凪沙と、森田
さて、そろそろ新展開があるやらないやら…
賑やかな晩ご飯となった。
しばらく会っていない間のお互いのこと、晴の学校のこと、凪沙の学校のこと、優の学校のこと、楓の結婚のこと…。
気がつけば夜10時前だった。
そろそろお開きにしようかなんて言ってるとき、晴のケータイに連絡が。宇佐美からだった。
ごめん。と言って席を立ち、庭に出た。
[あ、もしもし、晴くん?今ちょっとええ?]
「はい、大丈夫です。」
[この前から頼まれとった風原新についてなんやけどな。]
「多分そうじゃないかと思ってました。」
[じゃあ、話早いな。率直に言うと、天野秀喜は晴くんの予想通り、組織作っとった。]
「…やっぱりそうですか…」
[組織の名前はインヘルノ。]
「地獄ですか…」
[うん。リーダーは風原新。何が狙いかはまだはっきりわかってないけどな。現在仕入れられてる主な情報はそんくらいかな。]
「…あの、何人か、メンバーってわかりますか?」
[メンバー?何人かは手元にデータあるけど。]
「…ローザ•フレア、もしくは森田昇、林原有紗。この中に誰か載っている人いますか?」
[えー、ちょっと待ってな…。…あ。3人とも載ってる…。多分リーダー格や。]
「…そうですか…」
[…もしかして会うた?]
「えぇ、まぁ…。」
[青の園か。]
「さすが、情報早いですね。」
[まー、伊達にこの仕事ついてるわけちゃうからな。…無理だけはしなや。]
「わかってます。」
[あと、能力の増大のほうはまだわからんかった。またわかったら連絡するなー。]
「お願いします。」
[ほんじゃねー。]
晴がケータイを切った。
「…ふぅ…。」
後ろに人がいるのに気づかずに。
「…晴?今誰と連絡してたの?なんで晴の口から森田昇の名前が出てくるの?」
凪沙だった。かなり驚いた顔をしている。
「…。ホントは一般民巻き込んじゃいけねーんだけど、仕方ないな。凪沙にも聞く権利は十分あるし、なんか頼りになるかもしんねーし。」
「⁇」
「…つまり、森田くんは晴の敵…ってこと?」
「そ。俺たちメインテインは今、その森田もいるインヘルノについての問題が最重要課題になってんだ。もうすでに二回交戦してる。」
「…なるほど…。」
凪沙は何か暗い顔をしていた。
「…凪沙。」
晴が声のトーンを少し低くした。
「なに⁇」
「…これは最後は凪沙の決めることだから、あんま関与する気はないけど、森田と付き合うなら、それなりの覚悟いることもわかっとけよ。俺には付き合うなって言う権利ねーから、はっきりとは止められないけど、できれば付き合って欲しくない。」
少し間があった。
「…ずいぶんはっきり言うね。」
「そりゃ、凪沙のことだからな。」
「そんなに、私のこと大事なんだー。」
「そりゃな。」
その返答を聞くと、凪沙は晴の横を通り過ぎ、晴に背を向ける形で話した。
「…こーゆーのを直感って言うのかな。」
「⁇なに?」
「…森田くんは確かにいい人そうだった。普通なら付き合うハズ。でもね」
凪沙がくるっと回り、晴のほうを向いた。
「この人と付き合っちゃいけない気がするって思ったの。」
晴がその言葉を聞いて少し驚く。
「なんの確証もないし、気のせいだって思いながら、今日まで来た。でも…、これで決心ついた。」
凪沙が晴の目の前に立った。
「告白は断る。付き合わない!」
「…それは、俺のせい…⁇」
「違うよ。自分の直感を信じただけ。確かに晴からその話を聞いたから、決断出来たってのはあるけど。」
「…ホントにいーんだな?」
「もちろん!私、森田くんのことカッコいいとは思うけど、恋愛対象とは違うしね!」
「そっか…!」
「それに…」
と言った凪沙が止まった。
「…それに⁇」
「…いや、何言おうとしたんだろ(笑)なんでもないや!」
「え(笑)気になるなー」
「仕方ないじゃない!忘れたんだから!さ、戻ろ?」
「あ、あぁ…」
2人がリビングに戻ってちょうどパーティーはお開きになった。
帰り際。
「凪沙。」
「何⁇」
「明日さ、放課後なんか予定ある?」
「明日⁇ないと思う…けど?」
「あ、じゃあさ、一回メインテイン本部来てくんね?話は俺がつけとくから。」
「え、いーけど…行き方わかんないよ?」
「俺が迎えに行くよ。放課後に西萩駅で待ち合わせでどお?」
「わかったわ。じゃ、明日ね。」
「おう。」
凪沙は帰って、お風呂に入って自分の部屋へ。
「それに…」
(私には、森田くんなんかよりももっと素敵で、大好きな人いるしね。)
話が徐々に動いて来ましたね!
ではみなさん、また!