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笑顔の裏側にあるもの

作者: Momo Yoshimi

米米 

このストーリーはインターネットに流布している話を参考にしたフィクションである。各々の内容が事実であるとは限らない。

米米



アルカディオビルのオフィスを17時に出て、大きい公園を横切り、曳舟駅を目指した。

最寄り駅は錦糸町駅である。東武線の北千住駅の2LDKのマンションを賃貸しているレムにとってはオフィスから曳舟駅は徒歩20分ほどになる。健康のため、毎日往復30分以上は歩くようにしている。雨の日も風の日も雪の日でさえも。台風でなければアルカディオビルから曳舟駅まで歩く。レムの徒歩ルートは決まってはいない。路地裏を回ったりしてルートに変化をつけていた。同じ道を歩くのは飽きる。新たな道では新たな発見もある。思いがけない素敵な神社にも巡り会える<なんと神輿も所有している神社>。最近ではできるだけその神社にお参りできるようなルートになってしまっている。私のおこないをお許しくださいと手を合わせていた。あまりに悪いことをしているので、許されるわけがないのに。


古いスナックが細い路地の先にポツンをただずんでいるのを発見した。いつ頃たてられた建物なのかは想像できない。とにかく古くみえる。戦前のレトロなビンテージ建築物ではないようだ。古くとも外観はよそ行きに薄化粧されているようである。汚らしさは微塵もない。きちんとしているのだ。 

ファリアとエンブレムのある赤い木製のドアを開けると口元にひげをたたえている小ぎれいなオヤジが「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。カウンターには6つの茶色の革製の椅子があり、誰も座ってはいなかった。開店後まもないからだろう。カウンターには、大きめの白い楕円形の同じ大きさの白いお皿に5種類のお惣菜がのっている。奥の棚にはワイングラスやハイボール用のコップが、ガラス扉の向こうに、間隔が広すぎも狭すぎもせず、配置されている。おしゃれな店ではない。しかし、自分自身の見せ方を心得ている服を着て、化粧をしている女性のようなお店だった。


ナスとピーマンとベーコンを和えた料理と下妻産のビールを注文した。オヤジが、ビールをにこやかに「おまたせしました」と言いながら、手渡してくれた。「ありがとうございます」笑顔を返して受け取った。お惣菜は料亭のような味付けで、おばあさんのようなやさしさも感じさせる。すばらしい。また、この店で下妻産のビールを飲めることが驚きだった。「猿倉山のクラフトビールもあったりして。」と声を掛けると「お客さん、お目が高いですね。なんとあるんですよ。」二人は満面の笑顔で見つめ合った。



久留米理沙が秘書の面接にやって来た。名前も女優のようだったが、容姿もだった。まさに美人の部類に入っていた。胸も大きそうに思えた。35歳とのことであったが、既婚か未婚かバツイチなのかはわからない。履歴書に記載する必要性がないからである。興味もなかったし、質問したらセクハラにあたる。日本語はNative、英語はビジネス、イタリア語も日常会話というのが語学要件であった。外国語2カ国が必須である。それに、特に懸念していたのは、事務所勤務が男である私と2人となるのはいやがるだろうということである。たとえ、週一回の出社で4日は在宅勤務との条件でも。なかなか決まらないと思っていた。決まらないなら決まらなくてもいい。一人で電話番も請求書処理もするつもりだった。来てくれるとしたら60歳くらいの人かなと思っていたら、若い候補者が面接に来てくれた。時給4000円につられたんだろうか?

これだけ容姿端麗なら、10代の頃から相当モテたんだろうと容易に察しがついた。アメフト選手のようなガッチリした体格の彼氏をもって、小魚をけちらしてきたのか? ちょっと優しい言葉をかけたら誤解されてストーキングされたとか。彼女ならではの苦労があったのだろう。言葉の端はしに、トゲを感じた。キツさと言うか警戒感というか。「私は油断をしていませんよ」という雰囲気だった。顔つきにも剣を感じる。レムには、決してお付き合いしてみたい女性とは思えなかった。あなたといても安らぎを感じられないだろう。レムは安らぎを感じられる女性しかオンナとして見れなくなっていた。女としてみていないからちゃんと仕事だけをしてくださいという意思を醸し出して面接した。レムの意図が通じたのか弊社に来てくれることになった。


