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『小説豆知識』《軍隊の階級》について

作者: 竹千代

今回は《軍隊の階級》を紹介いたします。

ここで取り上げる内容は、《陸軍の階級及び軍制》についてです。近現代世界に於いて一般的となっているものについて記載しております。例外の場合についても改稿によりできるだけ記載していきますので、不足がありましたらコメントをいただけると幸いです。

皆さんは小説を読む中で『大佐』『少尉』『軍曹』といった軍隊の階級についてどのくらい関心がありますか。軍事的な物事に詳しい方なら既にご存知かとは思いますが、軍隊、軍人が登場する作品を読む上で、階級にあまり詳しくない方も軍事に関する小説を楽しめるよう、今回は《軍隊の階級》について説明いたします。


先ず、階級を偉い順に列挙します。

◆元帥→大元帥>国家元帥>(国軍)元帥>次帥

◆将官→上級大将>大将>上将(上級中将)>中将>少将≧(将補)≧准将

◆佐官→代将≧上級大佐≧大佐>(上佐)>中佐>少佐>(准佐)

◆尉官→(上級大尉)≧大尉>(上尉)>中尉>少尉>(見習士官)

◆准士官→准尉、特務曹長

◆下士官→最上級上級曹長、上級曹長、曹長>一等軍曹(上級軍曹)>二等軍曹(軍曹)>三等軍曹(軍曹補)>(上級伍長)>伍長

◆兵→兵長、伍長勤務上等兵、特技兵>上等兵>一等兵>二等兵


一見、とても複雑に見えますが、仕組みが解れば簡単です。

大雑把に分けると

『将校』『下士官・兵卒』に大別されます。

『将校』は、『将官』『佐官』『尉官』に分けられます。多くの国ではそれぞれの階級は「大」「中」「少」に分けられます。将官や尉官では「准」が付く階級があります。これには歴史的な背景があります。中世の軍隊は主に貴族が自費で運営していたので、下級貴族は連隊を指揮する資金が無く『大佐』になれませんでした。しかし、戦況が悪化したりして下級貴族からも将官に登用する必要に迫られ『准将』が置かれました。『准尉』は平民出身の下士官から優秀な者を隊長職に就けるために置かれました。


ここで、世界基準である『NATO(北大西洋条約機構)』の軍隊の階級について紹介します。


◆将校(士官)

OF-10→元帥

OF-9→大将

OF-8→中将

OF-7→少将

OF-6→准将

OF-5→大佐

OF-4→中佐

OF-3→少佐

OF-2→大尉

OF-1→中尉、少尉

OF-(D)→見習士官


◆准士官

WO-5

WO-4

WO-3

WO-2

WO-1

◆下士官・兵

OR-9→上級曹長

OR-8→曹長

OR-7→一等軍曹

OR-6→二等軍曹

OR-5→三等軍曹

OR-4→伍長、特技兵

OR-3→上等兵

OR-2→一等兵

OR-1→二等兵


となります。

士官は隊長職で、准士官は主にオペレーターです。国家によっては准士官を設けない事もあります。日本も准士官を設けておらず、自衛隊の『准尉』はOR-9の下士官です。幹部候補生の『曹長』はOR-8ではなくOF-(D)と捉えたほうが正しいです。

「北大西洋条約機構」は主に先進国の西側諸国が主体なので、東側諸国に見られる「上将」 「上佐」「上尉」等はありません。ドイツには「上級大尉」が設けられており、主に下士官出身の者が佐官相当の職務に就くときに昇進する階級です。


次に、それぞれの階級に相当する役職について紹介します。


元帥→名誉称号、総軍総司令官 等になることもある。

大将→総軍総司令官、参謀総長(統合幕僚長)、総軍副司令官、方面軍(軍集団)司令長官

中将→総軍副司令官、方面軍(軍集団)司令長官、軍司令官、副軍司令官/軍団長、(師団長) ※アメリカでは中将が率いる師団を軍団と定義している。

少将→(軍司令官)←(少将でも戦時に置かれる事がある)、副軍司令官/(軍団長)、師団長、(旅団長)←(准将を置かない国で見られる)

