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骨迷路  作者: 堀川士朗
8/9

第八話

おはようございます。第八話のお届けです。浮貝はカップルに罵詈雑言を浴びせる。あれは若き日の浮貝とテンテンだった…。お楽しみに。


 「骨迷路」(第八話)



          堀川士朗



楠本と連絡が取れなくなってしまった。

噂によると、経営していたキャバクラを全て引き払い、外国に移住したみたいだ。

この歳になって。

何か言っておけば良いのにな、とも思ったがそこも楠本らしかった。

向こうの地でも、元気にやってほしいものだ。

そう言えば彼もこどもがいなかった。

向こうで家庭でも築けばそれに越した事はないなあ。



ぎっくり腰をやってしまった。

夜中にシャワーを浴び、寝間着のズボンに履き替えようとして片足を上げた無理な体勢を取ったらグキッと。

耳にはっきりと音がした。

激痛!

立ち上がる事が出来なくなって、ヨボヨボのおじいさんみたいに背中を丸め歩く事も痛みが伴って困難だ。

仕方ないので朝が来る前に救急車を呼んで救急病院に搬送され、痛み止めの点滴を受ける。

ベッドに横になりながら、看護士さんたちのたわいもない世間話を聞くともなしに聞いていた。

今日このまま入院するのかな?と思っていたから一応バッグに着替えとかを入れていたんだけどその日は帰る事になった。

帰りはタクシーだった。

痛み止めの座薬を三日分もらった。

その後一ヶ月は整形外科に通って腰をかばいつつ生活した。

もう、若くはない。

もう若くはないんだ。

まだ、何もなし得ていない。

時間が無慈悲に経過していく。



頭の中には骨迷路があって、僕はその中で未来永劫さまよっている気がしてならないんだ。



四年後。



その日は雨がふったりやんだりふったりした。

街に出た。

僕はそばを歩いていた若い男女のカップルに向かって叫んだ。


「うぬらいまだアイシテマス眠らない眠らせないとか逝っておるのかーっ!くんぬらーっ!」


短い悲鳴を上げた女はテンテンにとてもよく似ていた。

男の方は僕そっくりだった。

カップルはそそくさと走って逃げた。

どうしてあんな事を叫んでしまったのだろう……。

多分、カップルの若い姿に嫉妬してしまったからだろうな。

こんな事が昔も逆の立場であったような気がするが、うまく思い出せない。

あの二人は、僕とテンテンの昔の残像だったのかもしれない。

時空が繋がったのだ。

何らかの形で。



戦争はまだ終わっていない。

この国で間違いなく戦争をやっているのに、テレビでもラジオでも誰もその事に触れていないのは、なぜなのだろう。

戦況はどうなってるとか、どこの都市がやられたとかの情報を誰も知らない。



           続く



ご覧頂きありがとうございました。次回はいよいよ最終話!どうか最後までお付き合いのほどを!

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