。


御者台の一台目にダリルさん。

私は二台目に乗り、出発。


かなりお尻が痛いし、居眠りなんか

したら…落ちる。

御者って大変なんだなあと思う。


途中、獣を狩りながら、また

野営をする。


盗賊は出なかったが、狼の群れが来た。

これは、難なく狩りつくす。


翌日は夕方に町に着き、ベッドで

眠れた。


野営を一回して四日目には、目的の町に

着いた。

途中、三人組の盗賊に遭遇したが、

二人の護衛と一緒に片付けた。



この町から、五日で

いよいよミヤビ王国に行ける。


なんだか大変な、新婚旅行になって

しまったけど…後もう少しだ。


ミヤビ王国行きの馬車は、翌日の朝

出発だそうで、商品の買い付けに行く

ので、席はあった。


また、護衛兼務の旅客になる。

宿屋で休み、疲れをとる。


翌朝は、朝食をしっかり食べて、

馬車に乗り込む。

馬車は三台、護衛は五人。


ミヤビ王国までは、警戒するべき場所は、

前半の三日くらいだそうだ。

ミヤビ王国は長く続く独特な文化の国。

守りも堅く、周辺の警備もよく、

最後の二日は、ほぼ何の心配もいらないらしい。


買い付けに行く馬車を襲う盗賊って…

荷物はあまり無いから、お金を目的に

するのだろうか?


そんなことを考えながら、一日走り、

野営の準備をする。


焚き火を囲み、夕食。

私は、焼きたてのパンと、新鮮なフルーツを

出して、もしもの時のために士気を上げる。


商人と部下、御者たちは馬車の中。

また、念のため障壁柱を設置する。


テントで休んでいると、

さっそくお客さんがやって来た。

治安の悪さは酷いものだ。



探知をかけながら外に出る。

10人…魔術師はいない。


矢が飛んでくるのは定石だ。


「ダリルさん、右?左?」

「右だな、頼む」


迫撃砲弾をお見舞する。

右半分は、ふっ飛んだ。

数はこちらが多くなった。


一瞬で半数になった盗賊は、統率も

とれない。


浮遊して、上空から魔力弾の雨を降らせる。

あとは任せて大丈夫だろう。


それほど時間も掛からず決着がつく。

こちらの被害は、かすり傷程度。

治癒で治す。


穴を掘って、死体を放り込む。

炎で焼く…埋める…

淡々とこなす。


焚き火の側で、お茶を飲む。


「あんたたち、手慣れてるな…どっから来たんだい?」

「デルフリート王国だ」

「王国?あの国は良い国で、治安もそれほど悪くないだろう?」

「まあな。元々冒険者稼業だし、こっちで旅して、慣れたようなもんだ」


そうか…と、複雑な顔をしてため息をつく

護衛たち。

「この国も…昔はもっとマシだった」

そう呟く。



その後は、テントで交代で休み、

朝になれば朝食。

障壁柱やテントを片付け、

また馬車に乗る。


夕方、この先最後の町に入り、

宿屋で休む。

明日の夜の野営が警戒ポイントだ。


もっとも、行きの馬車より、帰りの方が

やはり、狙われる確率は高いそうだ。


この国で、懸命に生きる人たちを、

守れる仕組みができることを願う。



翌朝、また馬車に乗る。

あまり整備されていない街道を走る。


野営に適した場所は限られている。

見通しの悪い場所や、周りが丘などなら、

不利になる。

できるだけ開けた、足元の悪くない場所を

選んで野営をする。


私たちと違い、みんな慣れたことだ。


最後の警戒をする野営地。

また障壁柱の出番だ。

明日からは、ミヤビ王国の力が及ぶ、

安全な旅…らしい。

慣れた人たちが言うのだから、

大丈夫なんだろう。


対人戦は嬉しくないが、お世話になった

隊商の人たちだ。

行きに盗賊を減らしておけば、

帰りが少しでも安全になるかも知れない。



夕食を済ませ、みんな馬車やテント

それぞれの場所に入り、警戒する。


そして…やはり、来た。

矢が飛来する。


探知…10人…

浮遊して迫撃砲…これで、半数…

「……!」

離れた森に…まだいる。

様子を見ているのか…


迫撃砲をもう一度…

逃げるか?来るのか?


