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欲望の化身  作者: 鳥串砂肝
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第1話 勝乎とマンチン part2

欲望の化身 勝乎とマンチン part2

お読みいただきありがとうございます。

正直素人で編集に苦戦しております。

読みずらいところが多々あるかと思います、取り敢えず、サブタイトルと本文の最初に、話数とpartを入れておくので、それで確認してみてください。

編集ってむずかしいです・・・。

勝乎とマンチン part2



授業が終わり、生徒達は思い思いの放課後を過ごす、友人や恋人同士で、教室に残り語り合う者達、部活に青春を捧げる者達、塾やバイト、遊ぶ為に帰宅する者達。


1人1人、価値観や過ごし方は違えど、今日も学校では平穏な時間が流れていた、が、ただ1人だけ肩を落とし、顔面に頭突きを食らった様な心境で帰路につく者がいた、三浦勝乎である。


昼休み、担任に呼び出され職員室に向かうと案の定、出席日数がこのままのペースで行くと、足りなくなると警告されたのである、更にこう続いた。


「家の事情は勿論知っているが・・、一度里親さんに来てもらう必要があるな、帰宅したらこの封筒を里親さんに渡し、中を確認してもらい学校に連絡する様に伝えなさい、いいね?。」


「了解っす・・。」


・・ブルーな気持ちで1日を終え、今に至っていた、教室を出た所で房子に。


「いや、ホントに大丈夫?。心配なんだけど・・。」


と真顔で心配されたが、不気味な笑顔で房子と適当な挨拶を交わして学校を後にした。


駅までの道を歩き、電車に乗り、車窓から景色を眺めていた、いつも通りの帰り道、大きな川に掛かった鉄橋の上を電車が通過していく、太陽の光が川の水に反射しキラキラと綺麗に見えた。


その時、何気なく川岸を見て勝乎は言葉を失った、遠目からでも分かる位の異形、宇宙人の様なものが自分の方を見ていたのだ。


(っ、えっ!?えっ!?何だあれ?コスプレ!?じゃねえよな小せえし!?。ちょ!?ちょ!?)


通り過ぎてしまい呆気にとられる勝乎、いてもたってもいられず、次の駅で降り、例の生物が居たであろう場所に辿り着いた・・が、その付近には誰も居なかった。


(はぁー、何やってんだ俺は、見間違いに決まってんじゃねーか、疲れてんだよ・・馬鹿らしい、宇宙人だなんて、それよりも啓子さんに・・。)


気を取り直し、駅に向かおうとしたその時だった。


「うん?お前、俺が見えてたのか?。」


びくっ!?


勝乎が驚いて振り返ると誰も居ない。


キョロキョロしていると、うん?、と足元の方から声が聞こえた、地面の方を見ると、そこに居たのは、自身の膝の高さ程度の小さな生物だった、その姿は・・。


2頭身で、小さな身体には腕と脚がついており、手足は丸まっている、頭部は少し大きめで耳が尖っている。


頭の先が細っていき、先端は豆の様になっている、円らな瞳だが、なかなかに鬱陶しい顔立ちで、体の色は白っぽいピンク、質感はコラーゲンの様な合成樹脂のゴムの様な、大人のジョークグッズのような・・とにかく奇妙な・・。


(こっ、こいつ・・なんてヘンテコな生物なんだ!?何なんだ?こいつは!?。)


勝乎は言葉が出なかった、いや、出せなかったのだ、するとその生物が。


「うん、どうやら見えてる様だな、俺の名前はマンチンって言うんだ、うん。」


(マンチンだと!?名前までヘンテコに聞こえるぜ!?、ちょとやらしい感じ・・つーか!?そもそも何で、人間の言葉をしゃべってんだよコイツ!?俺を襲う気か!?。)


恐怖のあまり言葉がでず、冷や汗をかき呼吸が上手くできない・・。


続けてマンチンが。


「俺が見えてるって事はお前・・うん!?ほぉ!?、これは・・なかなかにいい素質だ・・うん。」


(・・・何言ってんだコイツ?何の話だ!?。)


勝乎は状況を呑み込めずにいた、突然現れた妙な生物、自分が見えるだの素質だの訳がわからない、そんな勝乎に構わずマンチンは続ける。


「うん、やっと見つけたぞ、俺と好相性の生物が、少し頭悪そうな奴だがここは我慢だ、お前、名前は?うん?。」


勝乎は少し苛ついたが、唾を飲み込み恐る恐る答えた。


「・・三浦勝乎。」


「三浦勝乎うん?変な名前だな、うん。」


(変な名前はねぇだろうが!!お前の名前の方がよっぽど変じゃねぇか!!。)