理沙さんは、事務所を褒めてくれる。来客は政治家秘書、官僚、大手建設会社の方がほとんどだった。ごくまれに、イタリア本社の社員がやって来た。

頻繁に外部の方がいらっしゃるわけでもない。しかし、イスラエル製防犯設備は万全であった。高性能の録音装置とカメラが各部屋に装備されており録音もされていた。各部屋には、外側にも内側にもカードキーが備えられている。うっかりセキュリティカードを忘れて部屋に入ったら、出られなくなってしまう。緊急用にイスラエルの警備会社に連絡できるインターホンが設置されている。

ボードルームは、木彫のクレデンザと彫刻入り木製テーブルで16人用だ。シルバーのテーブルがアップダウンする8人用の会議室には、椅子はなく、周りの壁には隙間なく赤いソファが配置されている。ビリヤード部屋には、バーテンダーがいつもいるようなカウンターの後ろに、ガラス製扉がついた棚にバカラのワイングラスや魯迅作のおちょこととっくりがあり、陶芸家作のコップが適当に配置されている。冷蔵庫やワインクーラーは、更に奥の小部屋にある。秘書とレムの部屋は別々で、100年以上前に制作された木製机で何回も塗り替えられた新品に見える木製机(横2000mmで奥行き800mm)で、ふたりとも別々の部屋をあてがわれている。


でも、なんといってもレムが一番感心しているのは、エレベータから廊下までもデザインされている廊下である。壁は他の階と違う龍が透かしで入っている白い壁紙でデザインされている。そしてBechteell Corporationの黒いエンブレムが事務所入口とエレベータ前に飾ってある。エレベータを降りて足を踏み出すと靴がふっかふかの絨毯にのめり込むようだ。うちの会社を舐めるなよと踏み出した瞬間に、訪問者に威圧感をあたえ出迎えてくれる。


大会議室と小会議室、秘書と私の部屋、あとビリヤードルームがあるといいなとレムが上席にいったら、こんなオフィスに仕上げてくれた。悪乗りしている。いくらお金が粉団にある会社だとしても。


理沙さんが、次に移転することがあったら私も参加させてくださいと言う。イタリアのデザイナーチームがやって来るだろうから、イタリア語がビジネスレベルになったらいいよと軽く流していた。彼女はどうも本気でイタリア語を勉強し始めたようだ。


次の勤務地は、どこになるのだろうか?日本ではないかもしてない。このプロジェクトが完了するのは2、3年くらい先だろう。理沙さんは、この会社がしている真の目的を知ってしまったら、腰を抜かすだろう。でも、彼女が知ることはない。知ってはいけないことだからである。知ってしまったら行方不明者の一員になってしまう。





金曜日の夜、簡単な会議を22時に5分だけ行う。バチカンから簡単な確認をしたいということだ<会話は盗聴防止付>。午前中ファリアの惣菜のことを想像してしまったので、夜ファリアに会議終了後に、いくことにした。ランチは遅めにステーキ200グラムを食べた。

会議は、バチカンからだったので少し緊張したが、経過報告だけだったので、安心した。今日はタクシーを飛ばしてファリアに向かった。もう2ヶ月で10回ほど訪れていた。金曜日の夜は初めてだった。もしかしたら満席かもと思っていたが、3席空いていた。奥の3人は人に会話が漏れにくいようにコソコソ話していた。レムは手前の一番端っこの席に座った。距離を取ってあげた。

「ヴァイチェンありますか?あればおねがいします。」

「あいにく今切らしているんです。ピルスナーならありますけど。」新顔のお姉さんが笑顔で返してきた。

「はじめまして、恵美と申します。お客さんはこのお店は初めてではないですよね。身のこなしと話し方から、そのように感じました。堀本さんはちょっと席を外しています。<オヤジは堀本という姓名だったのか。>まもなく戻ります。私は金曜日と土曜日にヘルプに来ているんです。堀本さんとは叔父と姪の関係です。なんか私お客様が聞きたくてもないこと言っちゃていましたか?」と恵美さんが言った。笑顔が豊かだった。

