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第七話 ~イレギュラー~

 神殺しの悪魔は、フーニィでの出会いを幸運だったと喜び、終生その偶然に感謝した。


 神意の守護者は、フーニィにおいて出会った悪魔を、どのような手段を用いてでもその時に殺さなかったことをあやまちだったと嘆き、終生その後悔を引きずった。


(王立中央図書館所蔵の名も無き手記の走り書きより。書き人知らず)


「いつまでもここにいるのもなんだし、どこかでお茶でもしようか」


 一通りメイドさんとイチャついた金髪の少年がそう言い出した時、俺はどんな顔をしていただろうか。

 主観だが、土着の冬至のお祭りを乗っ取ったなんて言われてる、どこぞのでっかい宗教の神様の生誕祭に、街中を我が物顔で歩くリア充どもを見ていた前世の俺と、同じような顔の筋肉の使い方をしていた気がする。


 ただ、このまま進んでも、また貧民街の連中に絡まれるだけだろう。

 立て直す意味も込めて、呆れ顔のメイドさんを気にも留めてないように振る舞う少年の誘いに乗る。


 又は、やけに熱心な少年の誘いに、俺もメイドさんも負けてしまい、フーニィ治安管理局のふくよかな局長のおばさんは抵抗すらしなかった、とも言う。


「遊ぶ金は確保してきたんだけど、一人だと想像以上に面白くないんだよね。お礼代わりに、ちょっと付き合ってよ。お茶のついでにこっちの話でもしてくれるくらい付き合ってくれれば、後は勝手にこのカレンと遊ぶからさ」


 ニコニコとそんなことを言う少年の後ろを歩いて着いた先は、大通り沿いのこじゃれたカフェ。

 ウェイトレスさんと少年が二言三言ふたことみこと話したかと思うと、二階のテラス席に案内される。


「それでは、御用がありましたら、お呼びください」


 ウェイトレスさんはそう言うと、メニューだけを置いて、俺たち以外の三席分に誰も居ないテラス席のすみに下がる。


 まずは少年が円形のテーブルにさっさと座り、続いて局長さんが腰掛けた。


「そういえば、カレンも同席していいかな?」


 俺も続いて座ろうとしたところで、ニッコリ笑顔の少年に、突然そんなことを言われる。


 最初は何を言われたのか分からなかったけど、そういえば仕事中のメイドさんって居ないものとして扱うのが基本だし、同じテーブルを囲むなんて論外なんだったか。

 つい最近までド貧乏だったド田舎貴族ではメイドさんなんて最低限しか居ないからあまり見なかった。しかも、姉上付きのメイドだったカルラは、男爵領の重臣であるギュンターの娘であって姉上の学友であって将来の側近を期待されてた特殊なメイドだったから俺たち姉弟との関係が特殊すぎて、一般的なメイドの扱いにピンと来なかったのだ。


「ああ、俺は構わない」

「本当に? カレンって、行儀見習いって名目で形ばかりのメイド業をやりに来た貴族の御令嬢とか大富豪の娘じゃないんだよ? 正真正銘、一片の疑いもなくただの平民さ!」


 ……落ち着け、俺。

 この少年は、俺の身なりがそこそこ良いのを見て貴族だと判断して、後で変なもめ事にならないように手を打ってるんだ。そのはずだ。

 平民だ何だって強調するのも、必要なことなんだろう。


「平民でも構わない。非公式な場で、そこまでうるさく言う気はないからな」

「それは良かった! さあ、カレンも座りなよ」


 ニッコリ笑う少年と、無表情で席に座るメイドを見て、少し硬い声だったろうが無事に乗り切ったことを確信して一息つく。


 しかし、このガキ。身なりで言えばどこぞの大貴族か大富豪のボンボンなんだろうけど、そんな連中は、さっきまでイチャついてた女を、その目の前で平然とディスれるものなのか。

