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Causal flood Prelude  作者: 山羊原 唱
6/19

五話 ここは

 お姉さんの歌声が聴こえた。

 私が踏みしめる地面は…そう、土。…草も、花も、巨木もあった。


 今思い出した風景には雪が積もっていて、色の少ない景色だ。

 あの場所は…ああ、公園って呼んでいたかも。

 積もった雪で手を洗う場所にしていたな。

 そうだ。

 そこでお姉さんに会ったんだ。

 そのお姉さんには、双子のお兄さんがいるらしい。

 怖い歌と、素敵な歌を聴かせてくれた。

 歌を教えてくれたあと、「ばいばい」と言って手を振って別れた。

 

 これはいつ、どこで起きた記憶なのだろう。


 沈んだ湾岸に浮かぶ街、沈没都市(ファルガーン)に土はない。

 大陸の金属を回収し、高級な「船床」でできている。

 水運、海運が主流となり、民間の交通手段には潜水艇も普及した。

 それを可能にしたのは人類史最高のAI〝MSS〟。


 …でも、そんな〝MSS〟は停止した。


 確かにそうだった。ただ、覚えている感覚としてはどこか他人事で…。

 どうしてだろう?

 停止したところで、結局〝MSS〟の残したシステムに異常はなかったからだろうか?


 それとも。


 私は、そのシステムとやらを、使ったことがないからだろうか。



―――――――――――


 今日は初戦の翌日。

 スラは「bookroom」から勝手に拝借してきた、大陸に関する本を数冊持ち出し、自分のベッドに広げていた。 

 本当は文字を読むことが苦手なのだが、集中力をかき集めて読んだ。


 医務室で目が覚めた後、ティヤから状況を聞かされた。

 〝ブリッツ〟狙撃式が有効であったこと。

 まだ残り二頭がいること。

 自分は身を守るために使った〝カーボナイト〟により水路の壁を突き破って助かったこと。


(壁を突き破って助かるってどういうことさ)

 キヴォトスという武器の異常(有能)さを垣間見る。

 しかし状況のことよりスラが気になったのは、他のことであった。

 「指示書」に従っていたが、歌を思い出す度に子供の頃を思い出していく。それが空白だらけなのだから、違和感を覚えずにはいられない。

「…やっぱり、ナグルファルで過ごした記憶なんてないよ」

 スラは本を閉じた。



 ティヤは〝ブリッツ〟狙撃式(マクミラン)を起動させ、スコープ越しに海を眺めていた。

 現状、水路の壁が一部破壊されている。そこから侵入してこない理由が分からない以上、警戒するしかなかった。

 今日は雨がぱらつき、濃い灰色の雲が空を覆っている。

 音を立てながら波打つ海をティヤは丹念に観察していく。

 アスタロト特有の波の動きは見当たらない。やはり人間が沖に出ない限り、海面に上がってこないのかもしれないとティヤはため息をつく。


 今日の「指示書」には戦闘要請はなく、スラの回復とキヴォトスの演習程度しか記されていなかった。

 不意に、今まで気にしないようにしていた疑問を思い返した。


 ―――ねえ、ティヤ。私たち、誰に(・・)怒られるんだろう?

 ———もう、―—————————二度(・・)と死なせない‼


 ティヤはスコープから目を離して自分の目で海を見た。

「‥‥俺達の他に、誰がいるんだろう…」

 

 ティヤの言葉は続かない。彼は深いため息をついて兵舎へと戻った。



―--------

 兵舎に戻って来ると、そこには本が散らかるベッドの中で胡坐をかくスラが居た。

 ティヤは一応「施設から持ち出しは禁止って規律に書いてあったけど」と全く怒る気のない小言を呟いた。言いながら、濡れた頭を拭うためのタオルを取りに脱衣所へ向かう。


「ティヤ。私たちナグルファルのどこに住んでたっけ?」

 彼女の質問にティヤは一瞬頭を拭う手を止めたが、なにかを認めたように「分からないよ」とまた手を動かす。

「俺たちはナグルファルじゃなくて、人類が追い出された大陸に住んでいたはずだ。ってことはFageで生きてたってことになるけど…。まるで過去からタイムスリップしているみたいだな」

 彼の見解に驚かず、スラはふむ、と片方の手で散らかる本をペチペチと叩いた。

「タイムスリップか。あ、コールドスリープなら出来るんじゃない?資源がなくて実物化されていないけど、Fageにはそうした技術が成立していたみたいだし。仮に実物化されたものを使ったとして、私たちは何のために今、この時代で目が覚めたんだろ。政府の陰謀みたいな役割があったりするのかな」

