戻ってきた日常
また領地で開発をしたり
週末の狩りもしたり…
いつも通りの日々が戻ってきた
ダリルさんの救出で
ギルド本部が冒険者の経験値を
くれたらしく
私はBランク冒険者になっていた
Aランク依頼を受けられるように
なったので
ダリルさんと2人でマルノー領地で
珍しい魔物を狩ったりできる
例の男爵領地にギルド支部を設立する
話はキマイラ2体のせいか
検討中のままらしい
さて、
休暇の前半に大変な思いをしたが
海水浴をどうするか?
そういえば
お嫁に行ったメリエル姉さんや
アリティア姉さんも
子供が生まれて嬉しいながらも
大変そうで
海水浴に誘ってみたら
良い息抜きになるかも知れない
マルノー家プライベートビーチも
良さそうな海辺をいくつか見つけ
こつこつ努力して
整備してある
開拓が進み海辺まで通じたら
観光地にもなる
でも…プライベートビーチも
確保しておきたいなぁ〜
なんて考えていたら
やっぱりデリック導師から通信が…
海水浴…行く気満々で…
日程は導師と父様に決めてもらうことに
して…私はビーチの整備を…
今年は今までより広くて
木陰もあり遠浅で遊びやすく
釣り場もある
贅沢なプライベートビーチをお披露目
するつもりだ
みんなに気に入ってもらえたら
本当にマルノー家専用にする予定
ダリルさんは
「なんかコソコソしてないか?」
と、すぐに気がつき
結局手伝ってもらっている
冒険者も楽しいが私の魔力量が
増え続けているのも
こんな所で使えて便利だ
内緒の話だが…ダリルさんの魔力量は
限界がきていたのに
私がお泊りするようになって
なぜか魔力量が増えたらしい…
で、何をコソコソしていたのかと言うと
ログハウスを作っていた
前世で『親子で参加みんなで作る夏休みの
ログハウス教室』に
家族で何度か行ったので…
適当な森で木を切り加工し
運搬組み立て…全部魔法で…
木の皮もちゃんと壁や屋根の隙間に使用
室内のテーブルやベッドも木製
ベッドには寝具も完備
お風呂にシャワー付き
ダリルさんも作り方を覚え
ログハウスは大きいもの2棟
小さめのものは6棟作り
ペンションが経営できそうだ
釣り場はビーチの端にテトラポット
ならぬ大きな岩を沈めて
釣り用桟橋を作った
石で囲った釣りたての魚用生け簀も
ダリルさんと2人で
もうほとんど悪ノリで
木陰にハンモック
石組みのバーベキュー場
ビーチバレー場
あちこちに丁寧に削った石の
テーブルや腰掛
「ライラ…こいつは楽しくなるな…
しかし…なんでこんなことを思いつく
のか…」
「楽しいことが好きだから…かな?」
会場は準備万端
次は食料調達…慣れた魔の森で
フルーツや魔物狩り
あとはお客様を待つばかり
そして…いよいよ
ベルナール侯爵家マルノー子爵家
お嫁に行った姉さんたちと
その家族たち
私の友達が次々と到着
今年の海水浴開催だ
期待通りみんな歓声をあげる
ダリルさんも得意そう
「父様、領地に勝手に作っちゃったけど
…良かったかな?」
事後承諾だ
「これほどのものを…いつの間に…」
ちゃんと開発も手伝ってたし…いいよね
ベルナール侯爵家ご一行様は
大きいログハウスにご案内
「これは…陛下も…」
それは聞かなかったことにする
あとの部屋わけはみんなで相談してもらう
今年はビーチで1泊する
リーゼたちと私は同じ部屋
そこは結婚前なので男女別になる
花火があればなぁ〜盛り上がるのに…
メリエル姉さんとアリティア姉さんは
時たま王都屋敷に里帰りしていたそう
だけど私はすれ違いだったから
姉妹が揃うのも久しぶり
可愛い赤ちゃんもお初で
ひとしきりおしゃべりに花が咲く
身分階級は関係なし
泳いだりハンモックで寛いだり
釣りにビーチバレー
食べ物も飲み物もふんだんにある
暫くしてから私はダリルさんと
一緒に泳ぐ
その後釣りをして
焼きたての魚を食べ
