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竜生初めてのお手伝い!

狼が片付いて、ようやく家に戻ろうとすると母親が迎えにきてくれていたようだ。


エルローラは泣きながら母親に抱き着いて行った


どうやら狼の遠吠えを聞いてエルローラが心配で近くまで探しにきてくれていたようだ


母親がエルローラを抱きしめて「良かった・・・無事で・・・」

母親は俺に一礼すると神社の主である大主様が呆れたように首を振り「あれだけ夜の森は危険だと村の者にも忠告しているのに・・・まったく竜神様の加護があったからだろう。村の者も夜に外に出る事は禁止する、良いな!!」


こうして一件落着したが・・・話では狼の数は今年に入ってから異常だという森の奥の方で何かあったと言われているがこの件に関しては大主が慎重に対処するという事らしい


そして何事もない平凡な一日へと戻る事になる


-------


翌朝俺は目覚めて目をごしごしして周囲を見渡し

「さぁ~て今日は何すっかな?」平日だし何か働かないと


俺は家の家訓が『働かざる者食うべからず』だったので俺は自宅に隠れている選択種が無かった。動いてないと落ち着かないって事だ、何もしないと休みの日はともかく平日はサボっている事に罪悪感を感じてしまう性格だった。故に追い詰められた時自殺を選んでしまったわけだが・・・


とりあえず今は住まわせてもらってるし、何かしないと駄目だな、神様だって働いてるんだ


とりあえず神社なので仕来りや色々あるだろうから管理人になった立場で考え何かできないと考える


その結果掃除だった、正直依頼されていなくても綺麗にしておけば喜ばれる、掃除して駄目だという奴は少ない、整理や分別の場合マニュアルがあったりするから物の移動とかは駄目だろうけど


ゴミ拾いしていると大主様と呼ばれる、この神社の偉い人がやってきて

「竜神様!ゴミ拾いなど下の者に任せておけば良いのです!あなた様はただ気楽に過ごしていただきたい!」


そう言われてもなぁ・・・何もしないってむず痒いんだよな・・・


俺が困っていると大主様はため息を吐いて「分かりました・・・そこまで何かなされたいのであれば元気な所を村人達に見せてやってください」


つまり見回り巡回って事だな!任せろ!


だが実態はただの挨拶回りだ。何でも俺が毎朝挨拶に向かうだけでご利益があると信じている村人にとっては俺が挨拶に来るだけで十分だ言われてしまった。


俺はどうにも納得がいかないが、見回りの最中で何か役立てる事があるかもしれない


しばらく俺は大主様に従う事にした


------


そして今日も・・・挨拶回りを始める


色々な物を取り扱う、エルローラのお母さんのお店で

「おはよう!」『ガウガッ!』


「あら、毎日来てくれるのね~嬉しいわぁ」


肉屋で

「おはよう!」『ガウガッ!!』


ガタイの良いおじちゃんが「おう!おはよう竜神様!」


そして各民家を回る簡単な仕事だ


そして俺は、村の中心にある井戸を守る屋根に日時計の役割を持たせるため棒を取り付け井戸を囲う石に数字を掘り、井戸と日時計を両立させた、井戸日時計を見て


まだ9時だってのに・・・もう終わっちまったよ、俺の仕事・・・

「ハァ・・・」『ガァ・・・』


俺のドラゴン声の溜息が広がると「あら?竜神様?」


エルローラが話かけてくれた、俺が伏せて退屈そうな顔から、パァと明るくなり体を起こすと無意識に尻尾がゆっくりと動いて感情表現してしまう、犬のように高速に動かないが、ゆっくりゆらゆらと振ってしまいエルローラは嬉しそうに


