表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今までも、これからも。  作者: マキ将軍
2/6

実の気持ち

1話目の続きになります。

語り手が悟から実にかわっているので、

ご注意ください。

何かの終わりだと思った。悟からキスされる、とか。今まであった色々なものが、一瞬で崩れていくような気がした。怖いようで、嬉しい、おかしな感覚。こんな瞬間を、俺はどこかで望んでいたのかもしれない。俺は、悟が好きだった。

狂おしいほどの想いを、必死で隠して、続いていた平穏な日々。俺たちの関係は、親友と呼んでいいものなのかわからない。友情に俺の恋心が不純物として含まれていることを、俺は知っている。しかし、悟はいつも俺の隣にいて、そのことが俺の想いにブレーキをかけていた。

本を取って立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。『貸出・返却』と書かれたカウンターに行って、本を差し出す。

「これ、借ります」

自分の声が、少しだけ震えて聞こえた。

「はい。貸出カードはありますか?」

そういえば、図書室で本を借りるのは初めてだった。入学してから半年以上経つが、あまり本を借りる機会がなかった。

「持ってないです」

「では、こちらにクラス、番号、名前を書いてください」

図書委員の冷たいほどに事務的な口調は、何故か俺の気持ちを落ち着かせた。

新しい貸出カードと一緒に差し出されたボールペンで、空欄を埋めていく。

書き終えたものを渡して、本を小脇に抱える。

「2週間後の、12月6日までに返却してください」

「はい」

なるべく足音を立てないように静かに歩いて、図書室を出る。

家に着いたら悟に電話しようかな、となんとなく考えながら、靴を履き替え、家路についた。

次回からも、語り手(視点)が交互にかわる予定です。


読んでくださり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