50歳前後のショートカットの細身女性である。美人でもないしブスでもない。人に説明する時に困る人である。特徴をうまくいえない。でも、他のお客とお話している時は、いつも笑顔で楽しげにお話をする。笑顔の人である。しかし、グラスや皿を洗ったりして、一人で仕事に集中している時、(当たり前だが、)笑顔ではない時もある。そんな顔にレムは影を感じた。気のせいだろう。なにか今日はいやなことがあったんだろう。





レムは、小さな時から自然と微笑んでしまう性分であった。対面での恥ずかしさを隠すためだと自己分析していた。いつも他人から見たらニコニコしているので、締まりの無い自分の顔がずっと嫌いであった。 ある一定の人たちからは毛嫌いされているのを承知していた。レムを見る時、唇の片方を歪曲して見られたりした。またはレムを見ようとしない者もいた。クラスで選抜サッカー大会の出場者を生徒で決めるときに、私の名前が黒板にかかれているのに、嫌悪者<成績のよい少年だったので、担任に好かれている虫の好かない顔つきの少年>は、わざとレムの名を消した。私は体が大きく、遠くに蹴ることができるし、サッカーがうまいほうだったにもかかわらずである。<チームはあえなく一回戦で負けた>。レムを嫌いな人たちがいたが、少数派だったし、(体が大きかったからか)殴られたわけでもないので、この性質を変えようとはしなかった。就職にも恋愛にも支障を感じなかった。いいほうに行っていたのだろう。笑う門には福来るかなと思っていた。40年ほど生きてきた時に、意味もなく笑顔でいる人生でもよかったんだと思った。この偏屈な性格を隠すのにはよかったんだと。

金曜日や土曜日の夜遅くに、バチカンやワシントンDCとの電話会議がたてつづけにあった。足は自然にファリアに向いた。お惣菜と猿倉山ビールを楽しんだ。

恵美さんは、口ひげのオヤジにも、お客さんにも、レムにも同じ笑顔で話していた。

恵美さんも私と同じで無意識に笑顔になってしまう性なんだろうと勝手に思っていた。






土曜日に丸の内の本社に出向いて、自衛隊制服組と込み入った会議をすませた。食事はブランチをシーザーサラダにしていた。ランチはおやつも兼ねてショコラのパフェセットで済ませるつもりだった。カウンターには女性がひとり座っていた。横顔で恵美さんだとわかった。席に座る前に横顔を拝見して確認した。

「奇遇ですね。こんなところで、それも真っ昼間に。」

「あらレムさん、今日はいつものアオキの背広ではないんですね。どこのメーカーかわからないけど高級そうですね。本当はおしゃれなのですね。よく似合っていますよ。デート、それともお見合いだったりして。」

「デートだったらいいんですけど。既婚者には見えないですよね、私は。なんかフラフラした感じですから。でも30代の頃10年ほど結婚していたことがあるんですよ。別れてしまったけど。もうそれからは、満足に女性とお付き合いができていないんです。男ももちろんですよ。」レムは余計なことまで言ってしまったと悔やんだ。

「私は20代の頃結婚していたんですけど。離婚後は結婚していません。今52歳ですけど、パートナーはいるんですよ。こんな私でも。ねこちゃんの世話をしてくれているから助かっています。結婚には懲りてしまったので、しない予定です。できないんじゃなくて、しないんですよ。」恵美さんは両肩をすぼんでニコッとした。

大好きなパフェを一口一口味わって食べて、店舗でチョコレートバーを2種類4本買った。恵美さんには、お土産にチョコボール2種類とチョコレートバー2種類2個を買ってあげた。恵美さんのパートナーも想定して購入した。いつもエクレアだけ買って帰る恵美さんは遠慮していたが、「いつもお世話になっているから」と言って押し付けた。

恵美さんの隣に座って気づいたことがあった。タバコの匂いである。レムは葉巻を嗜んでいるにも関わらず、その匂いをしっかりと感じた。彼女はスモーカーなのだと。それもかなり重度の。




