薬と、タクティクス
連続です(笑)
ちょっと読む量多いかもですけど、是非読んでいただければ嬉しいです!
晴は早速、メインテインで今日宇佐美から聞いてきた話をした。
「つまり、風原新は洗脳された結果、この朝月を滅ぼそうとしてるってワケです。」
晴の結論を聞いて全員何か考えを整理しているようだった。昨日今日で情報量が多く、また問題も山積みで思考が追いつかないという感じだった。
「…晴。ご苦労様。今日はこれで解散にしよう。みんな頭がついて行けてない。」
「…そうですね。2、3日かけて落ち着いて考えてくれればと思います。」
翌日、お昼ご飯時。晴は岩沢と2人で食べていた。
「どーよ、晴。メインテインのほうは?」
「うーん…。結構、詳しいことは言えないけど、ややこしいことになっててさ…」
「ふーん…。あ、何かあったら俺にも相談してくれよー。手伝えることあるなら手伝うから!」
「…うん、ありがと(笑)」
「あ、そーいや晴、最近ちょっとウワサになってる薬の話しってるか⁇」
「クスリ?」
「そー。都市伝説みてーな感じだけど、イヤーに信憑性があるというか、都市伝説にしては実例がありすぎるってゆーか…」
「どんなの?」
「…どんな薬かはわからねーけど、ある薬を飲むと一時的に魔力が激増するらしい。」
「⁇魔力激増?なんかそれだけ聞くとあぶねークスリだな笑」
「そう。ネットでウワサになってて、なんでもその薬飲むと魔力の激増の他に、複数の魔法を一時的に使えるとかなんとか…」
そこに晴は引っかかりを感じた。
「…複数の…魔法…?」
「まあ、ガセかもしんねーし、わかんねーけどな!」
(…まさか…)
放課後、晴は宇佐美と連絡をとった。
[晴くん。何かな⁇昨日の話はごめんやけどまだなんや]
「いや、昨日とは別件…ってワケでもないんですけど、一つ聞きたいことが。」
[なに?]
「…ウワサがあるみたいなんですけど、ある薬を飲むと一時的に魔力の激増や、複数の魔法が使える。そんな事例はないですか?」
[…もう、そんなトコまで話が広がってるんか…]
「…ってことは、あるんですね…?」
[ある。今それについて特別部隊が編成されていろいろ調べてもろてる。]
「…そうですか…。…多分、風原新はその薬を使ってます。」
[ほぅ…。その根拠は?]
「人間、全く違う2種類の魔法を使える人はごく稀にいます。でも、3種類はいません。というか、事実上ほぼ無理です。」
[…その感じから言うと、風原は…]
「3つ使ってました。」
[なるほどな…。わかった、貴重な情報ありがとう。]
「いえ、ではこれで」
[あ、この話、他言無用で。あんま広めると騒ぎになって、調査もしにくかるから。]
「了解です。」
晴がメインテイン本部に着いたとき、すでに全員が集まっていた。何やら深妙な面持ちだ。
「こんにちはー。みなさん早いですね…」
「…ちょうどよかった。中結くん。」
新谷が席を立ち、晴に近づく。
「… はい?」
「お願いがあるの。」
「…どういった…?」
「…この先、どんな強い敵と戦わなきゃならないかわからない。だから、ね、中結くんに、その…。戦いのリーダー。私たちはタクティクスって呼んでるけど、それになって欲しいの。」
「…タクティクス…」
晴がその単語をつぶやき、周りを見回した。
全員鋭い目つきで晴を見ている。
…これは、断れそうになかった。
「…。わかりました。こんな俺でよければ引き受けさせていただきます。」
「うん。その返事待ってた!」
「なんか俺、ハメられたみたいですね(笑)」
「え、なんで⁇」
「だって、全員の前でそんなこと言って、断れないようにして…。ズルイですよ」
「ズルくて結構(笑)まさにその狙い通りに、中結くんは引き受けてくれたんだから!」
「…性格わりぃ…」
ボソッと晴がつぶやいた。
「ん?なに⁇よく聞こえなかったなー!」
「あぁ、いや、なんでもないです!」
「あっそう…。」
新谷がくるりと晴に背を向け、自分の席に戻った。
「性格悪くなきゃ、この仕事やってられないからね!(笑)」
(…完璧に聞こえてたか…(笑))
晴も空いてる席に座った…。
「今週の土曜、ちょっと大きな仕事を引き受けることになった。」
緑明が前で会議を進めている。
「青の園。知ってるか?ってか、晴なら知ってるよな?」
「そりゃ、まあ…。高校の横ですからね。」
青の園。晴の通っている初青高校の横にある、洒落た商店街。というか、ほぼ街に近い。
主に少し高級な店が並んでいて、紳士淑女がよく訪れるような場所。
初青の生徒は特権で、青の園での買い物はすべて半額になる。
「その青の園での護衛任務を引き受けることになった。」
「護衛…ですか?」
新谷がメモを取る手を止めて聞いた。
「護衛だ。今度の土曜日、ある有名デザイナーの講演会が予定されてる。俺たちメインテインはその人の護衛をする。」
「その…デザイナー…というのは…?」
「確か…ローザ•フレアとかなんとかいう名前だったような…」
『ローザ•フレア⁉︎』
全員が声を揃えて驚いた。
「え、なに⁇有名人…なのか⁇」
「せ、先生、ローザ•フレアを知らないんですか⁉︎」
「あ、あぁ…」
新谷が緑明に襲いかかるような勢いで迫った。
「ファッションに疎い…というか、世間に疎すぎるにもほどがあります!」
「…そ、そうか…。今度から、そっちのほうも…少し頭に入れとくよ…」
緑明は額に汗を浮かべていた。それだけ全員の顔と勢いが怖かったのだろう。
「あー、で、話戻すな。護衛任務なんだが、向こうからの希望で5人、お願いしたいらしい。」
「5人ですか…」
新谷と原一が顔を見合わせる。そのあと、メインテインのメンバーを見る。
「…そうね、私か百花どっちが行こっか?」
「うーん…。じゃあ美憂に任せていい?私土曜はちょっと学校で用事があって…」
「そう…。わかったわ。じゃあ私が行く。先生、メンバーも私が決めていーですか⁇」
「いいよ。」
「えっと、それじゃあ、まず、中結くん!あと稲瀬くん!男手はあったほうがいーからね!」
「拒否権はないんでしょ?」
「了解です!」
「あと2人か…。戦い慣れしてる理菜ちゃんにも手伝ってもらおうかな。」
「はーい。」
「あと1人…。うーん…。じゃ、恵!その5人でどお?」
「え、なんで私⁇(笑)」
「えっと、まず百花がいないことを考えると、メインテイン本部には1人か2人残らないといけないでしょ?もし、何かがあって本部が襲われたとき、秋葉のほうが純粋に魔法が強いから、相手を蹴散らせるかなーって…(笑)」
「つまり、ウチはあまりもん…」
「え、いやいや!護衛任務大事な仕事!それに任命されたんだよ!あまりもんとかじゃない!」
「…ふーん。ま、あまりもんでもえーけど(笑)わかった。行くわ。」
「ありがと(笑)先生、この5人で。」
「わかった。」
この調子で次もいきます!