ファルコンダウン
誰かが俺の事をギュッと抱き着いて感触が・・・
俺が目を開けるとエルローラが俺の胸元に顔をつけて両手を握って、まるで恋人のように接していて俺が目を開けるとしばらく見つめ合い、エルローラは気が付くと慌てて逃げてしまう。
俺も一瞬だが心臓が破裂しそうなほどドキドキした
俺は自分の手を見て「・・・今のが恋・・・?」
俺が村へと戻ると村人達は俺の復活に喜んでいた。
俺は状況を聞こうにもエルローラが居ないので話しかけられなくて困っていた
そこで村人がエルローラを縛って持ってくる
「ちょ、止めて!!少しだけ時間をください!!お願い!!っあ・・・」
俺と目が合うと俺もまたドキドキし始める
「・・・・・・」
エルローラも硬直して「・・・・・・」
村人が「なぁ見つめ合って戸惑うのは分かるけどよ、今はエルローラが竜巫女として村の状況を竜神様に説明してくれ」
エルローラはハッとすると「レイヤール聞いて、貴方を殺したファルコンだけどあの後、この村で頻繁に現れて攻撃してくるようになったの。国王様が軍隊を向かわせたってベルガートから聞いてるけど到着までに時間がかかるって事なの。だから村は村で防衛をしばらく続けなくちゃいけない、そういう・・・状況なの・・・」
最後は声のトーンが低くなりモジモジしている
俺も最後の方はドキドキしていて、聞き取れなかった
村人は呆れてエルローラの縄をほどくとエルローラが体勢を崩して俺に寄りかかってくる
「っあ」
「っあ・・・・」
また沈黙が続いて村人が「ッケ、イチャイチャしやがって」
そこにベルガートが来て「レイヤール、ファルコンの巣の件だが・・・また後で来る」
俺は慌てて「は、話してくれ!」
エルローラも気を取り戻して翻訳する
「ハァ・・・巣の位置だが、やはり山頂を削って巣を築いている、まだ卵の状態だったから良いが、生まれればエサが必要になる、そうなれば村人がエサにされる可能性が高い」
俺は頷いて「早期解決か・・・よし・・・ファルコンを倒すための武器を作る」
ベルガートが驚いて「武器!?どんな武器だ?」
俺が設計図を地面に書くと
「これは・・・弓を大きくした台座・・・たしかにこれなら従来の弓矢に比べはるかに大きくできるし大きければ威力も高い、作れるのか?」
俺は木材を見て頷く
職人達に設計図を見せると全員で作業に取り掛かる、身長がある程度伸びたおかげで俺も動ける
汗水たらして木を加工してエルローラも全力で支援してくれる
俺は木材を運び込み力仕事を主に任されていた、ドラゴンだから人間の数倍は荷物が持てる
真夏の気温のため汗がこれでもかと出てくる
俺は休憩中に座って翼をバサバサさせて風を起こして涼んでいると
エルローラがビンをもってきて「はい川で冷やした、冷たいお水」
渡されたのはガラスビンに入った冷えたお水、井戸水を組み上げガラスビンに入れて、川の水で冷やした水だ
ゴクゴクと飲み干す、こうゆう時の冷たい水は格別だ「美味い、ありがとうエルローラ」
「う、うん・・・」
またドキドキし始めてお互い目を逸らす
職人の人が「いいねぇ、青春・・・俺も今の嫁さんとは長い付き合いだったよ」
エルローラが真っ赤になって「し、仕事に戻りましょう!」
「えぇ~もう休憩終わり?」
「急がないとダメなんでしょ!?早く早く!」
「ハァ・・・」
そうして職人達の手と俺の知識を混ぜてようやく完成したバリスタ
エルローラが説明する「これはバリスタって言って大きな矢を飛ばせる道具らしいの威力は凄いわよ」
バシュン!!