レムはふたりの祖父が日本人で二人の祖母がイタリア人である。父はイタリア人で母は日本人である。大学では米国で経済学を学んだ。イタリア本国のエクテール社に入社した。見た目はハーフというより、何も言わなければ、日本人に見える。英語はさておき、日本語ができるからその点が評価されたのだと自己診断していた。転職はしていない。若いときも50歳になった今も体型はあまり変わらない。1時間くらい歩くことを心がけているし、マンションのリビングにある一体型筋力マシンも毎日利用している。いい男ではないが、細身である。デブではないので、マアマアな男と自己認識していた。ビジネス上容姿で支障を来たしていないようなので良かったと思っている。38歳での離婚後インドネシアに転勤して、3年後からは日本で仕事をしている。細身である本当の理由は、小食だからである。特に結婚生活に起因して少食になっている。また、仕事内容も大きな影響をレムに与えていたことを認めたくなかった。


日曜日の夜、レムは飯田橋のBAR闇の中で葉巻をカウンターで燻らせていた。このBARはとにかく真っ暗なお店で、自分を見つめ直す場所として最適である。自分がしてきたことで街がどうなってしまうのかと想像を巡らしていた。ドライマティーニを注文した時、真っ暗な暗闇に人間の目が慣れてきて、恵美さんが座っているかもしれないとドキッとした。もし、そうだとしても、この暗闇の中ではお声がけするのは控えよう。話しかけたいのは山々だけど。恵美さんも自分を見つめ直すためにここにいらっしゃるのだろう。

恵美さんが、トイレの際に、席に戻る時に、私を見つけた。レムの席の隣が空いていたので、恵美さんは席を移動してきた。その後2人は4人がけの席に移動したが、なにもことばをかわさず、ただ葉巻を吸い、ドライマティーニを飲んだ。恵美さんには、グアテマラ産の葉巻を試してもらった。恵美さんは何も言わないで、ドライマティーニを飲み、葉巻2本を吸った。レムはカクテル3杯を飲み葉巻3本目にはいっていた。店のお勘定はレムが支払った。ふたりで店を出た。

どちらかが誘うのでも誘われるでもなく、近くのラブホテルに2人は入った。




最初は、シャワーを浴びずにセックスした。2回目はシャワーを浴びてもう一度セックスをした。激しいセックスだった。レムは、皆がどうしているのか知る由もないが、どのイタリア人よりも恵美さんは激しかった。


ベッドに裸で横たわっている恵美さんは胸を掛け布団で隠しながら、話を始めた。

「20代の初めに結婚をした。旦那は中肉中背のこれと言って特徴のない地方公務員でした。学生からのお付き合いで、そのままゴールインした。あの人は普通の人ってよく表現されるけど、あんなに見た目普通な人はなかなかいない。なにかどこかしら際立った特徴があるものである。セックスもそんなに経験はないけど、普通の人だと思っていた。まさに普通のひとであった。一つのことを除いて。

男の子も生まれて、よくある幸せな家庭に見えた。恵美は外資系企業で働いていた。旦那は地方公務員なので、子どもの世話を柔軟に見てくれていた。もうひとり産もうかなと。もう息子は5歳になったし、子育ても次の段階に行ってもいいかなとおもっていた。

そんな時だった。夫婦の洋服ダンスは別々の管理になっていた。旦那のタンスはノータッチだった。お互いに触らない約束だった。いつも、協力的なので、たまには少しヘルプしようと旦那のタンスに下着を入れてあげようとすると、奥に黒と朱の白い線が目立つ小箱があった。恐る恐る開けてみると手錠のようなものが2つ出てきた。それとローションが2種類あった。一瞬ポカンとなった。息子が帰ってきて、ズボンとパンツを脱がせて肛門をみてみた。赤く腫れていた。

