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死を食らう者

俺もエルローラも起きたのは昼頃だった

「うぅ・・・」エルローラが悲痛に声を上げる


俺も起きると目を手で覆い『フガァ・・・』溜息が出る


ベルガートが馬車に乗ってまっていて「ぐっすり寝れましたか?」


エルローラがアクビして「ベルガートさんどうして眠くないんですか・・・?」


「鍛えているからね」


こうして俺達は村へと馬車を走らせる


エルローラと俺は馬車の中で寄り添い合い、眠る。


ベルガートがその光景に「やれやれ・・・」と頭を振ると

馬が暴れ出す

「っ!!お、落ち着け!!」


馬は全力で手綱を引きちぎり逃走する、明らかに異常な行動


ベルガートは剣を抜き、辺りを見回して警戒する


「何かが来る・・・!」


俺は目を覚ましてエルローラを掴み一緒に馬車から飛び出る


自分でも俺が何をしたのか理解できず「か、体が勝手に・・・」


「ちょ、ちょっとレイヤールどうしたの!?」


「・・・・・・分からない体が勝手に動いて・・・」


ベルガートはボロボロの状態になっている鎧は砕け、切り傷があちこちにある

「ベ、ベルガートさん!!」


「エルローラ・・・レイヤール・・・逃げ・・・ろ」


気を失う


エルローラはベルガートを抱えると「っえ・・・?」


ベルガートの腹部から大量の血が、何かに引き裂かれた後だ


「ベルガートさん!!しっかりしてください!ベルガートさん!!」


俺は辺りを見回すと、空から何かが落下してくる音が聞こえた


俺は上を見上げると雲の中から巨大な大鷲が現れる

エルローラが「ファルコン!?どうしてこんな魔物がここに!?」


俺はすかさずガントレットの腕で殴り「おぉぉぉぉ!!」


ぶん殴るとファルコンはニタァと笑い俺のガントレットの腕に爪を掻き立て貫通させる


「ガハッ!!」かつて感じた事のない痛み、腕から湧き上がるように痛みが込み上げてくる

「がぁぁぁ!!痛い!がぁぁぁぁ!!」


腕部が貫通されていて血がドハドバと出る

「レイヤール!!」


エルローラの後ろで旋回しているファルコン、今度はエルローラを襲う気だ


俺は立ち上がり、叫ぶ「させるかぁぁぁぁぁ!!」


俺は思いっきりブレスを意識して口から炎を吐き出す


ファルコンはとっさに急上昇して回避する


俺は膝をついて息が上がる「ハァハァ・・・」


だが休む暇も無くファルコンは飛び掛かってエルローラの背後に差し掛かった。


俺は力ょ振り絞りファルコンを全力で殴る


そうすると火事場の馬鹿力の類で少し怯んだようだが、相手は片方の足でカウンターを繰り出し強烈な斬撃が俺の腹部に入る


俺の視界には自分血で真っ赤に染まる、俺は意識が遠くなっていく


「ガハッ!!」こんな所で死ぬ?記憶がフラッシュバックしてくる


-------


俺は小学生の時一人ぼっちの帰り路で話しかけてくれた同い年の女の子の顔を覚えていた


「一緒に帰ろう!」

「あっ・・・」


「今日もひどくやられてたね・・・ごめんね・・・側から見てるだけで・・・」


「そんなことないよ・・・全部僕が悪いんだから・・・」


「私は・・・ううんなんでもない、帰りの時だけは一緒に帰ろう!あいつらは反対側だから見られる事もないからさ!」その笑顔がエルローラと重なった


------

俺は血を出しながら顔を上げ、ファルコンを掴み

「君を絶対に死なせない!!俺が守ってみせる!!」


俺の翼からブースターが現れてガントレットから青い炎が現れる

「うおぉぉぉぉぉ!!」


ファルコンの顔面にブースターの翼で上がり顔面を鷲掴みにして「燃え尽きろぉぉぉぉぉぉ!!」


彼女を守るためなら・・・この命!!惜しくない!!


