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PHANTOM GARDEN  作者: shinohihou
13/17

信じる心、踏み出す一歩


「……そんなことが、あったんですか」

 僕はとても驚いている。

 そんな過去があったことに。

 そして、今何を言えばいいのかわからなかった。

「信じてくれる?」

「まぁ、信じます。ただ、そのことと、ペアについて嘘をいったことはどう関係があるの?」

「それは簡単。あなたのことを私の味方にしたかったから。この世界では人を信じることができないし」

 ……あー、信用されてなかったんだな。

まあ、普通そうなりますよね。

「今、その話をするということは、僕を今度は信用しているってことだよね?」

「それだけじゃないよ。今なら、君は戦わずにすむ。これはわたしの復讐。だから参加しなくていいってことを伝えたかったの」

 そんなの、結果は決まっている。

「もちろん、戦いますよ。さっきまで悩んでたけど、親友に最高のアドバイスもらったし」

「……いい親友がいるんだね」

「そりゃ、もう最高の!」

 水野さんは僕の顔を見て少し驚いていた。

「ありがとう、本当に……ありがとう」

 そういいながら水野さんは僕から目をそらした。

 少し泣いているような気がした。

 まあ僕はあなたこと好きだから当然です。

 それからしばらくして水野さんはこちらを向きなおした。その目には確固たる決意が感じられた。

「じゃあ、作戦会議はじめようか」

「はい!」

 僕だってやってやるぜ。なんたって、あなたを守りたいから。

「一応もう一度いっておくけど、PGで最後にあった男のほうが坂西誠、女が宮間梨香。こっちにとって幸運だったのは、相手が2人とも素手での戦闘であること。君は武器、日本刀があるから、それで経験の差は多少埋められる」

「どっちがどっちを相手する?」

「わたしが強いほう、坂西誠の相手をします」

「勝てる?」

「わたしだって頑張って修行した。君の修行中もずっと。だから負けない、と自身もっていえたらいいんだけど……」

 不安な要素があるといったあれか。

「心力」

「うん、まだ見つけられてないの」

「もう、戦いながら見つけるしかないんじゃない?」

「私もそう思う」

「頑張って僕もみつけるよ」

「じゃあ宮間梨香に対してのアドバイスをしてあげるよ」

「お願いします」

「彼女はパワータイプというよりテクニックタイプ。特にカウンターを得意とする。刀を振り下ろした後がピンチ。けど、カウンターの弱点って知ってる?」

「さあ?」

「それは、かわすときに大きすぎても小さすぎてもダメ。つまり距離感を間違えさせることができれば攻撃を当てられる。そのための技ならあなたはもってる、そうでしょ」

「うん、あれをタイミングよく出していけば、いつかでっかい一発が当てられる」

「そう。ただ、相手も長年の経験者。見破られることもあるから気をつけて。使えるのは数回。もしそれできめられなければ……あなたは負ける、確実に。それくらいの実力差があるということをおぼえておいて」



キーンコーンカーンコーン


午後の授業の予鈴がなる。

「勝負はPGに入ったらすぐに始まる」

「うん。わかってる。絶対に勝とう」

「私が言おうと思ったのに。…………頼りにしてるよ」

「もちろん」

 笑顔で見送り、水野さんは教室に帰っていった。

 僕は空を見上げながらひとり感慨にふける。

 PG内で殺されることが怖くないわけはない。ただ、それ以上にあの人を失うことのほうが怖い。あの人とのかかわりがなくなってしまうことのほうが怖い。

 出会いがどうであれ、今僕はあの人のことを好きになり、あの人は僕を信用してくれている。

 だから頑張ろう。

 悲しませないように。

 明日を笑顔で迎えられるように。


 そう心に誓うと同時に曇っていた空から太陽が顔を出した。

「天も応援してくれている、わけないと思うけど。もし父さん母さんが空で見てるなら、少しくらいあの人を守る力をくれよ」

 一人つぶやいて教室に帰っていった。



 その後の授業は戦いのシュミレートを何度も何度も頭の中でしていたので、あっという間に過ぎていった。

 放課後、帰ろうとしたら優が話しかけてきた。

「上手くやれたようだね」

「あぁ。ただ、これからのことを考えるとブルーになっちゃうよ」

「けど、乗り越えなきゃいけないことなんでしょ」

「ま、そうだな。」

「告白はしたの?」

「してねーよ!」

「しないの?」

 そうだな、するとしたらすべてが無事にすんだら、かな。

「……明日を何事もなく迎えられたらするよ」

「そんな翔くんにひとつアドバイスをしてあげよう」

「……なんだよ」

「やりたいこととやるべきことはだいぶ違うからしっかり見極めること。じゃないと後悔するよ」

「わかった。しっかりやるよ」

「明日を楽しみに待ってるぜ」

「うん。じゃあ明日」

 優の言葉を胸にしまい、僕は帰路についた。

 あの人の過去に決着をつけるために。

 そして、未来に進むために。


       * * *


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