過去と、事実
かなり更新遅れました…
さて、今回はほぼ同じ場所から動かず
話をしているだけの回なのですが、わりと重要な回です!
原一がポツリポツリと昔話を始めた。
「メインテインにいる期間はこの中で私が1番長い。それこそ緑明先生よりもね。」
原一がメインテインに入ったのが中1。
緑明がメインテインの責任職に就いたのは原一が中3のときだ。
「私が入った時、メインテインは最強世代って言われててね。全員行動力もあったし、頭もよく回ったし、魔法の力だって圧倒的に強かった。」
原一が懐かしそうに遠くを見た。
「中1で入った時、メインテインのリーダーをしていたのが、風原新。私はアラタ先輩と呼んでたわ。」
『⁉︎』
それには全員驚きを隠せなかった。今さきほど人を殺そうとまでしていた人物が、昔はメインテインのリーダーだったのだから。
「そのとき、アラタ先輩は高2だったわ。すごい人気者だった。私たち後輩にもすごく優しかったし、周りへの気配りもできて、学校でもムードメーカーって感じだったみたいで…。」
そこで一呼吸おく。
「でもね、高校卒業と同時に突然姿を消したの。希少魔法使いとして登録はされたままだったから、おそらく死んではいないし、この朝月のどこかにいるはず。それはわかってた。…でも誰も探し当てられなかったわ。」
「…じゃあ、その時からずっと今まで誰も会えてなかった…ってことですよね⁇」
晴が聞いた。
「そう…なんだけど、実は私、1度だけアラタ先輩から電話がかかってきたことがあったの。高校の時のキラキラした雰囲気はなくて、なんだか暗いというか、なんて言うか…そんな感じだった。」
「どういった会話の内容だったんですか…⁇」
「[…ごめん]って言われたわ。意味がわからなかった。[何で急にごめんなんですか⁇]って聞いたら、[俺はもう戻れない…。]とだけ言って…。[後は…頼んだ…]って最後に言われて、電話が切れた。そのあとは音信不通。しかも電話がかかってきたのは私だけだったみたい…」
全員言葉が出てこなかった。
しばらく沈黙の時間だけが過ぎて行った。
「…確信はないんですけど、俺もしかしたら風原新が何をしたのか、何か手がかり掴めるかもしれません。」
晴の中で何かがつながった。そういった雰囲気だった。
「…晴。もしかして、アイツ頼る気か⁇」
「はい。」
緑明と晴は同じ結論に達したようだ。
周りの人たちは何かよくわかっていなかった。
「…わかった。晴。明日全員に話せるか⁇」
「明日は厳しいかもですけど、明後日には必ず。」
「わかった。この件、少しお前にまかせる。」
「先生!ちょっと待ってください!」
原一が止める。
「まだ、中結くんは新人ですよ⁇それなのにいきなりそんな大役…」
「…原一。確かに、メインテインでの活動はお前が1番長いし、経験だってある。でもな、残念ながら晴にはそれを上回る実績がある。桜原にもな。」
「…え⁇」
原一は緑明の言う意味がわからず、言葉につまった。
「…朝月事件。それを解決したのは表面上は宇佐美啓ってことになってるが、事実上解決したのは、晴や桜原を含む現在高校1年の6人だ。そして、晴はそのリーダーだった。」
『…え…』
晴と桜原以外のメンバーは状況がまったく飲み込めなかった。
朝月を救ったのは、今自分たちの前にいる高校生。
「こいつらはまだ学生だ。世間に騒がれるのを防ぐために、表向きを宇佐美の名前で通したんだ。だからお前らもこのことは黙っとけよー。」
みんなの視線が晴と桜原に集まる。
「…そーゆーことです…。」
「はい…」
さて、一つ間を挟んだので、次は新たな話に参りたいと思います!
では、また頑張って早く投稿できるようにします…(笑)