生活を大切に・・・・・・
ピピピピピーーーーーガチャ
今日という日が始まる。
どんなに大変でも起きてご飯を食べ、生きなければいけない。
生きるということは前へ進むこと。
さあ、始めよう、今日を。
…………ごめんなさい、調子のって。
なんか名言言ってみたかったんです。
自分に対して恥ずかしさと呆れをもって悲しく朝が過ぎていった。
* * *
学校につき、人の少ないメディアアベニューを通り、図書館に行った。
昨日水野さんが最後に言っていた、「最初に言ったこと」を考えると“性質”という言葉にたどり着いた。
よって、それを調べるために今図書館にいる。日本刀というと、伝統工芸品のところだろうか。ぶらぶらっと歩き回り、目当ての場所を発見した。
日本刀に関する本を数冊見繕って誰もいない席に座った。
「へ~」
思わず感嘆の声を出さずにはいられなかった。
日本刀ってやっぱり歴史がすごいんだな。平安時代くらいに作られたと思ってたのに、古墳、奈良時代にはあったんだな。
ひとりで「ふむふむ」と感心しているとチャイムが鳴った。
つづきがきになるなぁ。
と、いうことで、数冊借りて教室に戻った。
* * *
3時間目。英語の授業。
……眠い。
授業中って、正直ひま~なときありますよね?
そういうときって、寝るのが普通ですね。
ある人は本をよんで、ある人は次の授業の予習をして。
これくらいならまあいい。
しかし、今横をみると電子辞書のケースを開け、まじめに授業を受けていると思ったらなんと!なんとなんと!
……よくある折りたたみ式のゲーム機を広げてゲームをしていた。
ここって、一応進学校なんですよ?
学校はじまってまだ4日ですよ?
自由すぎませんか? このクラスは!
と、思っても注意することはできません。
だから、さっき借りた本を足の上で広げて読む。
あまりに熱中しすぎて近づいてくる足音にまったく気がつかなかった。
「君、何やっているのかな? ちょっと堂々しすぎでしょ?」
頭上から響く声、そっちをみると笑顔だった。
ここは何というべきか? 誤魔化す方法はないか?
そうだ! 横のひとはゲームをやっている。その話を出せば!
そう思って目を横に向ける。
……やってない、やってなーーーーーーーーーーーーい!
しかも顔を見ると「あ~ぁ。ドンマイ」みたいな、哀れみの視線を向けてくる。
お前もやっていただろうが!
再度先生を見る。
笑顔だった。
その笑顔が怖いです!
「いや、なぜ本があるのでしょう?」
パコーン!
むっちゃいい音が!
そして頭が痛い(泣)
「しまってね」
終始笑顔だったが、教科書を丸めて殴られてしまった。
キーンコーンカーンコーン
昼休み。
約束どおり水野さんと屋上で昼食をとった。
そのとき、3時間目の話をすると……
「あはははは」
大爆笑された。
腹を抱えてすごく笑ってる。
「腹筋が、腹筋が痛い! おもしろいのに、涙出てくる!」
まだ笑ってるよ……。
「そんなに笑わなくても」
「あはは、ごめんごめん」
「確かに警戒心が薄すぎたな。隣なんか授業後にドンマイって言ってきたし」
「ホントにお疲れ様だね」
「まったくです」
「それで、そこまで頑張って、何かわかったの?」
「もちろん」
朝から日本刀について調べてわかったことをまとめると、5つほどだ。
1つ目。日本刀は外国人から見たときの呼び方で正確には“太刀”と“打刀”を総称して呼ぶということ。そして僕のもっているものは太刀である。
2つ目。その太刀にも“太刀”、“大太刀”、“小太刀”があるということ。この3つの違いは長さである。太刀は刀身が2尺以上、3尺(90cm)未満のものをさす。あの刀は90cm以上ないので太刀である。
3つ目。“太刀”の語源は“断ち”から来ているというもの。これにはなにか引っかかるものがあったが特に考えなかった。
4つ目。太刀に限らず、日本刀は「折れず、曲がらず、よく切れる」という相反する性質を同時にもっているということである。
何が相反するのかを考える。
『折れず、曲がらず』
折れないためにはものを曲げる必要がある。なぜなら折れやすいから。
曲がらないためには硬くする必要がある。しかし、硬くすると折れやすくなる。
『折れず、よく切れる』
この両立も難しい。これについては、刃先が硬く、芯に向かうと硬さが徐々に下がるという構造をもっているから実現している。
5つ目。これは居合いからヒントを得て考えた。刀は45度の角度で振り入れると一番切れやすい。確かに昨日の自分を考えると真横からいったり、中途半端な角度で斬ったりし、統一できていなかった。
この5点を水野さんに話した。
「その中にヒントがあるはずだよ」
「そうなのか……」
それはうすうす感づいていたが考えてもわからなかった。
「ところで、水野さんはどんな修行したの?」
「ん? 同じだよ」
「え? だって、素手でしょ?」
「うん。素手で岩割ってた」
「………………わぉ」
絶句した。
信じられない。
「そのうち修行の第2段階になったら、もっと驚くと思うよ? 聞く?」
「いや、そのときの楽しみにしておきます……」
目の前のひとって、すごいんだな。僕がおもっている以上に。
それからいろいろ話し、本を返さなければいけないことを思い出して、早めに楽しいお昼タイムを終了した。
教室にもどると、優がいた。
「お、彼女とはどうだった?」
クラスメートが数人ふりむいた。
急いで否定する。
「そんなわけないじゃん! へんなこと言うなよ!」
「本当かよ? 昼休み始まったら直ぐでてっちゃうし、行く前はニヤニヤして、帰ってきたらさらにニヤニヤしてるよ?」
「……気をつけます」
「それにしても、さっきはドンマイだったな。何の本読んでたんだ?」
「日本刀」
「……。はい?」
「日本刀の本」
「なんで? 予想の上をいったよ、今」
「内緒」
「中二病とか? 世界は俺が守るみたいなのに目覚めてしまったのか?」
「違うっての。少しは人の話を聞きなさい!」
「じゃあ何で?」
「教えられません」
いや~、無理でしょ。
話すとしたらPGから話さないといけないし、まだ訪れて2日しかたっていないわけだし。
「いつか、教えられるときがきたら教えてやるよ」
「……わかったよ。俺はお前を信じてるから」
「……ありがとう」
「なんか、顔赤くなってない?」
「そりゃ、正面からそんなこと言われたら恥ずかしいっての!」
「はっはっは。いつもどおりでよかったよ」
「うるせー」
キーンコーンカーンコーン
昼休みが終わり、午後の授業中は、あるだろうヒントについて考えていた。が、簡単に思いつくわけもなく、ただ時間だけが過ぎ去っていった。
こんなんで大丈夫かよ、自分……。
頑張れ、自分!
ひとりで落ち込み、励ますという器用なことをして午後が過ぎていった。
帰ってからバイトに行った。バイトにいくとまかないを食べることができるので、夕食代がうく。これはとてもうれしい。
その後、宿題をし、風呂に入る。
この間も、ずっと刀について考えていたが、何も思いつかなかった。
そしてOFSをかけ、寝た。
* * *