 それとも、平民だなんだと目の前で言うことは、当然すぎるのか。


 少なくとも建前上は平等だなんだって言われてた社会で育った記憶を持つ身には、慣れる気がしないな。

 まあ、中央に首を突っ込むなら、慣れないといけない場面もあるのかもしれないけど。


「あ、注文いいですかー?」


 お金を使う先がありすぎて財布に余裕はない俺だけど、少年のおごりだと言うので、少年が呼んだウェイトレスさんにみんなで一番高いティーセットを人数分注文し、お茶会が始まった。


「じゃあ、まずは自己紹介だよね。あ、局長さんはいいや。僕らもこの前あいさつしたばっかりだし。で、こっちのメイドがカレン。それで僕は、アルベマール公爵家の三男、アラン。よろしくね」


 注文の品が来る前に一人で少年が話を進めていく。

 アランって名前らしい少年は、アルベマール公爵家のお坊ちゃまらしい。

 公爵家の若様相手にちょっと敬意が足らなすぎて、後でうちの実家にクレームが飛ばないかと心配してる時のことだ。


「アルベマール? ……それって、帝国貴族ではなく、王国貴族ではないでしょうか?」

「ああ、別に言葉遣いはそのままでいいよ。あと、大正解。僕の実家は、王国の大貴族さ」


 いやいやいや。おかしい。

 こんな時に、こんなところに居るなんておかしいだろ?


「元々両国の仲が良くないのは置いておくとして、両軍合わせて十万人以上の規模の正面衝突があったのが二ヵ月くらい前だぞ? それがこんなところで、何をしてるんだ?」


 大人なら政治的な何かかとも思うが、こんなややこしい情勢で、子供を送り込む意味が分からない。

 人質だのってのは中小国がやることで王国と帝国の間であり得るとは思えないし、そもそも人質やなんらかの交渉における名目上の責任者にするにしても身分が中途半端だ。その場合、王族を使うだろう。

 婚姻同盟で国境の安定を図るサプライズって線もあり得なくはないけど、さすがに大戦争が終わった直後ってタイミングでやることじゃないだろう。それに、これこそ王族の仕事のはずだ。


「別に、大したことはしてないさ」


 さっきまでと同じ笑みのはずだ。

 なのにどうしてだろう――一瞬、背中に冷たいものが走った。


「フーニィからの西回り航路。お兄さんはその終点を知ってるかい?」

「そりゃ、南方の交易都市群と、後は……」


 なるほど、そうか。

 このフーニィに来た日に、自分でも言ったじゃないか。


「僕の祖国、その王都さ。アルベマール公爵家は、その利権の王国側の元締めなんだよ。だから、その大事なお得意様の息子が社会勉強に来てもおかしくないんだよ」


 血塗ちまみれだけじゃない、帝国西方地域と王国との繋がりか。

 いや、やっぱり時期的には、俺がアランの立場なら大戦争の直後にその戦場になった地域とか、怖くて行けないけどさ。


 そこで注文していたティーセットが届き、一息入る。


 おー、なんか前世のアニメでお高いティータイムのシーンで見たような三段の、お菓子なんかが乗ってるやつだ。

 あ、このお茶の香りも良いな。

 流石さすが、自腹では絶対に頼もうとも思わない最上級ティーセットだ。


「で、お兄さんの自己紹介を聞かせてもらっても良いかい?」

「ん? ああ。マントイフェル男爵家嫡子、カールだ」

「え、『マントイフェルの奇術士』?」


 なんだか聞きなれない単語に思わず発言者のカレンを見れば、仕える主人を差し置いて言葉を発したことについてなのか、「申し訳ありません」とほんのり赤くなりながら一言発し、そのまま黙ってしまう。


