旅の始まり
王国に1人の騎士が歩いてきた、顔はライオンを模したヘルメットで隠れていて顔が見えない、鎧も銀色の高い物で、黒いマントに大きく白い竜の紋章が書かれている
「よう、フリース国王さん」
フリース国王は騎士を睨み「ドラグラウ王国・・・何のようだ?」
騎士はヘルメットに手を当てて「いやぁ、黒いドラゴンが現れたって聞いたから、飛んで来たんだぜ?そのドラゴンを狩る許可が欲しいなぁ~なんて」
フリースは睨み「断る」
「だろうと思ったよ、だからこれ」渡された書類は帝国の承諾書だった
「貴様・・・あのドラゴンは人の知性を持ち合わせ、人々の助けとなる存在・・・貴様のような生き物を粗末に見てる者になど・・・」
騎士は笑い「ハハハ!ようく分かってんじゃん!俺はドラゴンの装備が欲しい。ドラグラウ帝国の装備は自前で容易しなきゃ駄目なんだよぉ~分かってくれる?」
フリースは睨み「貴様の装備だって家一件買えるほどの値段がするだろうに」
「残念・・・豪邸が建つほどだよ・・・ギャハハ!それじゃ、ドラゴン退治に向かうとするか~!!」
フリース国王は頭を抱え「至急レイヤール殿に身の危険を伝えろ」
「っは!!」
その騎士はウロウロ街をふらついていると、馬車が急いで出て行くのが見えて「フリース国王さんがそんなに入れ込むドラゴンねぇ・・・なんかノッテきたぁぁ!」
街の住民が白い目で見て来て周囲を見渡し「アレ?ギャハハ!すみませんねぇ・・・」と困惑する
―――――――
その頃レイヤールは
ようやく注文した機材が搬入され始め、採掘がスタートにこぎつけていた
俺がリストを見て「機材って言っても溶鉱炉とピッケルと爆弾か・・・うーむ・・・」
調査班の人達が頭を下げて「すみません、ドラグラウ帝国の規制によって火薬は調達するのに苦労するのです」
「ドラグラウ王国?」
エルローラが説明してくれる「ドラグラウ王国は山の天辺にある王都で、このミルガルド地方を仕切っている帝国なんだよ、戦争に何度も勝っていてその配下国にフリース国王の国があるの」
やっぱり中世と帝国って結びつけたように存在するんだなぁ・・・その国のエラそうな態度が目に浮かぶぜ
そこへ村人達もさっそく仕事しに来て「最近物も結構流れてくるから俺達も働き甲斐のあるってもんだぜ!」「さぁて金属掘るぞ~!」「お金溜めれば何でもできるんだろ?やってやるぜ~」
村の男たちが次々とピッケルを持って洞窟へと入っ行く
調査隊の人達が「私達はマッピングを済ませたので王国へと一度戻りますね」
俺も頷いて「あぁ、ご苦労だった」
エルローラが翻訳した後頭を下げて一礼すると「レイヤールのおかげで村も活発になってきたし・・・本当感謝してもしきれないよ」
「俺はこの村の価値を皆に教えただけだ。後は村の人たち次第って所だ」
エルローラは洞窟を見て「たくさん掘れるといいね金属」
「調査隊の話だと10年単位で掘りつづけられるそうだ、もしかしたらそれ以上とも話していた」
エルローラがモジモジして「10年後私達はどうしてるかな?」
「さぁなそんな未来の事なんて分からない」
「そうね分からない・・・よね」
エルローラはどこか恥ずかしそうだ、きっと結婚したりとかそんな事考えているのだろう、だがそれも悪くない。これからの人生・・・いや竜生は幸せな物にしていきたいからな
だがその瞬間だった
「レイヤール様!!」
王国の兵士が走ってきて「レイヤール様・・・急いでお逃げください!」
「ど、どうしたんだよ!?」
「ドラグラウ帝国の者が貴方様の首を目的にこちらに向かっています!」
「な、なんだって!?俺の首!?」
エルローラが拳を握り「どうしてそんな事を考えるのですか!?レイヤールは悪い事は何も・・・」
「そいつは気楽な地獄の異名を持つベルスターズ・レイ・ロナメスというドラグラウ王国の精鋭騎士です!ドラグラウ王国の戦争を勝利へと導いた功績があると言われています!ミルガルド一の最強の騎士です!そいつの特徴は欲しい物は絶対に手に入れる事・・・今回はレイヤール様のお体・・・つまり自分の武具を作るためにレイヤール様の素材が目的です!」
だが俺はいまいちピンとこなかった
ぶっちゃけ俺は死なないからそこまで『殺される!』ってビビらないけど・・・鱗とか皮とか剥がされるのは嫌だな・・・
俺はそこまで深刻な問題じゃないけどエルローラは絶対にやらせないって顔だ
うーむ・・・聞いてみるか
「ねぇ、ぶっちゃけ俺死なない体だし、素材の一部くらいくれてやってもいいんじゃないか?」
エルローラが俺を見て「相手は変な奴なんでしょ?レイヤールが不死身だと知ったらレイヤールは帝国に捕らわれてずーっと素材を殺されて剥ぎ取り続けられるかもしれないんだよ!?」
