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一狩り行こうぜ

身長が人並程度になった事で色々と不便だった、階段の上り下りや、手が届かなくてエルローラに助けてもらっていた恥ずかしい事なども減って生活しやすくなっていた。


俺はガントレットの鱗を自分でブラシがけしているとエルローラがタオルを持ってきて

「私のお気に入りの石鹸で背中流してあげる!」


「い、いいのか?その石鹸結構高くて誕生日ぐらいしか手に入らないんだろ?」


エルローラは笑顔で「別にいいの!」


俺のフニフニした背中に石鹸をつけたフローラルな香りのするタオルでゴシゴシと擦る


俺の肌がズルズル剥けてエルローラが驚く「脱皮が上手く行ってない箇所がいくつもあるね!私が全部綺麗にしてあげる!」


「お、おう・・・」


擦ったタオルを見せてもらうと黒い皮がたくさんこびり付いていて自分がいかに綺麗じゃなかったが実感させられる


これでも結構綺麗にしてたつもりだったんだけどな・・・


親密に接していると村人達が笑って「またイチャイチャしてるのかエルローラ?」


俺は思わず『フガッ!?』と慌ててしまいエルローラが苦笑いして「何動揺してるのよ!」


「・・・・・・わ、わるい・・・」


俺達の距離はより密接になっていた


――――――――


俺達の仕事は主に村の周辺の害獣処理、俺が生まれてから村から害獣は減ったというが、それでも危険な魔物は多く済んでいる。この間のファルコン程ではないが、大きい魔物は度々やってくる。


今日も俺は大きくなったガントレットを一撃、牛に似た魔物に殴りこむ

「グモォォォ!!」黒い体に俺のカントレットが重くめり込む


中の骨がズタボロになり動けなくなった所で頭を思いっきりぶん殴り頭蓋骨が砕き、糸が切れた人形のように動かなくなる


俺は汗を拭い「ふぅ・・・こんな物か」


エルローラがうんうん頷いて「流石レイヤール!もうすっかり戦闘にも慣れたね!」


俺も鼻を擦り「まぁな!死んでも大丈夫って分かってからそこまで恐怖を感じなくなった」


エルローラがニシシと笑い「不死身の体なんて反則だもんねぇ」


俺も同感して頷いて「全くだ」


魔物の処理が終わり、俺はその牛みたいな奴を担いで村に戻ると早速村人の解体ショーが始まる、俺が仕留めた獲物は食えれば村の皆で食うのが主流になっている


意外と美味い事が多く魔物は倒した後も素材と食糧として使われていた


牛なだけに結構な期待が高まっている


血抜きを済ませ、村人達は肉を切っては、鉄板や炭火で焼いたりして食べている


俺も食ってみると以外と牛肉で美味かった、しかし塩コショウやタレが欲しくなるところだ、この村では塩しか手に入らないからな


今日の晩飯が済み、俺は神社の宿舎で眠る。いちを女性という事なので部屋が別々になっているが、エルローラはしょっちゅう俺の布団へ来る


そして今日も俺の布団にズリズリ入ってきて

「エヘヘ、ごめんね」


「そろそろ1人で寝られるようにならないのか?」


エルローラは頷いて「だってレイヤールのフニフニの部分がヒンヤリして気持ちいいんだもん」


俺が暑いんだが・・・まぁでもエルローラのぐっすり安眠している様子を見て悪くないと思った


――――――


翌朝


俺は下半身に違和感があると布団をめくるエルローラが俺の股に顔面を突っ込んで寝ている

「おいおい!こりゃいくらなんでも!!エルローラ!エルローラ!!」


寝ている時の俺は、爬虫類からか、起きている時は服を着て大丈夫なんだが・・・寝る時は服を着ていると安眠できないため脱いでいる事が多い、今日も下半身は裸なため、かなりきわどい