「これはまた、思ってもみなかった大物じゃないか。少し前、王国の新聞で一面を独占した、初陣で二十倍以上の軍勢を一人で粉砕した若き鬼才さん」


 メイドに代わって、若い主君の方が答えを持ってきたんだけど、何か思わぬ言葉が出てきてるんだけど。


「あの、人違いとか……」

「この前の戦いで、シュルーズベリーばつの連中が率いてた別働隊を、たった一人で決戦に遅参させたマントイフェル男爵家のカールさんでしょ?」

「いやいやいやいや、おじいさまの部下とか領民の人たちとか、みんなで頑張ったから、一人でなんてそんな――」

「お兄さんは、面白いことを言うね。世間的には・・・・・、貴族様とその支配下の下々の連中が頑張ったのは、貴族様が頑張ったって言うんだよ」


 いくらなんでも、王国でそこまで知られてるとは思わなかった。

 皇帝陛下への配慮とかいらないからこその一面なんだろうけど、自分たちの負け戦をそこまで大々的に扱って大丈夫なんだろうか。報道の自由とか、聞いたこともないんだけど。

 何より、アランの祖国に土を付けた俺に対して、アランやカレンに思うところはないのだろうか。


「あれ、もしかして僕らがお兄さんに何かするって心配してる?」

「え? あ、いや……」

「大丈夫だよ。むしろ父上が、報告聞いてお兄さんに感謝してたくらいだし」


 相変わらずの笑みから、思いもしなかった言葉を聞いたんだ。そのまま固まってしまった俺は悪くないはず。

 気にしてないよ、くらいは想定してたけど、どこに感謝する要素があるのか。


「シュルーズベリー伯爵って、個人の軍功で一代で一気に勢力を拡大して、お兄さんに部下たちがやられるまでは一番勢いのある派閥だったんだよ。規模で言えば大きめの中堅派閥くらいだったけど、勢いの良さは脅威だったからね。本人は出てないけど、その派閥の幹部たちが初陣の若者の率いる寡兵に負けたって聞いて、色んな人たちが大喜びで付き合いのある新聞社に情報を流しまくったのさ。原因が、当の伯爵の長男がお兄さんのところに乗り込んで喧嘩を売ったことだってのは公式にも公然の秘密になったから、新聞にも載らなかったけどね」


 ……まあ、帝国だって、同じ国内なのに西方地域がやけにいじめられてたりしてるし、どこも似たようなもんなんだろう。

 てか、あの使者で来た男、そんな大物だったのか。


 そんなことを考えながらゆっくり状況を飲み込んでいると、少しうれいをびた表情でアランがさらに言葉を続ける。


「『シュルーズベリーのドラ息子』さんは、使者としてはかなり感じが悪かったみたいだけど、きっと二度と歴史の表舞台には出てこれないだろうし、許してほしいとは言わないけど、大目に見てほしいんだ。十年近く前に一度会ったんだけど、その頃は優しいお兄さんだったんだよ。僕のお兄様たちによると、『普通に』優秀だったらしいし。――ただ、父親があまりにも偉大すぎたんだよ」

「あ、はぁ……」


 言いたいことは分からないでもないけど、あと二十年、いや、せめて十年は年を取ってから言うセリフではなかろうか。

 何より、ここに至るまでの、『その後』のことが激動すぎて、無茶な要求をされたことは半分忘れてたくらいだし。

 簡単にキレてしまった自らの若さを記憶の奥底に封印した、とも言う。


 メイドさんも局長さんも積極的に発言するつもりはないらしく、大して親しくもない人たちしか居ないお茶会でどうすれば良いのか分からない俺も何も言えず、話を主導していたアランが黙ってしまってなんとなく重くなった空気はしばらく続く。

 その空気を破ったのは、お茶のお代わりを一口飲んでの、アランの発言だった。


「そういえば、お兄さんは貧民街なんかで何をしていたの?」

「あー……移民を募集しようと思って」


 なんて答えるか悩んだけど、おおやけにやってることだし別にこの部分だけなら隠すこともないかと、千人規模の移民計画があることを普通に答えた。


「お兄さん。あんな下賤な連中を本当に引き取るのかい?」

「……ああ」


 まあ、こっちでは常識的な・・・・回答の一つだ。

 そこに引っかかることがあっても、あえて反論しても仕方ない。


普通は・・・、まともな生産活動すらできないあんな汚らしい連中を引き取ろうなんて考えないよ? あんな社会の底辺ども、何をやらせてもどうしようもないに決まってる。高名な学者様とか、魔法使いとか、立派な貴族様の血縁の方なんかを呼ぶべきじゃない?」