 ティヤが頭にタオルを乗せたままスラの隣に腰かけ、首を傾けた。彼女の推測がいまいち腑に落ちていない顔だ。

「なんか映画みたいな安っぽい可能性だ。政府の陰謀とかコールドスリープ説」

「でもタイムスリップの方が現実味ないよ」

 スラの言い分ももっともなので、ティヤは言い返さずうーんと唸る。唸りながら、とても気になった一点を彼女に聞いてみた。


「どちらにしてもさ、なんていうか。自分たちの記憶も曖昧だってのに、俺ら(・・)落ち着いて(・・・・・)ない(・・)?」


 そう言われて、スラは震える手で口元を押さえた。

「今の私、最高にクールってこと…?」

 ティヤはスラの妄言に目を座らせ、的確に言い直してやる。

「まるでこうなることを知っていたみたいに落ち着いてるって言いたいんだよ」

 ティヤの表現がストンと落ちたようで、スラは「それだ!」と手を叩いた。

「そう、その感じはある!私たち知ってるよ!Nageで起こることを知ってるんだ!だからナグルファルの生活が当たり前に感じるんだね!…え?Fageの大陸で生きていただろう私たちがなんでNageなんか知ってるの?だから結局どうゆうこと?簡単に言って?」

 一瞬パッと明るい表情になったが、やっぱり険しい顔になったスラに、ティヤは苦笑を浮かべる。

「スラ、これから街に行ってみよう」

 ティヤの提案にスラは目をぱちくりとさせて驚いた。ティヤは慎重な性格なので、思い切った行動は珍しいのだ。

 でも相棒の意図は明白だ。

「私たちの記憶がなんで曖昧なのか、街に行って手がかりがないか探そうってことだね。でもティヤがそんなこと言うなんて。後で怒られるかもよ?」

 にやつくスラがここぞとばかりに彼の言葉をお返しする。

 二人は本当に顔がよく似ている。スラと同じような笑顔を浮かべたティヤはベッドから降り、タオルを「指示書」が掲示されるテーブルに投げ置いた。


「怒る人がいるならね」


 海に出なければアスタロトは現れない――そんな情報も確かな記憶に感じるほど、ナグルファルにいる間は安全だと二人は確信していた。



―――――――――――


 ぱらついていた雨は気まぐれに止んでいる。また今にも降ってきそうな曇り空の下、ティヤとスラは兵舎から出て一番近くの街へ向かった。

 先日スラが向かっていた街でもあり、二人はお互いの位置を確認するため〝ラダル〟を起動させ、二手に分かれることにした。


 ティヤは周囲を見渡しながら街を観察する。

 ナグルファルの景観はFageの沈没都市そのものだそうだ。

「そこは別に違和感がない。ってことは、俺は実際に沈没都市を見たことがあるってことか?でも本には…」

 ティヤは一日目で学んだ歴史を声にして思い出す。

 大陸の住民が沈没都市の住民になる術はある。それは沈没都市の住民として適性があるか、という趣旨の試験を受けて合格することだ。

「発達、精神、知能に一定の水準が必要。それはFageにおいて最も重要視される〝器物尊重〟ができる人を選抜する要素だ」


 知能が高いからといって衝動性の強い人間は選ばれない。

 かといって温厚であれば住民になれるわけでもない。

 〝MSS〟の理念を守れること。これこそ沈没都市の住民に必要な能力だ。


 ティヤは声に出すクセにはっと気が付き、〝エア〟で相棒に聞こえないよう胸の内に零した。

(試験を受けた記憶がないのもあるけど、スラには無理だろ。計算もろくにできない上に喧嘩する時は相手が起き上がれなくなるまで殴るし。知能と発達が絶対水準じゃないはず)

 思いながら、自分も喧嘩をする時はそうだなと思い、首を振って肝心なことに意識を向ける。

「〝ラダル〟になんの信号も引っかからない。本当に俺達二人しかいないのかも。…この広大な環境にたった二人。でも建物が古びている様子もなければ、道だって整備されて綺麗だ」

