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骨迷路  作者: 堀川士朗
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第五話

おはようございます。第五話のお届けです。浮貝は友人美景のポーリングアートの展覧会に行きます。お楽しみに。


 「骨迷路」(第五話)



          堀川士朗



知り合いの美景みかげさんというアーティストがいる。

四十歳の女性。

美景さんは独身だった。

ポーリングアートという、絵の具の自由なる『にじみ』を主体とした美術を主にやっていて、とても綺麗だから作品を気に入っているんだ。

僕は美景さんのアトリエにお邪魔させて頂いた事がある。

美景さんはお金持ちだから、自宅の広いガレージを改装して、常設の絵も展示出来るようになっていて、


「浮貝くん。三ヶ月に一度グループ展をやっているから来ない?」


と言われて行ってきた。

お客さんも他に数人いた。

僕は自分の匂いを気にした。

美景さんはその日も紺色のシックな装いをしていて、他のお客さんと応対していた。

美景さんのポーリングアートがひときわ輝いて見えた。

他の人の作品も良かった。

テーブルに、『良かったらどうぞ』と置かれたレモンチョコレートが爽やかで美味しかった。


「私と結婚すれば、この広い家もアトリエも、全部浮貝くんのものになるわよ」


と、美景さんは冗談を言って笑った。


ポーリングアート。

こういった美術の趣味は良いな。

人の気持ちをとても楽しくさせるから。

僕も始めてみようかな。

でも僕がグループ展に参加したら、作品が異彩を放つのではなく、異臭を放つという結果になってみんなに迷惑がかかるだろうからやめた。

くしゃみをしたら、レモンチョコレートの香りがした。

くしゃみしても独り。

頭の中で夢が咲いてる。



ニ年後。



夜八時。

カンパニー帰り。

今日の業を成し終えた。

bar。

『あの日』という名前の店。

別に、あの日に帰りたかったわけじゃない。

一人、飲んでいる。

おしゃれな内装の店。

落ち着いた照明。

まず手始めに赤ジンジャービールを飲む。

うん、美味い。

次にクラフト酒のメーカー、ビンビン酒造の『ビックバイパー・蔵』というサケを頼む。

クセがなく、白ワインみたいで飲みやすい。

あと『ソルティドッグス・あの日塩まみれだった犬たち』を飲んだ。こちらはほどよくしょっぱくてワンチャンスワンちゃんな味がした。

ベロばかり出してるペロティ犬だな、まるで。

付属のライムが酸っぱくて、クエン酸足らんて言うのって感じがした。

この店にも美景さんのポーリングアートの絵が飾られていたら良いなと思った。


……さて、お店でお酒を飲みながらネチネチと試みたのだが。

頭の中には骨迷路があって、僕はその中で未来永劫さまよっている気がしてならないんだ。

その骨迷路から脱出する方法をネチネチと試みてみたんだ。

迷路の右側に手を置き、そのまま前方へ移動すれば一筆書きの理論でいずれは出口へと到達するはずだ。

時間はかかるけれど。

でもそうじゃなかった。

骨迷路は迷路内部がぐおんがしゃんと定期的に、自動的に可変するらしくて、ルートがいつも変化するのだ。

この法則は使えない事が判明した。

畜生。

寿命が来る前に骨迷路の出口に到達したい。



          続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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