「彼らも、学ぶ機会を与えれば化けるかもしれないだろ。全部が全部とは言わないけど、『学ぶ機会の与えられた貴族だって、みんながみんな優秀なわけじゃないんだから』」


 だから、これは俺のミスなんだろう。


「ハッハッハッハ! これは凄いや! 大当たりだ! 同類同士・・・・、お兄さんとはいい友達になれそうだ!」


 カレンと局長さんが驚いたようにこっちを見て、アランが急に大笑い。


 何がなんだか分からない俺の目の前でアランが金貨を取り出すと局長さんの方にテーブルの上をすべらせ、そのまま局長さんが滑らせ返す。

 てか、なんで突然に十万ゲルド金貨を往復させてるんだ?


「こればっかりは、受け取ってもらわないと、僕もお兄さんも困るんだけど」

「口止めなんて不要ですよ。この街では・・・・・特に咎められることもありませんからね。わざわざ言いふらすようなことでもありません。対価なく金銭だけ受け取るなど、商人の街の役人の名折れですから」


 まだ分かってない俺に対して、アランが今までになく深い笑みで口を開いた。


「貧民と貴族を同列に語るなんて、そんな身分制を軽く見る言い方、ちょっと挑発されたくらいで見せない方が良いよ。帝国でも、異端だろうし――まあ、比較的実力主義寄りの商人の街であるフーニィは、そういう発言するには一番向いてるかもしれないけどね?」


 ああ、そうか。

 身分制度って建前を前提にすれば、貴族と貧民なんて、別世界の存在なんだ。

 比較対象として使うって発想が出る訳がないほどに、違う存在。


 一歩間違えれば身分制度の否定に当たる、ってのが大袈裟とも言い切れないところが恐ろしい。

 この世界での現状の身分制度は教会も認めてる神の秩序の一部なんだから、下手をすれば俺の発言がどんな使われ方をするのかも分からない。

 教会は、ド田舎では寄進だけ適当にして冠婚葬祭に出てきてもらうくらいだけど、中央ならば宮廷政治にも影響力がある。エレーナ様の部下として中央に行くなら、気を付けた方が良いな。


「にしても、凄いね。現状の身分の壁に反感を持っているってわけでもなさそうだ。でも、当たり前のように、貴族と貧民を比べる。さっきのカレンの同席だって、メイドが同席することにはなんにも感じてなかった風なのに、僕がカレンを平民呼ばわりしたらちょっと機嫌が悪くなった。『貴族の功績』について、当たり前のように部下たちの功績を持ち出す。――まるで、身分の壁がないのが当たり前の世界で自我を形成したみたいだ。この世界のどこでどんな教育を受けたら、そんな境地に達するんだろうね」


 ――異世界にある、二十世紀末から二十一世紀にかけての日本です。


 そんな事実を告げたら狂人扱いか、良くて冗談扱いなんで、適当に笑ってごまかす。

 向こうもこれ以上は突っ込む気はないのか、鼻歌なんて歌いながらお茶を楽しんでいる。


「まあいいや。それじゃあ、『友達として』一つだけ忠告をしておこうか。お兄さんがさっき居た北部貧民街はやめた方が良いよ。貧民たち内部の対立が酷くて、ちょっとした群雄割拠状態さ。西部貧民街も少しマシくらいだし、一応は平和な南部貧民街をお薦めするよ」


 驚きの忠告にとっさに局長さんを見れば、ため息一つと共にお茶をもう一口飲んでいる。


「北部や西部の失敗を受けて、南部は早くからフーニィ政庁自ら物資を流して深刻な対立が起きないようにしていたからね。貧民街対策の全権を持つ局長さんなら、もちろん知ってるし、どこの貧民街の顔役にでも話を通せるよね?」


