お茶会と、パーティー
さて、ついに合コンみたいなヤツします(笑)
とはいっても合コンにはならないかも…
「晴!こっちこっち!」
晴は朝月で1番栄えてる場所、朝月中央にやって来た。
「お待たせ、岩沢。」
駅前で高校の親友、岩沢と待ち合わせた。
今日は以前岩沢が言ってた、女友達とその友達と会う約束になっていた。
男2人、女2人の4人で喋る会。と言えば聞こえはいいが、側からみればタダの合コンだ。
2人は待ち合わせ場所のカフェへと向かった。
「…あ。向こうの2人ちょっとだけ遅れるってー。」
岩沢がケータイに連絡がきていることを確認した。
「おっけー。」
その後すぐ、カフェに到着。
今日は気候もいいので、テラス席に座った。
「晴、何にする?」
「うーん…。俺、パスタ。」
「女子みてー(笑)」
「うっせ!そーゆー岩沢は何にするんだよ?」
「うーん…。うーん…」
岩沢はメニューと睨めっこしていた。
「うーん…。よし、決めた!」
「お待たせー!!」
ちょうどそのとき女子の声が。
「お、来た来た!」
「遅れちゃって、ごめんねー!」
「いや、いーよ。」
晴はその女子の声に聞き覚えがあった。
その声の主のほうを向く。
「…崎田さん…?」
「え?あ…中結くん…。」
「え、お前ら知り合い…⁇」
昨日会った話をすると、岩沢はそんな偶然があるのかという顔をしていた。
「でも、あれだねー。今日の集まり、ホントにタダのおしゃべり会になっちゃいそーだねー。」
崎田が席に座った。
「⁇どーゆーこと?」
岩沢が聞く。
「だって、私のほうの友達。中結くんはもう知ってるもん。」
「…やっぱ、そうか。」
「お、予想してた?」
「まぁ、崎田さんが来た時点でもしかしてとは思ってたけど…」
実は崎田のツレがまだ来ていない。家の事情で少し遅れて、もう少しで到着するそう。
そんな2人の会話についていけないのが、岩沢。
「⁇2人で何の話してんの?」
「ん?ま、もう1人がきたらわかるよ。」
「⁇」
5分ほど待った。
「あ、駅に着いて今こっち向かってるってー!」
「やっと来たか…」
1分後。
「お待たせ、智美!」
これまた聞き覚えのある声。
「おう、凪沙。こっちだこっち。」
それに応答したのは晴だった。
「…え?なんで、晴?」
「俺は男子サイドで呼ばれてたんだ。」
「…え(笑)」
事は晴の予想通りにすすみ、やはりタダのおしゃべり会に。
岩沢と崎田のエピソード、晴と凪沙のエピソードを語るとそれがなかなかに面白い。
「あ、席替えしねえ?」
岩沢が唐突に言った。
「え、席替え?」
今は晴の横に凪沙、岩沢の横に崎田という感じで向かい合っている。
「崎田、晴の前で俺が涼村さんの前。これどお?」
「お、いーかも!賛成!」
崎田がのって、2人は席をチェンジした。
男女4人が集まってする話と言えば…
「崎田、彼氏いんの?」
「いないよー。そーゆー岩沢、彼女は?」
「いたら今頃こんなとこいねーよ(笑)」
「だよねー。中結くんは?」
「いないよ。」
「え、意外⁉︎そんだけカッコいいんだから告白とかよくされるでしょ?」
「うーん。高校入ってからはまだ…」
「あー。でもあれだね、きっと時間の問題だね!」
「それは俺にはわかんねーな(笑)」
「凪沙は…。あ」
崎田が凪沙の方を向くと同時に何か思い出したようだ。
「⁇崎田さん、どしたの?」
「ふふーん。凪沙。返事どーすんの?」
「え、ちょっと、智美!なんで言っちゃうのー!」
「え、だって事実だし、さすが凪沙って感じだしー」
この話を聞いて察したのが晴。
「…もしかして凪沙、コクられてんの?」
「…もー!口にしないでよっ!」
「へー。そっかー(笑)」
晴がニヤニヤしている。
「…もー…。いじわる。」
「お前、俺のことくらいわかってんだろ?」
「…うん…」
「で、相手はどんなヤツ?」
「え、えっとねー…」
「学年1番人気の男子だよ!」
崎田が入ってきた。
「へー。優良物件じゃん。」
「でしょー?」
なぜか崎田が得意げだった。
「ちょっと、智美。まだ付き合うって決めたワケじゃないんだから…」
「あんないーの逃すの⁉︎」
「え、いや、それは…でも…」
「でも…何よ(笑)だって森田昇だよ⁉︎断ったら女子の敵になっちゃうよ⁇」
ここで表情が固まったのは晴。
「…え?」
「ん?晴。どーかしたか?」
岩沢が聞く。
「え、いや、なんでも。」
ひとまず考えを押し殺してその場は収めた。
そのあとも話し続け、5時に解散した。また会うことになりそうだ。
崎田は用事で朝月中央に残り、岩沢は別方面なので、晴と凪沙が2人で帰ることになった。
「今日はなかなか楽しかったー!」
「そーだな。」
「晴とも久々にいっぱいしゃべれたし!」
「俺も凪沙としゃべれてすっごい楽しかった!」
電車を降りて、地元の駅から出た。肩を並べて歩く。
そんなとき、2人のケータイが同時に鳴った。
「もしもし?うん。うん。え?」
晴が電話の内容を聞いて凪沙を見た。同じく凪沙も晴を見た。
『おかえりー!』
晴の家に帰ると、そこには晴の両親と弟、凪沙の両親と姉がいた。
2人同時に帰り、全員に盛大に迎えられた。
昨日、晴も凪沙も再会したことを親に言ったところ、今日夜ご飯を一緒に食べようということになったようだ。
晴の家と凪沙の家は家族共々仲が良く、たまーにこうした合同晩御飯があった。
凪沙が引っ越したため、しばらくなかったが、久々に行われることになった。
「晴くん、久しぶり!」
声をかけたのは、凪沙の姉、楓。
凪沙より八つ上で、現在は既に結婚しており、別の場所に住んでいる。
今日はたまたま、主人が出張だったため、こっちへ来たそうな…
「久しぶり!楓ねーちゃんも元気そーだね!」
「もっちろん!」
晴と凪沙が靴を脱いで上がる。
「あ、優くん、こんにちは!」
凪沙がリビングにいた晴の弟、優に声をかけた。
「凪沙ねえホントに帰ってたんだ…」
「もちろん(笑)」
優は現在小6。来年からは中学生だ。
「さ、では食べようか!」
晴パパがそう言って席についた。
こうしてパーティーが始まった。
合コンのメンバーはまさかの知り合い。
これじゃ合コンにもなりませんね(笑)
凪沙ちゃん、いきなりよく出てきますが、この後も出て来てもらう予定です!