 ティヤは船床に視線を落とし、敵意を込めて呟いた。

「…こんなの、現実離れしすぎてる」



 一方、スラはある建物の前で足を止めていた。

 どうやら商業ビルの多いエリアのようで、商品をショーケースに展示した外観が多くあった。

 その商品を珍しそうに眺める。

「マネキン、じゃないね。えっと、文字が難しいなぁ。細胞…養殖?いや、培養…あ!培養細胞!前、ティヤが言ってたやつじゃない⁉」

 スラはよく思い出せた!と自分を褒める。

 そしてまた、じっくり商品を眺める。

 そこには〝女性用(一五〇~一五五)・股下(七〇~七五)〟と書かれた〝両足〟が展示されていた。

「足、ちょー長い。沈没都市の人は綺麗な人が多いって誰かに聞いたことあるなあ。なるほどねー。培養細胞の移植って医療だけじゃないんだ。美容って書いてある」

 感心しながらショーケースに沿って歩み進める。

 そしてある商品を見て息を飲んだ。

「…え、これ、全身の移植ってこと?」

 そこには〝男性用(一七〇㎝から一八〇㎝対応)・美麗G-gフルモデル〟と表示された――

 脳みそと内臓がない培養人間が一体展示されていた。

 白いなめらかな皮膚、ゆるやかなウェーブのかかった黒髪、艶の良い爪、長い手足にはほどよく引き締まった筋肉がついている。

 〝眼球は別途〟と書かれたサングラスをかけ、ラフな服装を着させられている。


「私たちは死体を材料にするくらい貧乏なのに」


 沈没都市への妬みがぽろりと出て、スラは驚いた。

 そう…自分は沈没都市に対してあまり良い印象はなかったと。その感覚をはっきりと思い出す。

 

 ちょうどそこに、〝エア〟からティヤが声をかけてきた。

〈スラ。そっちはどう?〉

「生きてる人間はいないね」

〈というと?〉

「前にティヤが言ってた培養細胞関係の建物にいるんだ。培養細胞は食材に使われているって言ってたけど、美容にも使われているみたいだよ」

〈綺麗な歯に取り変えるみたいな?〉

「歯だけなら安い方なんじゃない?体一つ綺麗にすることもできるみたい。価格の桁が多すぎて数える気もないけどね。そっちは?」

〈全く人の気配はない。でさ、ちょっと思い当たることがあるんだけど、一回合流しよう〉




 雷の音が遠くから聞こえてきた。

 二人は適当な住居ビルに入り、エントランスの待合室へ向かう。

 ローテーブルを挟み、背もたれのある三人掛けのソファで向かい合って座った。

 

「俺達のいるナグルファル(ここ)。多分シミュレーション世界だ」

 ずばり切り出したティヤの結論に、スラは一秒黙った後、ティヤの脛を思いっきり蹴った。

「いっっったーああ‼なにすんだよこの馬鹿‼」

 蹴られた右脛を抱え、ティヤは涙目で怒鳴った。

 スラには悪意はなかったようで、きょとんと目を丸くさせている。

「あ、あれ?痛いの?じゃあ夢じゃないじゃん」

「誰が‼夢って言った⁉シミュレーション世界っつったんだよ‼」

「あいたぁ‼」

 ッッパアン!と強烈な平手打ちがスラの頭部に当たった。ティヤの容赦ないやり返しに、スラは両手で頭を押さえて叫ぶ。

 ああああ…とソファの上でもがくスラを無視して、ティヤは続けた。

「文字通り、現実離れしてるって思ったんだ。この広大な環境に二人しかいないなんて」

 脛を擦りながら、ティヤなりの見解を示す。

 スラがもう一回やり返してやろうか考えながら「二人しかいないことが、現実味がないってこと?」とあまり納得できないという表情を浮かべる。

 ティヤはスラに分かるよう言い換えることにした。

「二人しかいないのに、街が綺麗すぎると思わないか?街だけじゃない。思えば兵舎だって誰かが整備しているみたいだった」

「隠れてロボットが掃除してくれているのかもよ?」

「それなら〝ラダル〟に感知されるはずだ。ロボットだろうが生き物だろうが、微弱な信号は発しているのに。だからまず、仮定として〝ナグルファル(ここ)には俺達二人しかいない〟ってことで話しを進めよう」


 ひとまず話しを聞いてやるか、とスラは体を起こしてティヤの話しを真面目に聞くことにした。

 スラの姿勢を見て、ティヤも右脛を擦っていた手を止めて続ける。

「沈没都市の実技・技能訓練ってほとんどシミュレーションで行われるんだよ。それだけじゃなくて、会議とか、昔はリモートって呼ばれていた手段がより現実味のある技術で行われているそうなんだ」

「よく知ってんね」

「本に書いてあった」

 どうせ読んでないだろ、という目で見られ、スラはそっぽを向く。

「ってことは、私たち、今なにかの訓練中?そもそも、浄水虫がアスタロトになるって分かっているなら、こんな訓練してないで浄水虫の施設ぶっ壊せばいいのに」

「ばか。浄水虫はFageの要だぞ。そう簡単には壊せない。…シミュレーションとはいえ、このナグルファルにだって浄水虫の施設があるってことはやっぱりこの時代でも生活基盤なんだ」