「ふふっ、最近だけど私やっぱり竜神様の言葉が聞えるの!何か言ってみて!」


おっ本当か、ちゃんと実験してなかったなそういえば

「お元気ですかぁ?」『ガウガガァ?』


エルローラは冷汗をかいて「も、もう一度いいですか?」


「お元気ですかぁ!?」『ガウガガァ!?』


エルローラはしばらく硬直して「うん!昨日のご飯はハンバーグだったよ!」


駄目だこいつ全然分かってねぇ・・・俺がガックリするとエルローラは

「ごごご、ごめんなさい!!そんなに落ち込まないで!!」


エルローラは俺をなでなでして俺を慰める


俺が涙目になっていると村人達が「あははは!エルローラが竜神様に嫌われたぞぉ!」


俺がムキッとして「嫌いじゃない!俺はむしろ好きだぞ!」『ガウガァガガ!グルガァ!!』


村人達が俺が少しムッとしていることに謝ると早々に走って去って行くと

エルローラが真っ赤になっている


「エ、エルローラ?」『ガウグガ?』


エルローラは自分に暗示をかけるように「竜神様は私の事好きなんて言ってない・・・私が単に誤解しただけ・・・」これを三回ほど復唱している


俺も冷汗を出して見守っていると、エルローラが四回目を言い終えた瞬間


「よしっ!!」


俺がビックリしてビクッと動くとエルローラと目があった瞬間ぶっ倒れる


「お、おい!!エルローラ!!」『ガウガッ!ガガァ!!』


エルローラは目を回して「ふぇ~」とか言っている

結局俺が担いで母親の所まで連れていくと母親が大笑いして

「竜神様の罰当たりさ。最近は竜神様の事ばかり考えていて、こんな感じに考えては破裂してを繰り返してるんだよ。でも大丈夫さ、井戸時計が1センチ動く頃には復活するって」


エルローラがガバッと起き上がり俺が仰天して倒れると


「っあ!」


俺が仰向けで驚いた顔で『ギャウ・・・』


エルローラの母さんが爆笑して「ブハハハ!!あんた達、本当に面白いわね!!アッハハハ!!」


エルローラは慌てて手を高速で振り、首も動いている「わ、わ、私また竜神様に失礼な事を!?」


俺がフニフニのお腹を向けて、エルローラをジーッとみてると


「あわわ、私また」


そこでエルローラの母親が「はいこれ」


渡されたのはマンゴーに似た果実だ


エルローラが「うわぁ!アップルマンゴー!どうしたのこれ!?高い奴じゃない!」


「なんか安かったから仕入れちゃったのよ~だけど誰も買わないから私がこっそり食べようと思ってたのを冷やしておいたの」


俺も貰って手に取ると確かに冷たい


エルローラはそのまま皮ごと喰らい付き

「う~ん!!美味しい!!」


俺もガブッと食べると、確かに美味い、酸味が少なく、タルトの上に乗っけても問題ないぐらい甘く美味しかった

俺はペコリと頭を下げると「いいのよ!いいのよ!どうせ渡すつもりだったしね」


エルローラは店の裏側のデッキに足を垂らして見上げて

「最近も暑くなってきたねー」


母親は頷いて「そろそろ雨が長引く時期だからね~家の屋根今の内に補強しとかないと


そこで俺はピクッと動き「手伝います!」『キュウガァ!』


エルローラが頷いて「今の言葉ははっきりと聞き取れた!お母さん!竜神様が屋根の補修に協力したいって!」


「えぇ!?見つかったら、神社の連中が怒りそうだけど・・・確かに店番しなくちゃいけないし~・・・うん!エルローラ、やり方を教えてあげな」


エルローラはヨッと飛び上がりデッキから降りて「分かった!こっちにきてください!」


俺はついて行くと道具を入れる倉庫に案内されて

「えぇーっとハンマーハンマー・・・」


女の子がハンマーハンマーって・・・なんか怖いな


「あっ!あったあった!それと釘・・・うーん釘どこだろ」


釘・・・なんか呪いでも始めそうで怖い


木の板を数枚持っていて


俺はハシゴを持つ、身長130cmの俺に高さが2.5mほどのハシゴ持たせるなんて・・・


俺はオタオタしながら運んで屋根にハシゴをかける


そうするとエルローラが慣れた手つきでヒョイヒョイ登って、石と木を組み合わせて作った屋根にハンマーで追加の板を取り付けて行く


口に何本もの釘をくわえてハンマーを振るう姿はまるで大工、

たくましいなぁ・・・


そんな事を思っているとエルローラが「竜神様気が変わって手伝わなくなっちゃった?」


俺は首を振りハシゴに向かう


ガタガタして怖い


立て掛けているハシゴに上って屋根に行くなんて前の世界でも経験も無いから怖かった


「こ、怖ぇぇぇ!!」「ギ、ギャウゥ!!」


エルローラがクスクスと笑って「ドラゴンで翼もあるのに何で怯えてるの?」


翼があっても飛べなきゃ怖いもんは怖いんだよ!