ファルコンの顔面に火が点火され苦しむ「キエェェェェギャアアァァァ!!」


そしてファルコンの暴れる勢いで俺は二度目の斬撃を腹部に受ける

そしてファルコンはたまらず逃げ出した


俺は地面へと落下していく、「これで・・・あいつを守れたかな・・・」

俺は地面へと叩きつけられる。


不思議と痛くはない、意識がぼんやりとする、その中誰かが優しく俺を抱き上げてくれるエルローラだ


エルローラが俺を抱きかかえ「ヤダよ・・・もうお別れなんてヤダよ・・・」


ポタポタと俺に何かが流れる涙?そうか・・・俺の為に泣いてくれているのか・・・


「エ、エルローラ・・・」


「レイヤール・・・私を一人にしないで・・・」


「ふふっ・・・ごめんな・・・でも君を守れてよかった・・・俺は何かを成す事が初めてできた気がした・・・君を守るって事がさ・・・」


「駄目だよ・・・ずっと私の事守り続けてよ!!レイヤール!」


「ハハ・・・俺もそうしたいさ・・・エルローラ・・・」


エルローラの涙が俺のまぶたに落ちて俺は意識が無くなっていく


ごめんな・・・


俺は気が付くと真っ白な空間に居て「・・・・・・生まれてから一年もたたずに死ぬ事になるなんてな・・・でも何かを成す事ができた、一度死んだ俺には十分すぎる事した」


「それ本気で言ってるの?君はまだこれからなのにさ。死をも超越した超ラッキーな種に転成したんだよ君は」


どこか幼い子供の男の子の声だ


「誰だ?どこに居る?」


「ここだよここ」

目の前に現れたのは白いTシャツに白いジャージのような服を着たユルい姿をした子供


「ず、随分な部屋着だな・・・」


「楽だしね!」とニッコリと笑う


「俺は死んだんじゃないのか?」


男の子は笑い首を振り「違うよ、君は死を喰らう能力、デスイーターの能力を保有しているドラゴンなんだ。全ての身近な死を君は取り込み力に変える、それは自分の死だろうと他人の死だろうと動物の死だろうと君は相手を喰らい自分の物にする」


「な、なんだよ、そのチート能力は、不死属性に死んだら強化とか」


「まぁ、皆そう思うけど本当は・・・すっごく辛いよ・・・逆に言えば君は絶対に死ねないんだから・・・」


俺はビクッと動くと男の子は笑い「分かった?永遠の命は永遠の苦しみ、君はそれをラッキーと思えるのかな?」


男の子はクスクスと笑い「ごめん!さっきの訂正!君の種はアンラッキーだね!」


「お前は何なんだよ・・・それにどうして俺がそんな種なんかに!」


「僕の名前は知らなくていい・・・好きに呼ぶといいよ、それと君が苦しむ理由は償い・・・」


「償い?何の?」


「ふふっ、まぁ今は知らなくていいよ、それじゃそろそろお目覚めの時間だよ、新しい力を存分に使ってね!“今”はまだその体に悩まされる事は無いから」


また意識が遠のいて行く

「お、お前は・・・一体・・・」


そして意識が戻ってくると苦しかった


「うぐっ・・・苦しい!」

もがくとボコボコしていて土のような感触だ


「ブハァ!!」外に出ると雨が降っていて冷たい


「ここは・・・」辺りを見回すと墓場だ


「なるほど死んでたわけね・・・それで自分の死を喰らって再生したと・・・」


自分の墓は建てられたばっかりだ、つまり眠っている間何千年経ちましたってフラグは無いわけだ


俺は自分の体についた土を払うと、驚いた

「前より・・・大きくなってね?」


身長が150cmほどになっているし、翼もそれなりに大きくなっているし、筋肉もついている


俺は村へと歩いた

そうすると神社に人だかりができている


俺は何故か声を掛けようと思ったが、声を掛けられる雰囲気では無く隠れて状況を見ていた


「竜神様は巫女を守って死んだ・・・だが、言い伝えでは竜神様は何度も転生し、ここへ戻ってくると言われている・・・だからエルローラよ、泣くでない」


大主様がエルローラを慰めている

「どうして・・・私なんか守って・・・」


包帯に身を包んだベルガートが「エルローラ・・・必ずファルコンは私が倒す、騎士の名に誓って・・・だから・・・」


「だから何!?あなたは何もできなかった!!ただ剣を握ってやられただけ!!だから・・・だから!!」


エルローラの母親がぶん殴り「いい加減にしなよアンタ!!ベルガートさんに当っても何も変わらないじゃない!今はファルコンをどう倒すか・・・それを皆で考えるためにこうして集まっているんじゃない!!」


エルローラはぐったりと倒れてしまい「こんな別れ方って無いよ・・・レイヤール・・・」


俺は村人達を押しのけて入る「悲しませてすまないエルローラ、また君を守らせてくれ」


エルローラが顔を上げると信じられない光景を見るような眼で「レイ・・・ヤール・・・?」


俺はエルローラと同じ身長になっていて目線が合う


そうするとエルローラは「嘘よ・・・嘘・・・だって私!!貴方が火葬される所も見た!!貴方はレイヤールじゃない!!私のレイヤールじゃない!!」


「俺の声が聞こえるのは君だけだ、俺はどうやら死ねない体のようだ」


「死ねない、体?」


「そうらしい、あの世なのか異次元なのかよく分からん所で説明された・・・エルローラ君を悲しませてすまない・・・また君の側で君を守らせてくれ」


エルローラは俺に抱き着いてきて「ウワァァァァァン!!」


全員が驚愕して俺が苦笑いして「あぁ~・・・ご迷惑をおかけしました・・・」

『ウガァ~・・・ガウガガ・・・』


大主様は俺を見て「転生されたのですか?」


俺は首を振りエルローラを見ると大主様は察して「分かった・・・ここは君達だけにしてあげよう、皆!!出るのじゃ!!」


エルローラは1日中俺の腕の中で泣き続け、泣き疲れて眠ってしまった


俺は誰も居ない神社で一緒に添い寝して翼で体温が下がらないよう掛布団代わりにしていながらエルローラの涙を流した顔を見て


相当苦しませてしまったんだな・・・ごめんな・・・エルローラ

頬を撫でて涙を拭き取ると俺の腕に顔を擦りつけて少しだけ笑った


「・・・・・・永遠の命による苦しみか・・・」俺はエルローラと過ごせる時間について考えた、俺は不死身、1000年とか生きた事なんて無いし30歳まで生きた事もないため人との別れなど経験した事がない、俺はその苦しみがまだ理解できなかった・・・”今”は・・・

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