ベゴン!!木に矢が刺さると木が倒れる
村人達は拍手して「おぉぉぉぉ!!」と凄い物を見て驚く声を上げる
そしてエルローラが「これを山の中腹にある広い場所へと設置して朝方にレイヤールが卵を強奪!ファルコンが奪還に来たときに戦います!」
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そうして夜になりファルコンの活動時間外に村人達の移動が始まり、山の中腹で設置する
そして俺はその間に卵を盗むため山頂へと向かうと俺を殺し、エルローラを悲しませた憎い鳥が寝ている
ここで殺して焼き鳥にでもしてやりたい気分だ
だが俺は怒りを堪え卵を盗んで下山する、卵は黄色じみた色の卵で、暖かい
俺は翼で素早く滑空して下りる
そしたら成長した体のためか、かなり安定して空が飛べた
「すげぇ、これならもう助走つければ飛べそうだ!」
だが喜ぶのはまだ早い、夜明けまでは時間がない
さっさと中腹へと運ぶ
夜明けを待つ最中エルローラが俺に抱き着いてきて「レイヤール・・・大丈夫よね・・・皆が居るし、今回は大きい対策の武器もあるから・・・」
「あぁ、あのクソッタレ鳥を焼き鳥にしてやる、行動パターンもイメージトレーニングしてきた」
そして夜明けの時
夜明けと同時にファルコンの凄まじい怒りの声が上がる
「ギェェェェェェ!!!!」
エルローラがたくましく「矢を装填!!」村人の男三人でレバーを引いて矢をセットする
射角は大体覚えている・・・夜の内に試し撃ちして矢を岩に刺しておいたので大体当たる位置は岩に刺さっている矢の場所の奴を誘導してやれば当たる
そして奴が臭いを辿って追ってくる
卵を俺は掲げて矢の所へと俺はジャンプして誘導する
「ギエェェェェ!!ギエェェェ!!」そうとう怒り狂っているようだ
誘導も容易い
俺が誘導してやり「エルローラ!!今だ!」
「放てぇぇぇぇぇ!!」
ガチュン!!矢が発射されファルコンの翼を射抜く、当たり所が良く、急所とまでは行かないが、左翼から胸にかけて矢が刺さり血が垂れている
翼が胸に刺さった事でコントロールを失い落下する
「ギエェェ・・・」
その着地落下中に俺は全体重をかけて追い打ちしてやる
ファルコンの巨体が地面へと落下してすさまじい叩きつけられる音と俺の体重を込めた一撃がクリーンヒットして悲鳴を上げる「ギエエェェェ!!」
ベルガートが剣と村人達が作った鉄製の盾を構え
「レイヤール君を守れなかった時の屈辱!!今!!」
ベルガードの剣捌きは見事で10連撃以上は決めている
「ハッフンッ!セイヤ!オォォォォ!!」
村人も負けまいと剣を振り続ける
全身血だらけでボロボロのファルコン俺も勝ったと安心した瞬間
「ギエェェェェェェェェ!!」ベルガートの剣を足で受け止めカウンターを仕掛ける
「っ!!」
その時俺の翼が無意識に動いてベルガートを助ける
ベルガートが「す、すまない・・・また油断した・・・」
俺は首を振り、気にするなと目を合わせて笑って伝えると俺はファルコンの前に立ち
「往生際の悪い奴だ」俺は手にしていた卵を見て思う。
もしあの白い服の着たガキの言う事が正しければ・・・俺は死を吸収できる・・・この卵を割れば・・・
俺は卵を人質のように手に取ると怒り狂って攻撃してくるがその瞬間俺は手に力を込めて握りつぶす
その瞬間卵から魂のような物が出て俺の体へと吸い込まれていく
その瞬間腕のガントレットから炎から青い炎が溢れ出し
「力が・・・湧き上がる!!」
背中の翼がブースターのように火が点火され体が軽くなる
ファルコンは猪突猛進で爪全力でフルスイングしてくるが、そんなフルスイングじゃ今の俺には当たらない。
屈んで回避すると、青い炎の拳でアッパーを喰らわせる
脳震盪を起こしフラフラのファルコンに俺は足へと力を込めると足の爪に今度は赤い炎が現れる
飛び蹴りして胸元にキックをかますと「キェェェェ!!と悲鳴を上げ、炎が羽毛に点火されボウボウと火だるまになる。
「ギェェェ!!ギェェェ!!」ともがいて火を消そうとするが全然消えない、まるで火が粘着してくっついているようだ
だが往生際が悪く矢で動かない左翼を動かそうとするが矢は深く刺さり抜けない、そして火に炙られ耐えられなくなったのか走り出して崖の下へと転げ落ちていく、そして崖の下で「ギエェェェェ!!!・・・・」と断末魔が響き、デカイ魂がスゥと現れ俺は口を開けて魂へとかぶりつくと吸収される
その瞬間俺の体がバキバキと音を立てて変異して行く
身長も160cmほどになり、ガントレットの拳の鱗がより丈夫になり甲殻になる
そうして俺の目や角は子供らしい丸みがあった所がドラゴンらしい鋭い角や目へと変る
村人達が「すごい・・・・・・」
エルローラも頬を赤らめて見ていて俺が目を合わせるとビクッと動く
「お、俺の姿・・・どうなってる!?なんかエルローラが小さく見えるんだが・・・」
「すごく・・・カッコイイわレイヤール!」
「そ、そう?」
村人達はファルコン討伐に喜びの歓声が上がる
「うぉぉぉぉぉ!!」
「やったぞぉぉぉぉ!!王国の力なしで俺達は戦い抜いたぞぉぉぉ!!」
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そしてその夜
王国の軍隊が到着したがすべて片が付いた事をベルガートが隊長に話すと隊長は俺達を讃え
村でパーティーが始まった
そして王国から派遣された部隊の中には村の発展を担う鉱山調査隊の人たちも到着して、村はいつも以上に人が多く兵士も人も集まって酒を飲み肉を食らう
そして俺やエルローラは踊ったり食べたりして疲れて休憩に神社のデッキへと座る
「フフッ!」
「どうしたエルローラ?」
「ずいぶん大きくなっちゃったなって」
気が付けば俺は座った時の背丈がエルローラを越していた
「前まではこんな小さいドラゴンだったのに」
「全くだ、これでまだ一歳になってないからな」
「レイヤールが大人になったら私はどんな人になってるかな?」
「変わらないだろ」
「酷い!」