俺はガタガタしながら屋根に上り板を押えてエルローラがハンマーを振るう


ガンガンガン!


そしてしばらく叩き続けていると美味そうな匂いがしてきた、

コンソメスープみたいな匂いだ


エルローラが匂いに気づくと井戸日時計を見て「っえ!?もうそんな時間!?」


俺も気が付かなかった、本当時間の流れって早く感じるなぁ


エルローラはヒョイヒョイハシゴを降りて行く


俺がハシゴに足を掛けようとするとブルブル震えて、まるで怖くて降りられない子猫みたいになっている


エルローラが呆れて「竜神様翼あるんだから滑空して降りればいいじゃん」


ちょ、ちょっとそんな事いきなり言われても・・・


俺はとりあえず翼をばさばさ動かしてみるとかなり風圧が起きる

確かに体は軽くなるような感覚はあるが怖いもんは怖い


とりあえずピーンと伸ばして下りれば真っ逆さまに落ちる事は無いよな・・・多分・・・


俺は勢いをつけてジャンプして飛び降りると

紙飛行機みたいにスゥーと飛び、俺のスベスベのお腹がピトッと地面について

生きた心地が戻ってくる


「お、思ったより綺麗に落ちるんだな・・・」『ギャウガガ・・・』


エルローラが笑顔で「大丈夫だったでしょ?」


俺もコクコクと頷くと、家から声が聞こえる母親の声だ「ちょっとエルローラ!?スープ冷めちゃうわよ~!」


「は~い!今行くよ!!」


エルローラと家に戻りスープを一緒に飲む


うん美味い、しっかりと味が付いてて野菜もしっかり煮込んである、きっと店番している間にも煮込んでくれていたようだ


「美味しかったぁ~!」とエルローラが器を置くと俺も同じように飲み干す


母親が「しっかし本当よく人間みたいに食べるわよね、てっきりじかに飲むかと思ったけど、人間みたいにフーフーして少し飲みやすくしたり、飲む時もペロペロじゃなくて人間みたいに器用に飲むし、竜神様って中身はちょっと特殊な人だったりしてね」


俺がビクッと動くとエルローラも頷いて「本当私もそう思う!だってドラゴンなのに高い所苦手だったり、人間らしい所もあるし」


2人が俺を見つめてきて俺は戸惑って

「人間だったんです・・・」『ギャルウン・・・』


エルローラは今回は聞き取れなかったらしく「っえ?ごめんもう一回言って」


でも何故かホッとした、俺が人間だとバレたらよくない事が起こるかもしれないから・・・


そして残りの時間もハンマーを振るって屋根の補強を済ませる


「ふう!完成!!多分ね、後5日、3日したら雨がしばらく続いたり雷雨だったり、するかもしれないからね」


俺も気が付けば母親が、ガラスやドアを補強を始めている、ガラスの前には板を


家の入口には土手袋を

本当に雨が強いのかもしれない、気が付けば、他の民家も全て同じような補強が済ませてある


そうしてしばらく俺達はデッキの上でエルローラと昼寝していると夕方に神社の人が戻られた


「竜神様、そろそろお帰りに」

俺は頷いてエルローラとバイバイして帰る


神社の人達は少し俺に困った顔で「竜神様・・・村の者達も最近は竜神様をペットか何かに勘違いした振る舞いが数多く見られて私達は不快に思う事があります。神聖な貴方様を村人達は普通の人として接する機会が多く見受けられる・・・特にエルローラ彼女とだいぶ親密な関係を結んでいるようですが、彼女は一度竜神様を危険にさらしている、もう外に出られるのは控えてください」


俺は溜息が出る、『俺には何の力もねぇよ』と言いたい所だがエルローラにしか俺の声は届かない、エルローラは大事な時に俺の声を拾ってくれる


だから彼女の側に居る、お前達みたいに無駄に崇めず、最近は俺を友達として見てくれている、それが今の俺にとって何よりも嬉しい事なんだ


俺は神社の中心の祭壇のような眠り心地の悪い位置のベットで俺は伏せて寝る


次回更新日は8月11日 午後中

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