 ティヤはスラの額を人差し指でコン、とつついた。

 スラは「あだっ」と声を上げて額をおさえる。


「浄水虫がなんでアスタロトになるのか。本当にアスタロトになるか。これは今は考えないでおこう。どうせ分かりっこないし、推察のしようがない。だから優先順位は?」

  話しが脱線しないよう、要点を彼女に確認させる。

 そんな言い方が相変わらず好きじゃないスラは口を尖らせるが、大雑把に理解していいところでない時こそティヤはそうなのだ。

 スラは渋々、よく考えてから答えた。

「このシミュレーション世界から出るために必要なことはなにか?だよね」

「そう。それは訓練で成果を出す…つまりキヴォトスを使ってアスタロトを倒すことだ。この世界の俺達の役割そのものがここから出る唯一の手段なはず」

 一回戦目の成果だけで終わらないのならば、想定されたアスタロト全て倒す必要があるのだとティヤは考えた。


 外から雨音が聞こえてきた。ゴロゴロと低い雷鳴も混ざっている。

 静かな間が空いた後、スラが冷えた表情でティヤに確認する。

「ねえティヤ。〝誰が〟私たちをこのシミュレーション世界に?なんて疑問、解こうとしたらまずいかな」

 スラが示す危険は、ティヤも考えていた。


 それ(誰が)とは、彼らにとって黒幕そのものの存在だ。


「仮に〝誰か〟がいたとしても、俺達には記憶がない。俺達が納得してここに来たのかもしれないし、無理矢理連れて来られたのかもしれない」

「記憶が曖昧にされている時点で無理矢理じゃないかなって思うんだけど」

「言ったろ。その割に、俺達は冷静すぎる。多分、説明を受けているんだ。この訓練の。記憶が曖昧にされているのは、訓練に集中して欲しいからだと思う」

 ティヤは落ち着いているが、頭の片隅に気持ちの悪いしこりを感じていた。


 記憶は曖昧。

 ここはシミュレーション世界。

 アスタロトにキヴォトスがどれほど有効か、そのための訓練。

 場所と目的は恐らく間違ってはいないのだろう。


(でもじゃあ、なんで俺達が?キヴォトスってなんだ?本当にアスタロトが現れるのならなぜ?〝誰〟が俺達にこんなことをさせている?)

 曖昧な記憶では、これ以上導き出せる真実がなかった。


 二人が警戒しているのは、〝誰〟を突き止めることで殺されるのでは…、もしくは突き止めなければ死ぬのでは、という可能性だ。

 ここがシミュレーション世界ならば、現実の肉体はその〝誰〟かの手元にあるのだから。


 スラはむすっとして腕を組んだ。

「〝誰か〟を探すことが〝余計なこと〟になる可能性が高そうだね」

「そう思う。どちらにしても、俺達はアスタロトと戦う必要がある。この世界で生き残るためにも、現実の俺達の命のためにも。――そういうわけで」


 ティヤはローテーブルをトン、と指先で叩いた。

 天気、空白のニュース速報、地図…と出たところで地図の文字をタップした。

 ティヤは口角を上げて悪戯に微笑む。

「アスタロトと本気で戦うために、あいつらのこと、もっと調べてみない?」

 ローテーブル全体がこの辺りの地図を表示した。

 ティヤがある場所を指差し、スラは瞳をきらりと輝かせた。

「実は私も考えてた。ここ、行けるなら行ってみようよ」

 二人は同じ顔をして「ふっふっふっ…」と意地の悪い笑みを零した。



―――――――――――


「〝資源は現在から未来に至る人類のためにあり、それを破壊することは大量殺人に等しい。そのためFageの器物損壊は重罪となる。土を増やす生物もまた、その尊重の一つである。〟」


 ある施設の前で、二人はすでに〝ブリッツ〟散弾式を起動させていた。

 前置きをしたティヤは隣のスラをちらりと見た。

「つまり、俺達がこれからすることは現実であれば極刑になるんだけど、そこんとこ、分かってる?」

「あーあーあ。かわいくないかわいくない」

 スラはべー、と舌を出してからティヤの確認に一つ疑問を抱いた。

「極刑って、死刑だよね?それで出た死体をさ、大陸に売ってくれればいいのにね。沈没都市で育った体なら病気とか持ってないだろうし」

 スラの常識はティヤも同様なようで、彼女の発言に驚くことはなかった。

「それは医療に贈呈されて…って、だから話しが逸れてるよ。つまり俺が言いたいのは、覚悟は出来てるなってこと」

 ティヤは共にリスクを背負う時、こうやって相棒の気持ちを確かめる。


 いつものことなのだろう。

 だからスラは自然と言葉が出てきた。


「二人なら大丈夫。失敗したって何度でも」


 これはスラの口癖だった。

 それをティヤも思い出したのか、目をぱちくりと瞬いた後、少し目元を伏せて笑んだ。

「よし。じゃあ行くぞ」


 二人の前方にある施設は。

 浄水虫の飼育施設。

 アスタロトの幼体でありFageの資源物(たらかもの)が保管された場所である。


 表面に見えるのはたった二階建ての建物。

 しかし飼育階は海底六階にもなる、〝下〟の方だ。

 

 雷はじらすように鳴るだけで、不穏な低い唸り声が空を満たしていた。



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