旦那が息子をお風呂に入れる係だった。息子のおしりの状態には注意していなかった。ベッドの金属フレームにも、傷らしいものがあった<何かにぶつかってできたのかなとしか思わなかった>。夫が息子を犯している光景が見に見えた瞬間、ギャーと大声をあげた。声が途切れるまで、ギャーと息子を抱きしめて、声が出なくなるまで泣いた。その時は近くに住んでいた母に息子を引き取りにきてもらった。旦那は自分の計画をバレないように実行していた。私にいつも合わせてくれた。何でも私の意思を尊重してくれた。息子は無表情になっていった。食事の時、一緒に寝る時、歩いている時、異変に気づかなかった自分を呪った。

ただ平穏な結婚生活に甘えていて、なにもわかっていなかった。

旦那が帰宅して、問い詰めるとすんなり白状した。私の結婚生活は終わった。」

「それから、私はヘビースモーカーになった。お酒を飲みすぎて酔っ払うとあの箱を思い出してしまう。麻薬は手に入らない。もし、手に入っていたら、今頃は刑務所にいただろう。今みたいに笑顔でいるのは、昔からずっとではないの。あれから、口を広げて笑い顔に矯正して笑顔でいるようにしている。面接では暗いから採用できないといわれたことをきっかけに、笑顔づくりを矯正した。でもレムさんに知り合えてお話できたのも、ファリアで、バイトできるのも作り笑顔のおかげだと思っている」


次はレムの番かのように、レムが話し始めた。

「25歳の時、離婚することになる妻アデーレに会った。スラッとした黒髪で緑色の目の超絶美人だった。女優さんかモデルさんにちがいないと思ったほどだった。なぜ私とお付き合いするのか不思議だった。大好きな彼に振られた後だったからか? 男日照りを解消したかったからか?としか思いつかなかった。とにかく美人だったので。私はつなぎなんだろうとしか考えていなかった。でも、アデーレはわたしの笑顔になぐさめられているとしばしば言ってくれた。レムの笑顔が大好きですと。そして結婚までいってしまった。レムは見た目だけでゴールインしてしまった。普段はスンとしていたが、たまにする笑顔にたまらなく惹かれてしまった。若い時だったから、それも仕方ないことだろう。見た目に惚れたのである。でも、それもすぐに破綻することになる。アデーレは、浮気というか他の男と関係を持ち続けた。一度きりだったり、何回もだったり、相手は若かったり、中年だったり、女性とも関係をたまにもったようだった。でも、アデーレにはアデーレのルールがあった。浮気男とは、膣でのセックスはしていなかった。必ずゴムを付けたアナルでの行為だった。膣でのセックスはレムとしかしていないと主張していた。アナルでは妊娠することはないし。それとキスもレム以外とはしなかったと。これはあなたへの愛の証ですとレムをきつく抱きしめて言ったこともあった。これはお遊び時の彼女のルールだった。だから許してください。ということではないらしい。彼女なりの妻の貞操を守っているとのことだった。アデーレは8歳くらいまで父の性の相手だったが、自分だけ黙っていればすむことだと思っていた。母は今でも何も知らないはずである。酒や煙草、ヤンチャもしたけど、アデーレの場合は、セックスで子供の時の行為の悪夢をごまかして生活をしていた。ポルノの世界に入る人もいるそうだけど、アデーレはその世界には入らなかった。アデーレは魅力的だったし、男には不足していなかった。レムは心の痛みを受け入れていたが、アデーレと子供を作る気もなくなってしまったので、次第に心が離れて別れてしまったのは必然だった。」会社で、マネージャーとなり、悪い行いをするようになっても、これは仕事なんだからと自らを欺いていけるようになっていた。




2人は、メールアドレスも携帯番号も交換はしなかった。勤務している場所も会社名もお互いに外資系に努めていること以外は知らなかった。ショコラや闇の中で偶然あった時、誘ってみて行ってみたいところが合致していたら、一泊旅行にいったり、日帰り旅行したりした。必ずセックスを伴う関係でもなかった。ファリアでは、2人はただお客と店員の関係であった。オヤジは二人の奇妙な関係に気づいていなかった。外で会った時には、中南米産の葉巻10本セットを恵美さんに進呈することがレムの決まり事だった。私はお金にそんなに困っていないから。どうせ吸うなら品質の良いのがいいよと美味しいし香りをたのしめるからと手渡していた。恵美さんのスモーキングの世界に協力していたことになるのかもしれない。パートナーが、同居なのか別居なのかも知らなかった。パートナーがいるとのことだけど、恵美さんもレムも彼が存在していないかのようにお付き合いしていた。