っあ、うん、逃げよう
俺の頭が一瞬にして逃走を選択した
そうすると兵士が「海を渡る事ができれば帝国も追跡を諦めるかもしれません、海の向こう側は帝国の支配地域では無いのでいくらベルスターズの権力でも敵国まで侵入する事は難しいでしょう、海外に出る事をお勧めします。お供したい所ですが・・・私は生憎フリース王国の兵ですので領地内てしか護衛できません」
俺は頷いて兵士に手を振り「ご苦労様。今日中には決めるよ、ありがとう」
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俺神社の中の量の個室でエルローラと神社で2人になって話す
「どうする?逃げるか?俺は今すぐにでも逃げたいんだが・・・」
エルローラはアウアウしていて「私も本心は行きたい!・・・けど・・・」
そんな時部屋のドアの外から声がする「行きたいんだろ?エルローラ」
エルローラは振り返くとドアからエルローラの母親が現れる「お母さん!」
母親は全て見抜いていた顔で
「ふふっ、あんたが旅に出たい!って言うかもって実はちょくちょく貯金していたのさ・・・ほらこれ、旅用の替えの服と、お金・・・」
エルローラが袋を受け取り中身を見ると驚愕した
なんと1000ゴールドも入った袋を渡してきた「お母さんこれって・・・相当な大金じゃない!?馬が買える程だよ!?」
母親は優しい目で「エルローラはこんな村で小さくしている身じゃない。私は気づいてるんだよ、アンタが王国から帰ってきた時ウズウズしていた事もさ。レイヤールも高跳びしなきゃいけないようだし良い機会だ!行ってきな!」
「お母さん!」
俺は立ち上がり「決まりだな!」
エルローラは母親に抱き着いて「お母さんありがとう!!」
こうして俺達は旅と言う逃走生活が始まったのだった・・・
――――――
俺は装備品としていつものレザー防具を装備しようと倉庫で準備していると大主様がやってきて
「レイヤール殿」
俺は大主の顔を見るや顔を背けて
「なんだよ?」
「これを・・・」
渡されたのは見たことない鎧と衣服だった
胸は鉄製のプレートの防具とマフラーのような長い黄色の布
そしてサイズが調節できる俺のガントレッド腕に装着するグローブそれに足を保護する防具
「これは?」『フガ?』俺は頭をかしげると解説してくれる
「昔、この村を守護していたドラゴンが身に着けていた我らが家宝・・・渡すべき時になった時渡そうと思っていたのだ」
なるほどね・・・絶好のタイミングだな
俺は頭を下げて受け取り全て防具をつける。
お腹から尻尾まで素っ裸ってのが少し気に障るが、ドラコンなので下半身履かなくても大丈夫だろ
それと初めて鉄製防具を見につけたが予想以上に重い・・・
だが黄色のマフラーを身に着けると体がフワッと軽くなり防具の重さを感じなくなった
驚いた俺は思わず声を出してしまう「お、おぉ!?」『ガ、ガウ!?』
「そのマフラーにはかつて初代竜巫女、フローラ・リュイナス様が手掛けた装備品と言われておる。我が家の家宝だ」
そのマフラーが意外と俺の姿に似合いマフラーの長さも丁度地面に擦れないギリギリまでの長さで、サイズぴったりでかっこよかった
黒に黄色のアクセントがついたドラゴンになった
そして大主様が「最後にこれを・・・」渡されたのはピアスと角に取り付けるアクセサリー
ピアスにはダイヤ型の宝石がブラブラと揺れていて、角にハメる装飾品は魔法の術式のよう物が刻み込まれ青く光っている
なにか封印的な要素がバリバリ大ありのアイテムそうなんですけど・・・角に入れるこれは大丈夫なのかな・・・
戸惑いつつも角へと取り付けピアスは嫌だったがぶっ刺す「痛っ!」『ガ!』
だがその瞬間体の防具が全て揃った事からか、体が軽くなり力が湧きあがった
「!!」
きっと攻撃力アップとスピードアップとかエンチャント効果が付与されていてセットボーナスとかに違いない。
大主様に初めて感謝できた気がした
そして俺は倉庫から外に出るとエルローラも準備を済ませてきたみたいで、いつもの竜巫女の衣装とは違い露出度も低くなり、防御力が高そうなローブを着ていた。かるく突いてみると驚いた、ギブスみたいに布がカチコチになっている箇所があり、防具として機能するローブだった。デザイン自体は竜巫女の衣装と似ていて母親が丹精込めて作ったのが目に浮かぶ
「レイヤールも凄い防具つけてきたね?」
「エルローラこそ」
お互い笑って「それじゃ・・・行きますか!」
「うん!!」
こうして2人の旅という名の逃走が始まった
ようやく旅に出ます!