新洛と、新たな敵
お久しぶりです!
書き溜めていたので掲載、遅くなりました!
とりあえず、ひとまずこの回は終了です!
晴と稲瀬は新洛高校にやって来た。
「俺、新洛って初めて来た…」
「僕もです。」
とりあえず、校門の横にあるインターホンを押した。
「…?出ねえな…」
稲瀬が校門の隙間からグラウンドや校内を見回す。
「…生徒が1人もいないんですけど…」
「⁇あ、そーいや今日、新洛の生徒は全員帰るように言われてるって連絡なかったっけ?」
「あ、そうか…。でも、先生もいないですよ⁇ちょっと変な感じします…」
「…。入るか。なんとなく胸騒ぎするしな」
晴が校門の横にある身分証をかざす場所に、メインテインの証明書をかざし、稲瀬も続いた。
まず、玄関に入る。
「…ホントに誰もいませんね…」
「…とりあえず、職員室行ってみよ。」
新洛の職員室は2階にある。
階段を上がる。やはり、人の声は全くしない。
周りに注意を払いながら、ようやく職員室に着いた。が、しかし…。
「…⁉︎晴先輩。コレ…」
「…あぁ。ただごとじゃない、ケッコーヤバそーな感じだな…」
職員室内にはたくさんの教師が倒れていた。
晴はその1人に近づく。
「…息はある。気を失ってるだけみたいだな…」
「他には先生いないんですかね?」
晴は周りを見回した。
「…校長室行ってみるか。」
ー校長室ー
職員室の隣にあるのが校長室。
コンコン
「…」
「返事ねぇな。入るか。失礼します。」
「失礼しまーす…」
晴に続いて稲瀬が入る。
「…誰もいませんね…」
「確かにな。でも、多分さっきまでいたんじゃないかな?」
「⁇どーゆーことですか?」
「コレ、見て。」
晴が指差した先にあるのは時計。地面に落ちて壊れて止まってしまっている。
「16時15分。今は…30分…」
「俺たちがココへ着いたのは10分ほど前。フツーに考えたらどっか遠くに行ったとは考えにくいな。」
「じゃあ、近くに…?」
「もしかしたら、まだ校舎内にいるかもな。さっきから魔法で校舎から出て行く人いないか確認してるけど、誰も出て行ってない。」
「校舎内…ですか…。」
よく見れば、校長室は争った後があり、ソファや机などが斜めを向いていたりしている。
「どこにいるんでしょう?」
「…光太。こんな魔法使えるか?」
晴が説明する魔法を聞くと稲瀬は頷いた。
「それならよくやりますよ。」
「それを範囲をこの校舎全体に向けてできるか?」
「…多分できると思います。」
「よし、じゃ試しにやってみて?別に失敗してもなんも問題ないから。」
「了解です。」
稲瀬が発動したのは、サーチング。一定の範囲内にどれくらいの魔法使いがいるかを測定する魔法だ。
稲瀬の地形魔法と組み合わせて、より緻密な結果が出ると晴は予想した。
「…。」
「どうだ?いるか⁇」
「えっとー…」
「俺の予想じゃ、屋上にいると思うんだけど」
「屋上…?…あ!いました!相当強力な魔法使いの反応です。おそらくSTEPは…え」
稲瀬が止まった。
「ん⁇どーした?」
「…STEPは晴先輩と同等かそれ以上…です…」
「…ってことは希少魔法使い…。」
「多分…」
「とりあえず、屋上行くか。光太。戦う準備しとけよ。」
「はい。」
稲瀬が魔法を止めた。
屋上のドアの前。
「…落ち着いてな。行くぞ。」
コクリと稲瀬が頷く。
ガチャリ
ドアを開けると爽やかな風が吹いてきた。その先、目の前には金髪で、身長がおそらく2m近くある男が街を見渡していた。
「…待ってたぜ。」
男は振り返って2人を見た。
「この校舎に厄介な魔法使いが入ってきたことはわかってた。そのせいで俺はここで立ち止まるハメになったんだからな。」
晴は目の前金髪男の話を聞き、顔を見る。
何処かで見た気がする。でも、会ってはいない。どういう条件で見たのか…
「…!風原新。」
「お、俺のこと知ってるのか。」
「…つい最近、顔を写真でみました。名前だけはこの街にはよく知れ渡ってますし。なんせ、希少魔法使いにしてSTEP9の大男。朝月では2番手。こんな目立つ条件を持ってる人なんてそうそういませんからね。」
「ふーん…。写真を見たってことはお前、タダの高校生ってワケじゃなさそーだな。」
風原は指をポキポキと鳴らした。
「そんなヤツにこの状況を見られるのは厄介だ。始末する。」
「…はっ、始末⁇イヤだね。」
晴も臨戦態勢に入った。
「…光太悪い。危険なのはわかってるが、手を貸してくれないか?」
「もちろんです。」
稲瀬は即答だった。稲瀬も臨戦態勢に。
「…ふん。雑魚が何人よったって一緒だろ!」
風原がスッと息を吸って魔力を放出。その瞬間。
「消えた⁉︎」
「光太!うしろ!」
風原が後ろから稲瀬を殴りにかかった。
「鉄壁!」
稲瀬が叫ぶ。風原の手が稲瀬の前で止まった。
「…へぇ。ちょっとはやるみてーだな。じゃあ…」
風原が床に手をついた。
「ボルケーノ!」
『⁉︎』
風原が今度は炎系統の魔法を使ってきた。