恵美さんのパートナーはどう考えているのか?お互いの行動を監視しない関係なんだろうと勝手にレムは決めつけていた。>




金曜日の夜おそくに、ファリアに言ってみるとオヤジがいた。

次の金曜日もファリアに行ってみた。恵美さんは来ていなかった。

オヤジが、他のお客に恵美さんが震災の時に神戸市にいる母親を訪ね、母親と犠牲になってしまったと話していた。息子さんは夜釣りで神戸港にいて、地震で直撃されなかったので助かったとのことだった。レムの耳にも入ってきていた。でも、オヤジはレムにも説明してくれた。無表情に聞いていた。お悔やみを申し上げますとも一言も発することができなかった。大手ビール会社のビールだけを4杯飲んだ。お惣菜を口にできなかった。その日は北千住の自宅まで歩いて帰った。


息子さんと母親が神戸市に住んでいることをレムは知らなかった。恵美さんもその時帰省していることももちろん知らなかった。


神戸地区で大地震が発生した時、それを知っていたとしても何も教えられなかったであろう。レムは恵美さんになにも教えられない。教えたら、恵美さんもレムも首を絞められた後自宅のドアノブに首をつって自殺を装われることになるかもしれない。

神戸の大地震は、政府、官僚、大手建設会社と連携をとって、レムがバチカンの指令のもとにした共同作業である。

人工地震兵器(HAARP)の攻撃チームの一員であった。

山崎の30年ものをロックグラスにそそいで、一気に3杯ストレートで飲んだ。自宅で葉巻を燻らしていると涙がこぼれた。



その日の夕方、「ご苦労様でした」とバチカンとイタリア本社から、ショートメッセージが届いていた。すぐに送らないのが彼らの流儀だ。


週刊誌に実録震災と記事が出ていた。十件以上の実例が記載されていた。祖母と母は倒れた木造住宅の下敷きになり、息子が救出しようとしたが、火の手が迫っており、母から、あなただけでも助かってと言いながら、炎の中に消えた。息子は諦めて、自分だけ逃げたという記事をレムは読んだ。その光景をなんども頭で想像していた。焼け死んだとしたら、痛かったのだろうな。


恵美さんは、息子が旦那に犯されたことに向き合って生きていくために、スモーキングで心を慰めているとレムは考えていた。

恵美さんの息子は、神戸港で、夜釣りをして、壊れた心と向き合っていたのだろうか?夜釣の習慣が命を救ったのかもしてない。

アデーレは父親に弄ばれ、多くの男と関係をもって、心を平穏に保とうとしていた。

アデーレの父も、幼児を無理やり犯すように、ディープステートに拳銃を突きつけられ、子供とセックスする映像と取られて、脅された人生だったのかもしてない。ディープステートのやり口をSNSで知った。彼らは習慣を強引に共有させるのか?その行為にアデーレの父親は快楽を得てしまったのか?最終的に娘さえおかすようになってしまったのかもしれない。彼は何を慰めの材料としていたのだろうか?麻薬か酒か男か?

レムは、前妻の浮気に「人生にはそんなことがあるのかもしれない」とないと葉巻を燻らせて自己を欺瞞していた。

そして、人工地震を発生させる仕事を誰かがしなけれいけない仕事と受け入れ、多くの人の命を殺めることで、たくさんのお金をもらい、葉巻と酒に浸って生きていくしかないだろう。それから逃れるためには自らの命を断つしかないと。



数日後、仙台に事務所を構える準備を始めるようにと業務命令がバチカンから来た。いつもキーとなる時はバチカンから連絡がくる。次の勤務地は東北だった。さすがに(イタリア語が上達した)理沙さんは東北にはいかないだろうが、今度事務所に来る金曜日に話してみよう。



米米 

このストーリーはインターネットに流布している話を参考にしたフィクションである。各々の内容が事実であるとは限らない。

米米

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