バラバラに来るほど馬鹿ではないだろう。


…来た…

数15…右にはダリルさんがいるので

左翼に迫撃砲…五人は減らした。


魔術師が二人…

一人は浮遊した。

しかし、初めて戦った魔術師より、

動きが遅い…狙いは良いが、

飛翔は苦手のようだ。


もう一人の魔術師は浮遊しないが、

狙ってくる…二対一…

まずは邪魔な浮遊の方、

回り込み、腕を撃ち抜く…両腕だ。


地上の魔術師には、攻撃を躱しながら、

迫撃砲…

周りを巻き込んで消えてもらう。


落ちた魔術師は頭を撃ち抜く。


私も大概残酷になった…


味方の援護に、敵側面から魔力弾…

もう、戦局は決まったようなものだ。


ダリルさんと護衛の人が、決着をつけ、

戦闘は終わった。



戦闘後の処理も済ませ、怪我には治癒。

私もかすり傷は多い…自分で治癒する。


また、焚き火の側に集まり、喉を潤す。

なんだか、本当に遠い旅だ…


交代で休むのも慣れたが…


朝がきて、ホッとする。

朝食後、出発して、昼過ぎには、

街道が急に綺麗になった。


ここからは、ミヤビ王国の力が及ぶ、

安全な場所ということか…


今日も野営のはずだが、本当に安全

なんだろうか?


馬車は街道を走り続け、夕方になり…

「えっ?これ…何…」

「何だこれ?」


ダリルさんと二人で驚いた。

キャンプ場のような…整備された

野営場所…だった。


馬車を停める場所、馬を繫ぐ柵、

水汲み場、火をおこす竈…無人だけど…

公営キャンプ場のような…

テントを張りやすい整地された場所も、

ある。


昨夜までの、殺伐とした雰囲気は…

何?

みたいな、遊びに来たような雰囲気。


みんなの顔も明るい。

夕食も、楽しげに作り、食べる。

飲み物を片手に会話もはずむ。


見張りも要らないと、信じ難いことを、

言われた。

「俺たちも、護衛は長いが、初めてこの辺りに来た時は、信じられなくて、見張りをたてたものだ」

「それから何回も、この街道を通る護衛をしてきた。いや、本当に、何も…獣も来ない」

「ミヤビ王国が、巡回警備してるって噂だ」

「…えっと…ベルデハイム皇国との国境線は?どこに…」

「国境は…ベルデハイム皇国からみれば曖昧だな…辺境までちゃんと統治されていない」

「ミヤビ王国は…行けばわかるが、北は海に面していて、東西は山がある。南に城壁があって…その中で暮らしている」


ミヤビ王国側からは、領土を広げる気配はなく、ただ、自国の安全のために周辺を警備している。…ということらしい。


テントを張り、なんだか不思議な気分で、

休む。


翌朝も和やかに朝食。

本当に何も、なかった…

今日の夕方までには、いよいよ目的地に

着く。


馬車も心なしか軽快に走る。

日が傾き始める頃、ついに…やっと

ミヤビ王国が見えた。


緑豊かな山に囲まれ、城壁は石垣のようで、

石垣の上には櫓がある。


城壁の周りには、堀が掘られ、水が湛えられ

ている。

正面の門には橋が掛けられていて、

馬車はゆっくりと、橋を渡る。


大きな門の両側に立つ、護衛の門番たち。


予想を裏切らない門番たちは…

武将のような出で立ち。


馬車から一旦降りて、チェックを受ける。

私たちは、観光客だ。

ここでも冒険者証は身分証明書になる。


隊商は、定期的に来ているので、

すぐ、入国許可が出る。


馬車に戻り、門を潜ると、賑やかな

商業街の広場に進み、馬車は決められた

場所に停まる。


みんなとは、ここで別れることになる。

互いに挨拶と、お礼を言って、

手を振り、改めて周りを見る。


ここが…ミヤビ王国…

長くて、色んなことを経験して、

簡単には語れない…旅路。

今、無事に…やっと辿り着いた。

さまざまな思いを胸に、私たちは

そっと手を繋ぎ、立ちつくしていた。














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