好みの飲み物を手にして
みんなの遊ぶようすを見ながら
「大成功だな」
と小さくガッツポーズ
しかしすぐに恋路は邪魔された
「ダリルさ〜んビーチバレー頼むよ」
ダリルさんもビーチバレーには
ハマっている
今年は細い縄でネットも編んだ
また大人気ない大人たちの
白熱ビーチバレーが始まる
姉さんたちも赤ちゃんはお世話係に
任せて寛いでいるし
リーゼたち4人も仲良く泳いだり
釣りをしたり
メリエル姉さんは夫と子供に2人ほど
お世話係がいるくらいなので
気軽にしている
アリティア姉さんは夫と子供の他にも
嫁いだ伯爵家の皆さんが来ていて
最初は戸惑った伯爵家の皆さんも
すぐに慣れて
好きに遊んでいるよう
1年に1回くらいは
こうして何もかも忘れ
遊びたい
来年は卒業してしまうので…
どうなるのかわからないけど…
夕暮れまで遊び
夕食は肉や野菜の具沢山スープも作り
パンも焼きたてを魔法の袋から出して
大人たちはお酒も
心地よく疲れ
お風呂に入って
私たちは部屋で眠るまで
久しぶりのガールズトーク
ダリルさんは誰と一緒の部屋だろう?
9月から最終学年なので
「卒業後はどうするの?」
という話になる
「リーゼもメリッサも…結婚するの?」
「う〜ん、私は長女だけど…弟がいるし
フェリクスが婿入りするか…わかんない」
「私はルートも色々あるから…2人で
冒険者かなぁ」
結婚はするんだね…
「ライラは?」
「…結婚の話は…まだしてないよ」
「えっ?意外な感じだね」
「そうね、ダリルさんが無事だった話は
まだ詳しく聞いてないけど…とりあえず
助けに行ったわけでしょ?」
「何か…進展があったと思ってたけど?」
やっぱり侮れないな
「もう…押し掛けて…既成事実作っちゃえ」
あっ…それ…実行済み…なんですが…
微妙な顔になりちょっと頬が赤く…
「んん…?まさか…ライラ?」
「あれぇ〜…進展大ありかな?」
そこからは…他に誰も聞いてないのに
頭を寄せてヒソヒソ話になる
彼女たちも大人の階段を登ったらしい
が…結婚前に…できちゃったは
やはりマズいそうで…
ちゃんと卒業もしたいし…
そこのところどうなのよ…みたいな話
学校が始まってガールズトークする時
話すつもりだったけど…
最近身に着けてるネックレスを
見せる…ダリルさんが買ってくれた
「これ…毒対策の魔道具なの…でもね」
身体に異物が入ると解毒排出が
速やかにされる…妊婦さんは
使うと危ない…
説明するとみんなで赤くなった…
「これ…そんな効果も…」
「密かに…買い…ね」
私たち…悪い娘だ…
「でもさ、ダリルさん…無責任な人じゃ
ないと思うから…ライラも…そのうち
結婚の話になるよ…」
結婚…か…
今度は絶対…孫の顔を見る…
みんなを幸せにしたい…
その後話していたら…
いつの間にか眠っていた…
翌朝はまた
スープにパンで朝食
寝具は領地で綿の実を大量に購入し
生地も肌触りの良い物を選んだ
ライラ渾身の物だったので
評判が良く
みんな寝起きも爽やかだ
マルノー領地は温暖な土地柄
牧畜も増えている…
そのうち羊毛布団も作ろう…
今日は夕方までには帰る予定なので
みんな遊び尽くすぞ〜とばかりに
海に入っていく
朝は水が少し冷たい
さっそく水のかけ合いで騒ぐ
遊ぶ時は真剣に遊ぶのだ
私も弟たちに思い切りよく
水をぶっかけてやった
エリックは私が卒業したら
貴族学校に入学か…
アメリア母様は寂しくなるな…
…と…水かけの反撃が…
「やったなぁ〜…よし、くらえ〜」
はい、大人気ないです…
朝っぱらから
ビーチバレーも繰り広げられる
伯爵家のみなさんも
すっかりハマったようす…
昼食はまたバーベキュー
各々お皿を持ち好きな場所で食べる
もちろん料理が一段落したら
料理人やお付きの人たちも
かき氷があればなぁ〜
待てよ…作れるかも…
試してみるか?