准将→師団長、副師団長/旅団長、旅団長

大佐→副師団長/旅団長、連隊長/副旅団長

中佐→(補助兵科の)連隊長、副連隊長、大隊長

少佐→副連隊長、大隊長

大尉→副大隊長/中隊長

中尉→副中隊長、小隊長

少尉→小隊長

准尉→(下士官出身の)小隊長

上級曹長、曹長→大隊、中隊等の最先任下士官

軍曹→分隊長

伍長→副分隊長

上等兵→初年兵教育

一等兵→一般兵

二等兵→初年兵


となります。


続いて、軍隊の編成単位を考えてみます。

こ国家によって様々なのですが、主に国連軍を基準に考えてみます。


(総軍)>軍集団(方面軍、野戦軍、軍)>軍団(旧日本軍では軍、アメリカ軍では大きめの師団)>師団>旅団(師団内型、ミニ師団型等がある)>連隊>大隊>中隊>小隊>分隊(班)


旅団、連隊、大隊のいづれかを中抜きする事が多いです。例えば陸自(陸上自衛隊)や(フランス)陸軍では大隊を省き、連隊の下は中隊となります。アメリカ陸軍では連隊を省略し、軍団の下に「旅団戦闘団」を設け、旅団戦闘団の下は大隊となります。

近年はアメリカ軍の旅団戦闘団を省き、師団内型の旅団はあまり見られなくなりました。旅団は軍団の下に置かれ、「ミニ師団」として臨機応変な活動ができる部隊になっています。この背景には従来は歩兵主体であったのに対して、近年では比較的少人数の機械戦やゲリラ戦が増えてきたことが考えられます。ちなみに戦略部隊は旅団以上で、部隊長は司令と呼ばれます。連隊長・大隊長は部隊長、中隊長・小隊長は隊長と呼ばれます。下士官である分隊長は「軍曹」や「班長」「リーダー」と呼ばれます。


続いて、役職である『職務等級』を基準に階級を考えてみます。


総軍総司令官→元帥、大将(上級大将)

総軍総司令官→(大将)、中将

方面軍(軍集団、軍)司令長官→大将、中将

方面軍(軍集団、軍)副司令官→中将、少将

軍団長(軍司令官)→中将、少将 (軍団には多くの場合副司令を置かない。戦死時の代行は師団長の中で階級上位者や経験年長者が選ばれる)

師団長→(中将)、少将、准将

副師団長/旅団長→(少将)、准将、大佐

連隊長/副旅団長→大佐、中佐

副連隊長→中佐、少佐

大隊長→少佐、中佐

副大隊長/中隊長→大尉、(中尉)

副中隊長→中尉、(少尉)

小隊長→中尉、少尉、准尉

分隊長、副分隊長→下士官


一般的にこのような感じになります。


最後に、一般的な昇進するスピードを年齢で表してみます。フィクションの世界でよくある20代の大佐がいたりするのは、独裁者や大貴族の子弟若しくは戦時に於ける極度な人材不足でない限り不可能です。今回は一般的な平時の昇進スピードの例を紹介します。


◆将校(士官)の場合◆

少尉→士官学校卒業、訓練生修了 後 主に20代前期

中尉→25歳程度

大尉→30歳程度

少佐→35歳程度

中佐→40歳程度

大佐→45歳程度

准将→40代後期

少将→50歳程度

中将以上→50代~


◆下士官・兵の場合◆

二等兵→入隊時(10代後半~20歳程度)

一等兵→20代初期

上等兵→20代前期

伍長→20代中期

軍曹→30歳程度~

曹長→40歳程度~


というのが一般的な昇進スピードです。戦時では人材が不足したりすると、平民階級の出身であっても20代で少佐になることもあります。希に戦功での特進等で20代の大佐が存在することもありますが、現実ではごく希な例です。20代の将官は貴族を省きほぼあり得ません。30代の将官は希に登場します。将官は政治的な役割も出てくるので戦功の実力だけではなく、家柄や年功序列が考慮されます。若くして将官になる場合は、大貴族の子弟や家督を継いだ中小貴族、指導者の側近等に設定すると違和感は多少払拭できます。


小説を読むときや執筆するときに参考にしてください。

皆様、ご講読いただきありがとうございます。

今後もこのようなコーナーを予定しておりますので、ぜひ積極的に質問や感想をコメントしてください。よろしくお願いいたします。

今後もお楽しみ下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろい
2018/12/19 00:38 退会済み
管理
[一言] WHOではなくNATOではないでしょうか?
[一言] 昇進のスピードは「平時」の場合はその通りだと思いますが、「戦時」の場合将兵の損耗率や戦況によって変わるのでは?
感想一覧
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