俺はエルローラを揺さぶって「おい起きろ!この状態から早く解放されたいんだが!!」


エルローラは寝ぼけて「あまーい・・・あまーいリンゴ・・・・・・」


俺の下半身をペロペロと舐めてくる「ヒィア!?」『ギィヤァ!?』


背筋が凍るような感覚


俺はたまらずベットから強引に逃げ出す

「ハァハァ・・・エルローラ・・・今度からは1人で寝てもらおう・・・」


――――――


朝食の時


俺は舐められた感触が忘れられず下半身をモジモジする


「どうしたの?トイレ?」


俺は頭の中で『ちがーう!!お前のやった事が忘れられず困ってるんだよっ!!』

そう嘆いていた


そして神社の人たちが持ってきたのは珍しくお米ではなくパンだった。


「米じゃないんだな」


パンからはカレーの匂いがした


「エルローラ、これってカレーパンか?」


エルローラが頭をかしげて「カレーって何?カリーの事?」


「・・・・・・はい?」


「いや、カレーって聞いた事ないけどカリーなら聞いた事あるよ?」


俺は試しに聞いてみた「カリーって原料はスパイス?」


エルローラはキョトンとして頷く

「うん」


なるほどこっちの世界ではカレーの事カリーって呼ぶのか・・・確かにインドの方だとカリーって名前だったしなぁ・・・って異世界でもカレー食えるのか・・・


俺は今更この世界にカレーがあった事に驚くとエルローラがパンを食べるとサクッと音がした

「んん゛ん゛ん゛ん゛!!」と言葉にならないような発音をしてバクバクと食べ始める


俺も食べてみるとまんま前世のカレーパンだった、パンの生地はこんがり揚げてあり、中には少し甘味の強いカレーが入っている


「これは美味いな」前世と比べてもなかなかな物だった


神社の人が入ってきて「街からの送り物だそうです!差出人は・・・フリース国王様ですね」


フリースの奴がよこしたのか・・・全く相当根にもってるんだな、あの事件の事。


エルローラはカリーパンを食べ終えると立ち上がり「それじゃ私先に準備しているからね!」


「あぁ、また後で」


俺もささっと食って宿谷へと向かう、俺は宿舎でカギがかかったドアを開け、武器が置いてある部屋へと入りレーザー製の防具を全身にまとう


エルローラも防具を身に着け胸当てを叩き「私は準備完了!レイヤールの手伝うね!」


「あぁ、悪いな、どうもこの体だと付け難い箇所がいくつかあるんだ」


エルローラがレザー防具を俺の胸にとりつけて準備完了


「それじゃ、偵察に行きますか!」


俺も頷いて森を探索する



俺達の毎日の仕事だ

エルローラは最近、魔法を覚えるようになってまだ初級だが攻撃魔法がちらほら使えるようになっている、俺が前衛のタンク職で、エルローラが後方支援という形の戦い方が基本隊形だった