野苺の果汁を砂糖を入れて
少し煮詰める…冷やして…
うん、いけそう
氷を出して
スープ皿に…雪のようになあれ…
野苺のシロップをかけて
スプーンで…サクっと…
コンデンスミルクはないけど…
なかなかいける
飲み物とは違う氷菓子
「何…食べてるの?」
お客様がさっそく来た
「えっ?氷…食べるの?」
まあまあ…試してくださいよ
口の中で溶ける細かい氷の感触…
すぐにみなさん気に入ってくれた
私は暫くかき氷屋になる
ビーチバレーの合間にかき氷
定番になりそう…
シロップの研究が課題だね
日が傾き始め
名残惜しいけど
後片付けを始める…
食器や調理器具はまとめて洗浄
魔法の袋に仕舞う
ゴミはビーチの端で燃やして埋める
夕方前にはみなさんを送って
ダリルさんとビーチに戻り
ログハウスは風魔法で掃除して
状態保存をかける
今年の海水浴も大成功
楽しかった…
休暇の残りも後わずか
また領地開発と狩りに採取に…
父様の開発計画は
レナート領地との境の山脈も
視野に入れている
レナート辺境伯爵家と
マルノー子爵家の共同開発になる
山脈の上には飛竜がいるが
色々な鉱脈がある可能性が高い
ちょっと私が飛翔して視察したから…
飛竜も何体か狩った
時間のかかる開発になるので
卒業までお預けだけど…
色々あった休暇…
学生時代最後の休暇が終わった
最終学年になり
また寄宿舎生活が始まる
私たちは成人になる年で
子供気分はなくなった…学校では
みんな背も伸びて
男子はすっかり大人の声になり
女子は娘らしくなった
私も160センチくらいの身長になり
ダリルさんと並んでも子供っぽく
見られなくなったと思う
ダリルさんは元々背が高いし
ガッシリした体格なので…
無精ヒゲの時はちょっと年齢差を
感じるけど…
クラスメイトとは、少し話をする
くらいであまりお互い知らないまま
過ごしてきた
普通科学校はみんな冒険者をして
それぞれパーティを組む
自然とパーティメンバーとは
より親しくなり
広くて浅い友達付き合いは
する暇がない
これは、まあ…仕方のないことだ
卒業後の話はそれぞれなんとなく
耳に入ってくる
冒険者を続け家計の足しにしながら
家業を助ける者が多いようだ
親の決めた婚約者がいるとか
中には家のために
側室コースが決まっている者も…
普通科学校は
あまり恵まれた者はいないことに
改めて気がつく…
私は…数少ない恵まれた者だ…
図書館の本も読めるだけ
読んで書き写したりしておく
本も買うとなれば高価だ
印刷技術が限られた古代魔道具に
頼っていて
学校の教科書は印刷だが
多くの本は写本だ
数が少ない分高価になる
授業は基礎から少し専門的になったが
普通科学校は主に平民向けなので
それほど難しいことはない
実技はみんな冒険者で腕を磨き
かなり個人差があるが
高度になった…5年目だ冒険者なら
みんなそれなりの腕前になっている
弟は冒険者ランクがEになったと
喜んでいる
跡継ぎだから…程々にしてほしい
危険な目に遇わないよう願う
まあ、跡継ぎの自覚はあるらしいので
そんなに無茶はしないと思うが…
おまえが言うなと言われそうだし…
卒業までの日々…いつも通りに、
でも、何かを確かめるように…過ごした。
子供の学校の新学期が始まりました。
昼寝生活が逃げて行く。