さきほど使ったのは加速系統の魔法。今使っているのは炎系統の魔法。
つまり、まったく種類の違う魔法を使えるということだ。
コレができる人は朝月にいる魔法使いの中でも1割ほどの確率。
いきなりの二つ目の魔法に2人の判断は一瞬遅れた。
風原の近くにいた稲瀬に炎の塊が近づく。
「マリン•ブルー!」
晴が後ろから稲瀬を援護。稲瀬の目の前に大津波が出現し、風原の魔法もろとも消し飛ばした。
「あ、ありがとうございます…!」
「光太!今はしっかり、敵のことだけ見てろよ!」
「はい!」
2人でじっと風原を睨む。
「…ふーん…。そっちの子は随分戦いなれてるみてーだな。オマケにマリン•ブルーなんて強力な魔法も…。…お前、名前は⁇」
「…そーいや、自己紹介まだだったな。俺は中結晴。この春からお前と同じ、希少魔法使いになった。」
「あー…君が…。ウワサは聞いてるよ。そっか…。じゃあコレは明らかにこちらが不利なワケだ。希少魔法使いにプラスαがいるし。」
チラッと稲瀬を見る。思わず身構えた。
「…しゃーない。奥の手使うか。」
風原がまた消えた。
「光太。上。」
晴が指差したのは、屋上の入り口の上のところ。
風原が左手に誰か人を持っていた。
「人質ってワケか。」
晴がつぶやく。
「察しがいーね。そう、人質。でも人質ってのはちょっと甘いな。どちらにしろ、今からコイツは殺す。お前らもろともな。」
風原は腕を前に出し、手を開いた。
「…CHANGE」
そう告げた。
「…晴先輩…。アイツは何したんですか…⁇」
「…わからない…。ただ、そんな生温い話じゃなさそうだ…。」
お互い睨み合い、人質を片手にしたまま硬直状態だった。
(…なんか…空気の流れが…。)
晴が少し異変に気付いた。
(…空気…硬直、人質…。)
「あ」
晴がバッと顔を上げ、人質をみた。
明らかに顔色が悪くなっている。
さらに稲瀬の方を見ると、かなり苦しそうに呼吸をしていた。
(…ヤバイな。)
晴は少し息をとめ冷静に考える。
(…もう時間はない…。何か…。)
稲瀬の顔色も悪くなって来ている。
(…仕方ないな。アレ、使うか。)
晴がいきなり手をパンッと合わせた。
「森の恵み!」
あたり一体が緑色に。
「…OPEN!!」
森の恵み。あたり一体の異変や異常状態を元に戻す、防御系魔法では最強の魔法。
風原が使ったのは気体転換魔法。おそらく酸素と二酸化炭素を入れ換える魔法を発動したのだ。
酸欠になった人質と稲瀬が倒れ、やがてそれに気づかなかった晴も倒れる。
という計算だったのだろう。
「…チッ。流石にあからさますぎたか。」
風原が人質を離した。
転落するのを少し意識がはっきりしてきた稲瀬が受け止める。
「…中結晴。俺はお前を忘れない。」
風原が加速系統の魔法を使い、瞬時にその場を離れ、あっという間にいなくなってしまった…。
「ハァ、ハァ…」
稲瀬の呼吸が荒かった。
「大丈夫か⁇」
晴は魔法の威力を弱めつつも発動し続けている。
「なんとか落ち着いてきました…。…晴先輩が早く気付いてくださって…助かりました…。」
「俺も気づくのにちょっと遅れたからな。まだまだ未熟だ。」
「でも、今もずっと魔法を発動し続けてます…。それだけでもすごい魔法使いですよ…。」
晴は相当量の魔力を持っていた。おそらく純粋な魔力の量なら朝月でも1番、2番を争う。
「とりあえず、先生方をなんとかしないとな…。」
その後、晴たちは警察を呼んだ。
警察が到着する頃には先生方全員の意識は回復していた。
全員、少し気を失っていただけだったらしい。
晴と稲瀬がメインテイン本部へ帰ったのは7時を過ぎていた。
「2人とも何してたの(怒)」
帰るなり、副リーダーの原一の激昂が。
「…新洛で厄介ごとが起きまして…」
「こんな遅くなるような内容だったの?」
「はい…。警察沙汰…というか、下手すりゃ死人が出るほど…」
「そんな大事」
何かを言おうとした原一の声を新谷が遮る。
「ねえ、百花。コレじゃない⁇」
「え⁇」
テレビでちょうどさきほどの事件の話がでていた。
「…本当…みたいね…。怒鳴り散らしてごめんなさい…」
「いや…勝手に動き過ぎた俺たちも悪かったです…」
と、そこへ新谷。
「ねえ、具体的に何がヤバかったの⁇」
「…風原新って知ってますか⁇」
「STEP9の風原⁇」
「はい。その人と戦うことに…」
そこで大声を上げたのは原一。
「え⁉︎風原新と会ったの⁉︎」
「え、ええ…。新洛の先生を眠らせた後、校長を殺そうとしてました…」
「…。そう…」
原一の様子が目に見えて変わった。
変に思った稲瀬が聞く。
「…原一先輩。どうかしましたか⁇」
「…いやなんでも…」
「なんでもないですよね⁇明らかに変ですよ。何か知ってることあるなら話してください。」
原一は少し考え込んだ。
「…そうね…。わかったわ。」
また、新たなキャラが…
さて、少し間を挟んで次のステップへ進みたいと思います!
次の掲載は早めにする予定です!
これからもよろしくお願いします!