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骨迷路  作者: 堀川士朗
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第二話

おはようございます。第二話のお届けです。浮貝の恋人テンテンが登場します。お楽しみに。


 「骨迷路」(第二話)



          堀川士朗



数分に一度、突発的に発作的に笑い声を上げるばばあが近所に棲んでいる。

部屋の中でテレビでも観ているのだろうか。

何に反応してあんなに笑っているのかは誰にも分からない。

笑い上戸というにはあまりにも常軌を逸していて、呼吸困難になるまでばばあは笑っていた。

『ワライカワセミばばあ』と僕は呼んでいる。



朝、冷蔵庫を開けて牛乳を飲んだ。

一度に500ミリリットルは飲んだので、何だか胃袋がヒタヒタとミルク成分で満たされて今日一日は何も食べなくてもお腹が持ちそうだ。

胃袋が錯覚している。

安いものだ。

これであの桂林厨房飯店の不味いゴムそばを食べなくて済む。

今日は学校の授業もない。

散歩して陽に当たろう。

健康に良い。



日曜日。

街中。

生きる他人が自由に街を歩いている。

みな、休日なので歩き方に余裕がある。


「四十分で支度しなぁっ!」

「余裕~」


とばかりに。

ニャラ川沿いを走る都電ニャラ川線に乗って、ちょっとした小旅行気分だ。

今日は二人なんだ。

テンテンと一緒だ。

一日フリーパスを買ったので、どこの駅でも乗り降り自由だ。

この、小さなかわいい一輌しかない車輌に乗って僕たちは色々なところへ行った。

僕は恋人のテンテンを連れて途中下車して色んな街を歩いた。

テンテンはこの国の人間ではなく、猫国人だ。

かわいい。

少女のようだ。

『テンテン』は猫国の言葉で、『子猫』の意味だった。

手を繋ぐ。

恋人繋ぎで手を繋ぐ。

ニャラ川遊園地にも行った。

お昼を食べて、ミニ動物園があって檻の中の猿にりんごのエサやりをした。

僕がいじわるをして、りんごをギリギリ届くか届かないかのところで渡そうとしたら、猿はキーキー鳴いて必死に手を伸ばしていた。

テンテンに、やめなよと言われた。

それから、丸窓駅に隣接している水着で混浴で入れるスパに寄って僕たちは旅の垢を落とした。

サウナの後に入った水風呂が冷たくて気持ち良かった。

僕はスパの食堂でテンテンとイチゴのかき氷を食べた。


「自分が弱いんじゃないか?って思う人は実はそんなに弱くないらしいわよ」

「そうなんだ」

「あなたは?」

「弱いかな……いや、僕は普通」

「そう」

「テンテンは?」

「内緒よ。アイムタフ!」


そう言ってテンテンは力こぶを作っておどけてみせた。

テンテンに幸せな時間が訪れているのがすごく好きだった。

僕たちは二人で。

二人一緒で。


夕暮れが近づいていた。



           続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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