 やられた……。

 局長さんは、最初から一番厄介な連中を押し付けるつもりだったのか。貧民街の情報なんて全然流れてなかったからフーニィ任せにしたけど、それが間違いだったか。


「あの、アランが言ってることは、本当ですか?」

「本当ですよ。あなたの場合は、貧民を集めたいと言われたので、近くの貧民街で良いかと尋ねたら了承なさったでしょう?」


 その通りだけどそうじゃない! って感情で突っ伏していると、アランがまた口を開く。


「ここの街では嘘はつかないし契約は守るって聞いてたけど、聞かれてないことまで答える気はありませんってこと?」

「ええ。ここは商人の街。役所を回すのは商業ギルドです。信用第一ですが、自分の利益は自分で守るのもルールですから。まあ、契約相手の身の安全まで黙って危険にはさらしませんよ。商売相手に死なれたら事ですから」


 まあ、商業ギルドの意向まで入ってるのかは知らないけど、俺が立ち会ったうえで厄介者を押し付けてクレームを封じ込めるってのは、治安だけを考えるならば効率的なのかもしれない。


 俺をガラの悪い連中の中に放り込んでビビらせてから局長さんの肩書でも出して助けてみせて依存させ、恐怖の中の勢いで危ないやつらを押し付けるつもりだったか。

 すぐに局長さんに気付いて大人しくされたら俺への脅しとして弱くなるから、顔が見えにくい帽子を身に着けたんだろう。


 まあ、手遅れになる前になんとかなったんだし、授業料を払わずにいい勉強ができたってことで良しとするか。

 何より、これで移民計画の目途が立つ。


「それじゃあ局長さん。南部貧民街からの移民募集について、話を通していただけますか?」

「でしたら、千人から百か二百ほど増えてもよろしいですか? 少数ながら子供も含みますが、ほぼお望み通りの男女比率で南の貧民街を丸ごと引き抜くことで、交渉を通しやすくなります」


 ある程度は人数の前後も想定の範囲内だし、俺の権限で了承できる範囲内だ。

 ただ、さっきの今で即答するほど学習能力がないわけじゃない。


「で、何かその判断をするうえでそっちの持ってる、有益な情報は?」

「概ねはここまでの話で全てかと」

「じゃあ、お願いします」


 改めて握手をして、契約成立だ。

 今度こそ、なんとか解決か。


「良かった良かった! さて、そろそ……ろ……」


 急に言葉が詰まり、テラスから下を見て固まるアラン。

 そして、「ようやく到着しましたか」とほほ笑むカレン。


「居たぞ! 坊ちゃまだ!」


「げぇっ、じいや!? なんで?! 早すぎるだろ!? まだ変装用の服も買えてないし、何より女の子を一人も口説けてないのに!」

「やっぱり、そういう魂胆こんたんでしたか……。私一人ではもちろん、二、三人くらいではアランさまを捕まえるどころか、足止めすら無理ですからね。物量攻めですよ」

はかったな、カレン!」


 外を見れば、アルベマール公爵家の家紋らしきものを付けた武装をした人たちが集まり、何人かが突入してくる。

 きっと、もうすぐにでも彼らはやってくるだろう。


「ちょっと急用ができたから、今日はここまで! また会おうお兄さん、楽しかったよ!」


 一方的にそう言い捨てたアランは、さっき口止め料に使おうとした金貨をテーブルの上に置き、そのままテラスからなんの迷いもなく飛び降りる。

 俺がどうしたらいいのか分からず無意味に汗を流し、局長さんはのんびりとアランに手なんて振り、下の方で騒ぎになったころ、カレンも一礼して立ち上がるとテラスから飛び降りた。


 一歩遅れて二階テラスに階段から突入してきた武装した人たちを見ながら思う。


 今日はさっさとホテルに帰って、たっぷり寝よう。





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