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ふたつの想い
悟・視点です。
「え……」
夢でも見ているのかと思った。しかし、自分の頰を抓る余裕はなく、ただ現実であってほしいと願う。
「それって……」
あまりにも都合が良すぎて、信じるのが怖い。しかし、自分の解釈が間違っていないとすれば、これは……。
「実が、俺を好きってこと……?」
「うん。そういうこと」
実がにこっと笑う。つられて、俺も笑ってみる。顔が熱い。多分、真っ赤になっているだろう。そう思うと、なんだか恥ずかしくなる。
「夢だったら泣くな、これ。……俺もずっと好きだった」
「ほんと……?」
信じられない、とでも言いたげな顔で、実は俺を見つめている。
「……実が好きだ」
囁くと、実は嬉しそうに笑った。
「今日は無理やりあんなことして、ごめん」
「……うん」
「こんな俺だけど、これからは恋人として一緒にいさせてほしい」
今まで重ね続けてきた想いをのせて、実に伝わるようにと願う。
実は何度も、何度も頷いてくれた。
「俺、言ってよかった……」
独り言みたいな呟きが愛おしくて、俺は恋人をそっと抱き寄せた。
次話で一応完結します。
読んでくださり、ありがとうございました。