再会をしたものの・・・
再会をしたのはよかったが・・・
翌週、真知子は僕と約束通りに同じ電車に乗るようになり、色々とお互いの事を話始めるようになった。真知子は僕の事、同い年だと思っていたらしく、真知子はその時16、高校1年生だった。その理由は僕が童顔だから。僕が受験勉強で毎日徹夜しているなんて夢にも思わなかったらしい。しかしまぁ、この退屈な通学電車に一つ楽しみが出来て僕は嬉しかった。色々話して分かった事は、真知子の家はとても厳しく、特に躾には相当厳しいようだった。彼氏が出来た事などばれたら父親に何を言われるかなんて分かったモンじゃないらしい。
事実真知子の姉が彼氏を家に連れてきた時、終始不機嫌で、不機嫌なだけならいいが彼氏と大喧嘩をしてしまったらしい。まぁ、今思えば何をそんな事、親父が厳しいのは当たり前じゃないか、と軽く受け流す事も出来るのだが、その当時は真知子の恐怖に怯える姿をありのままに受け入れてしまった。帰りは特に僕が予備校通いなので不規則だから、一緒に帰る事など滅多に無く、週一で連絡を取り合う位だった。初めて女の子とお付き合いをするので僕は全く勝手が分からずに結構撫し付けな事をズバズバと言ってしまったが、真知子は笑顔で答えてくれた。例えば髪型。僕と付合うようになって真知子は多分、年上の僕に対して背伸びでもしたかったのだろう、それ迄は前髪を真ん中からきれいに二つに分けて、おでこが丸見えだったのを急に垂らし始めた。余りにも似合わなかったので思わず、
「それ、似合わないよ。前の方が可愛らしいのに。」
と、こぼしてしまったのだが、今考えるとそれは相当年頃の女の子にしてみれば傷付くような事だったのだろう。それ以来、真知子は前髪を垂らすのを止めた。しかしそういう所から段々ずれが始る事と僕は全く知らなかった。真知子にしてみれば、一生懸命に努力した結果なのだろうけれども、全く無神経な僕はそれを否定した。それ以外にも色々あったようだがもう忘れてしまった。
段々ぎこちなくなり、また、真知子にしてみれば僕が1年生だとばかり思っていたので理想とのギャップにも苦しみ、会う機会も少なくなってしまった。僕にしてみれば受験勉強で色恋所の話では無い本音もあったし、女の子とお付き合いはしたいが、どうも段々真知子は自分の好みとは違うんじゃないのか、と会って数週間で思うようになってしまった。寧ろ、例の僕が告白しよう、と考えていた女の子の方ばかりに僕は気が移ってしまい、真知子との電車内での会話は上の空だった。
受験勉強で忙しかった僕は、そんな余計な事、に首を突っ込んだ為に偏差値も再び下がり、苦しんだ。9月の終わりは夏の終わりも告げる時期だ。1ヶ月も経たないウチに、何だか二人、もう重苦しくなっていた。