今日は狼型の魔物

グルルと唸り縄張りに入るなと主張しているが。お前達が俺らの縄張りに入って『俺のだ!』と言ってるだけなので問答無用


「エルローラ!!」


エルローラの杖を上に掲げ「精霊よ!」杖の先端に火球が形成されている、いつもの技だな


「燃え盛れ炎よ!バーニングファイヤー!!」


杖から放たれた火球は狼の魔物にヒットして火だるまになる


そこで俺はすかさず「フレイムナックル!!」ガントレットに炎を纏いぶん殴る

魂が現れて俺の体へと吸収される


俺達はハイタッチして戦闘終了



森を徘徊しているとやはり小型の魔物が多い、狼やら、イノシシやら


6体目を撃破したあたりで溜息を吐いて「この程度の魔物は狩り飽きたな。もうパターンで相手の行動が読める」


エルローラは苦笑いして「私はまだ魔物を直視できないから、この程度の方が練習相手になって複雑な詠唱の物とかも実践できるんだけどなぁ・・・」


俺も頷いて「その方が安定だな、でかいのが出ないに越した事はないか・・・」

とその瞬間クマ型の魔物が現れる、ゴリラみたいに筋肉がたくさんついていて

俺達を威嚇している


「ハァ・・・探さなくなった途端これか、つくづく運ってのは・・・気まぐれだな!」


毛が生えた魔物は火に弱い事は俺も熟知していたが、今度は違った


俺の炎の拳が相手の背中にヒットしたのに引火しなかった

「引火しない!?」


エルローラが杖を振り「それなら水で!!」

「水の精霊よ・・・答えて!・・・溺れろ!バブルアクア!!」


クマの頭に水が纏う


ゴブゴブゴブ!!と溺れている


水攻めとか少し酷だが、これも俺達の地域に入った故だ、悪く思うなよ


クマは必死にもがいて空気を吸おうともがく、爪が辺りの木々を切り刻んでいるため俺達は距離を取る


クマは足掻いて足掻いて、力尽きる


エルローラの杖は構えたままだ

水攻めな以上ここで術を解除しても死なない可能性があるためである


その隙に俺が近づいてガントレットで頭蓋骨を掴み、握りつぶす


ゴリゴリゴリ!!クマの鼻から血が垂れ、顔にくっいている水が真っ赤に染まる


俺は手を放して「こんな物だろう」

エルローラが術を解除して「プハァ・・・疲れたぁ・・・」


クマの頭にひっついた水が全てを地面に落ちる


俺はクマの肉質を見て「これはとてもじゃないが食えそうにないな・・・」


「硬そうだもんね」


俺は溜息を吐くと「何期待してるのよ?」

「い、いや・・・倒して良い事無いとさ、微妙な気分じゃん」


「村が平和になるのじゃ駄目?」


「いやそりゃ大事だけどさ・・・」


とりあえず俺達は村へと帰路につく


夕日が暮れ初めていて、もう夕方だった

「綺麗な夕日だね~」

俺は頷いて「確かにな、空気が澄んでるから景色も良く見えるな」


「空気が澄んでるってどうゆう事なの?」


「大気の塵が少ないから良く見えるんだよ」


エルローラが頭をかしげ「たいき?たいきって何?」


「あぁ~・・・空気だよ、俺達が吸っている」


エルローラが慌てて「じゃあその、たいきって奴に塵が入ってるの!?私達ゴミを吸ってるって事!?だ、大丈夫なの!?」


「安心しろ!大丈夫だ!塵ってのは見えないほど小さな粒子みたいなもんだ、小さすぎて見えないんだよ、それがこの空気に無数にあるんだが、その塵が少ないから遠くが見えるんだ」


「へぇ~・・・ってレイヤール生まれてまだ一歳にもなってないのになんでそんな事知ってるの?」


「ギクッ・・・」


エルローラがブスーッとした顔でマジマジと顔を近づけて「私何か隠してる~?」


「べ、別に何も・・・?」


エルローラは溜息を吐いて「そりゃ竜神様だもんね、神様なら神様らしい能力みたいな物もあるよね」


俺は安堵の息を吐いてホッとするとエルローラが「ねぇねぇレイヤール!」


「ん?」


「私、海が見てみたい!」


「海?海なら行こうと思えば行けるんじゃないのか?」


エルローラが首を振り「ううん・・・ここから海は遠すぎるから、お母さんの知り合いの肉屋のジッチャンも一度しか見たことないんだって・・・行くまでに馬車に乗って1週間かかるんだって」


「1週間!?」まぁでも馬車だし、実際の距離としては東京から福島程度ぐらいの距離なのだろう


エルローラは苦笑いして「そんな長い期間村を開けられないから私の夢みたいな物だから!気にしないでレイヤール!」


「あ?あぁ・・・」でももう少し翼が発達すれば飛べそうなんだよなぁ・・・飛べれば1日足らずで行けるだろうし、でもこの情報はまだ明かさないでおこう。彼女の楽しみにしていて欲しいし、実現しないと思っているなら実現した時の喜びは大きいからな、サプライズにしておこう



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