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俺に名前を付けておくれよ

俺が目が覚めると、強い雨がザーっと降り続いている

どうやらこの村の気候らしく、本格的な夏に入る前に雨や嵐が来るらしい、日本で言う梅雨が酷くなった感じだな。


この時期になると村人達は営業せず、各自家に籠って各々に時を過ごす。


流石に暇だな


俺は広い畳の大広間で頭を伏せる


気温も涼しくとても過ごしやすい気温と湿度だ


俺は眠くなってきて掛け布団をかけると眠くなって眠ってしまう


------


しばらくして目が覚め俺が体を起こすと神社の人が「お目覚めですか?竜神様」


俺は目をゴシゴシしてあくびして頷くと神社の人が「朝食でございます」


トレーに乗った食べ物はおにぎりだ。手に取って食べると美味かった


うん普通に美味いな、具は・・・入ってるわけねぇか、流石にこの時代背景では贅沢言い過ぎだな


食べ終えると神社の人達が雨だってのに、たためない布張りの傘でわざわざ集まり

俺に手を合わせ祈りを捧げている


本当毎度毎度この光景嫌いなんだよな。俺は大した力があるわけでもない、崇められるだけの価値が無いのに、こいつらは崇めてくる。これじゃ俺が詐欺師みたいじゃねぇか


祈りを捧げ終わると、俺は気晴らしに神社の外のデッキに伏せて雨の音を聞きながらのびのび過ごす


「ん~~~・・・」『ガァ~~~・・・』

寝っころがって背伸びして


「ふぅ」『フガァ』 

仰向けでポテっと倒れる。


倒れて見えた水たまりの先に自分の姿が反射して思う


俺って人間じゃないんだよなぁ・・・



そんな事を考えていたらとある事を思い出した


そういえば神社のために手伝いはしてなかった。

いちを寝る場所、食う場所与えてもらってんだから何かせねば


『働かざる者食うべからず』

俺は働き過ぎるのは嫌だが適度に働かないとやはり気が済まない性格なのだ


どうするか考えた結果神社でやってる事を後ろから見て、それを真似る。


それでまず神社の人達がどこに行ったのか探していると


見つけたが驚いた、雨の中何か木刀のような物で素振りしている3人の人達


雨の中木刀を「セイヤッ!!ハッ!!セイヤッ!!」と振っている

おいおいこんな土砂降りなんだから、せめて建物でやれよ、とツッコミたくなる光景だった


これはとてもじゃないが手伝えないので、今度は中を探索した。あんまし神社はウロウロした事ないので分からなかったが以外とこの神社は広く、あの人達の住まうエリアと俺が祭られている大広間の場所、そして道具とか料理とか、色々しているエリアと別れている、それらが屋根付き廊下で繋がっていてた。


俺は居住区へと向かう


すれ違う度に神社の人は頭を下げて、頭に手を置き、作法なのかリズムよく動かしてお辞儀する


俺はもう無視して進んで居住区エリアへと行くと、


若い人から高齢の人まで幅広い年齢層の神社で働く人達が一斉に掃除をしていた


俺は指パッチンして


できるじゃん、俺ができる事


俺はさっそくタオルのような物を持ってきて机や、気になった所を掃除していると

「竜神様が手伝ってくれている!?」「お、大主様を呼んでくれ!!」


そして俺にお説教染みた事してくる嫌いなジジイがやってきて

「竜神様、これは私達に与えられた大事な使命の一つです、貴方様が手伝う事ありません、どうか神社の中でくつろいでいてください」


俺は溜息を吐いて嫌になって抜け出した


「ったく・・・なんだよ、好意で手伝ってゆってるのに」『グル・・・グガ、グギャア』


そう呟いているとたためない傘でエルローラが会いに来てくれていた


「っお!エルローラ!」『グガッ!ギュルル!』


エルローラが俺の頭を撫でて「なんかさっきすごく嫌そうな顔してたけどどうしたの?」


「・・・神社の人達がうざいんだ」『・・・ガウ!グル、ガッ!』


エルローラが苦笑いして「だよね・・・流石に雨の日に連れ出すのはマズイから神社の人気のない所で話そうか」


俺も頷いて案内する。道具とか置いてある倉庫エリアの端にあるデッキだ


デッキからは本来晴れていればここに神社の人たちが洗濯物干しに使っているバーがあり

その側に洗濯物のカゴを置いたりするスペースに腰掛ける


これでやっとエルローラと二人っきりになる。

やっぱり落ち着く、これぞ俺の居場所って感じにさせてくれるなぁ彼女は


エルローラは俺を抱っこして太ももの上に座らせて

「ねぇ、最近だけどやっぱり私、竜神様の言葉が分かるの。あのグギャアとか喋ってる後ろにもう一人の男の人の声みたいなのが一緒に聞こえてきて・・・最初は何だろうって思ってたんだけど・・・最近はだんだんはっきり聞こえるようになってきたの」


「ありがたいよ、意志が伝わるってすごく嬉しいからさ」『ガウッガルルル!グギャ!』


エルローラは俺の頭を撫でて「意志が伝わるか・・・ここの村で竜神様の言葉が聞えるのは私だけなんだよね・・・なんだか嬉しくて」


俺が撫でられながらエルローラを見ると「私ってね、村で同い年の子が居ないの・・・だからすごく寂しくて・・・私・・・だからこうゆう話し相手ができた事が嬉しかったの、まだ複雑な言葉になると竜神様の声・・・聞き落としちゃうけど」


「・・・・・・なぁエルローラ」『ガウ!ガウウ!』


「ん?何?」


「俺に名前をつけてくれないか?」『ガウ!ガウガウッ!フガ!』


「っえ?竜神様に名前を!?」


俺は頷いて「頼む」『フガッ!』


正直俺は前世の名前をはっきりと覚えている、だが俺はここの世界の住人で前の世界の住人ではない。ならばこの名前も使わず、こちらの世界で名前を貰いたい。


「それじゃあ・・・レイヤール・・・ここの村に伝わる言葉の一つで、意味は・・・守る者、私を守ってくれたから・・・」


「レイヤールか・・・良い名前だ」『グルゥ・・・ガウッ!』


エルローラは笑って座っている俺を抱き締めてきて

俺も少しだけ顔が赤くなる


それを遠くから見ていたのは大主様

「あの子・・・竜神様と会話できている・・・?だとしたら・・・フフッやはり予言の通りだな・・・」影で白髪と白い仙人のような髭の大主が笑う


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