表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

悪夢の果て 2

 矢のように襲いかかるベルニエ。

 それをけて、先生が◇を(えが)きます。

炎撃(えんげき)(じん)・ヒショウ」

 ベルニエが、炎を回避しようとジャンプします。

 すかさず、わたしもジャンプ。

 そして空中にいるベルニエのわきばらを()りました。

「いまです、先生」

 床に落ちたベルニエめがけて、先生が飛びかかります。

ふうじん――」

「させるかよ」

 ベルニエが先生のちいさなからだをつかんで、黒板に投げつけました。

「先生!」

 黒板にたたきつけられた先生が、声もあげずに床に落ちます。

「つぎはおまえだ」

 わたしの手をつかむと、ベルニエはそのまま窓にダイブ。

 窓ガラスとネットを突き破って、わたしたちは運動場に墜落ついらくしました。

「アリナ、もう一度いうぞ。おれの家族になれ」

 ベルニエが馬乗りになって、わたしの首に手をのばします。

「家族になれ。そうすれば命だけは助けてやる」

「だれが、おまえの家族なんかに……」

「命が惜しくないみたいだな」

 白くて針金みたいにほそい指。

 でも、その力はダンプカー以上です。

 ベルニエの指が、わたしの首に食いこみます。

 もしわたしが人間なら、すでにのどはつぶされ、首の骨も折られているはずです。

「考えてみれば、家族なんていくらでもつくれるんだよな。悪魔って理由だけで、おまえにこだわる必要なんてねえんだよ」

 ベルニエがあざけるような笑いをあげて、指の力を強めました。


 ★  ★  ★  ★


 息ができない。

 くるしくて全身に力が入らない。

 くやしくて、くやしくて、くやしくて。

 あふれたなみだが地面に垂れ落ちます。

 でも、どうすることもできない。

 立つことも、戦うこともできない。

 のどをしめられ、助けを求めることさえできません。

 ――助けて、先生。

 出せない声に代わって、救いを求める想いが心にあふれます。

「いまさら泣いてもムダだぜ。おまえの代わりなんて、いくらでもいるんだからな」

 耳元で叫ぶベルニエの声が、意味をなさない音として耳のなかで反響します。


 意識がなくなる。

 想いが消える。

 そして命が砕け散る。

 まさに、その瞬間でした。


(こう)(しゃ)(じん)・ヤジリ」

 ←の陣形(かたち)をした光の矢。

 それがベルニエの肩をつらぬいたのです。

 かんだかい悲鳴をあげて飛び退くベルニエ。

 からだの自由をとりもどしたわたしは、思いきり空気を吸いました。

 意識も、想いも、そして命も。

 とまった時間のなかで、ふたたび強く動きはじめます。

「アリナくんの代わりなんていない」

 声のしたほうを見ましたが、そこにウサギのぬいぐるみはいません。

 その代わり、背が高く、スタイルばつぐんで、女の子みたいにうつくしい顔をした少年が手に合わない、ちいさな()(どう)(ひつ)をかまえていました。

「ウソ……」

 ついさっきまでとまりかけていた心臓が、今度は大きく()ねあがります。  

 もう二度と会えないと思っていた人が目のまえにいる。

 その奇跡に、わたしの目から、うれしなみだがボロボロこぼれ落ちました。


 運動場にいたのは、なんと人間のすがたをした先生だったのです。


(つづく)



更新は毎日おこなう予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