「うん、三浦勝乎??、だっけ?・・顔を近くに寄せてみろ、うん。」


「・・お前みてぇな得体の知れねぇ生物に、なんで面寄せしなくちゃなんねぇんだよ、ふざけてんのか?。」


瞬間、マンチンは飛び跳ね、勝乎に頭突きした。


ゴッ・・


中々にいい音である。


ドサッ・・


勝乎は地面に倒れた、が、直ぐに起き上がり、マンチンの触覚を掴み顔を寄せた。


「いきなり何しやがんだてめぇ!?あたま割れたらどうすんだこの・・やろ・・!?なんだこりゃあ!?。」


勝乎は驚愕した、自身の額とマンチンの額が、蒼白い光で繋がっていたからだ、それから程無くして、光は消えていった。


「なっ!?何しやがった!?。」


「うん、唾づけだ・・仮契約ってヤツだ、これでお前は俺と本契約するしかないぞ、うん。」


勝乎は、例えようのない恐怖と後悔に支配された、この気味の悪い生物に自分は何をされたのか、奇妙な生物を見てしまい、挙げ句興味本意で近づいたが為に妙な事態を招いてしまった・・後悔先に立たず・・取るべき行動はひとつである。


(仮契約だの本契約だの訳がわかんねぇんだよ!こんなのと関わってられるかぁ!。)


勝乎はマンチンを、そのまま川に投げ捨てた・・。


ぶんっ!。


・・ボチャッ。


「うんこらぁ!何するんだぁー!うん!。」


勝乎は脇目を振らずその場を走って、後にしたのだった。


「うん!いや、助けろよ!うん。」




勝乎はマンチンと別れた後、駅には向かわず、自宅まで歩きながら考える事にした・・、直ぐに自宅に戻る気にはなれなかったので、自宅まで気晴らしに歩く事にしたのだ。


今いる場所から、直線距離にして大体3~4㎞程度で、歩くのには丁度良さそうだ。


10月中旬になり、暑さが漸く和らぎ始めてきた、吹く風はほのかに冷気を帯びてきた、気がする・・少しずつ秋の気配を感じる様になってきた。


勝乎は歩道を歩きながら思案していた、ここ最近、敵グループとの勢力争いが激しくなり、小競り合いが増していること、学校での大和竜二との会話も、出席日数の事で教員に念を押された事も、マンチンと言う変な生き物の事も、依存者だとか化身だとか訳の解らない話の事も・・頭がどうにかなりそうだ。


数ある脳内情報の中で、一番ウェイトをしめているのは、出席日数だ。


彼には留年できない訳があり、それは彼の生活環境が影響している。


彼が今住んでいる家は、彼の本当の家ではない、住んでいる家族も、血の繋がりはない・・・里親である葉山啓子(はやまけいこ)に引きとられ、もう6年程経過していた、血の繋がらない自分を、実の子の様に育ててくれた・・。


時には優しく、時には厳しく、多少無茶な一面はあるが、勝乎は心の底から、里親である啓子に感謝し、尊敬しているのだった。


なので勝乎は、早く自立して、いつの日か啓子に恩返ししたいと考えているのだ。


ここで留年してしまえば、恩返しどころか、啓子に色々と迷惑を掛けてしまう、彼なりに悩んでいたのである。


・・正直、依存者だとか化身だとかは、喧嘩で頭を打ちすぎた所為で、軽い幻覚を見ていたのではないかと、思い始めていた・・。


抗争に関しては、人数ではこちらが圧倒的不利だが、勝乎は今回も何とかなると信じて疑わない、アイツと一緒なら、どんな困難にも立ち向かえる、と。


そんな事を考えていると、早いもので自宅のマンションに着いてしまった。


「ふぅーー・・すーー・・。」


呼吸を調えてから、マンションのエントランスに入り、中を進む、集合住宅用のオートロック操作盤を操作し、自動ドアを開く、そこを過ぎるとエレベーターがある、それに乗って7階に上がったら外廊下を歩いて一番奥の部屋まで歩き、部屋の前で止まった。


勝乎は、もう一度深呼吸してから、鍵穴に鍵を入れ、解錠してドアを開けた。


「・・ただいま・・啓子さん居る?。」


(返事がない、不在か?。)


勝乎は少し残念に思った、こういう事はなるべく早く、素直に打ち明け、謝るのが一番だと彼は考える、待つという時間が一番辛く苦しいからだ、が、不在ならば仕方ない。


靴を脱ぎ、玄関を上がり、通路の一番手前側の自分の部屋に入る為、ドアノブに手をかけた、その時。


ガチャ・・


突然、奥の方の部屋から、30代半のメガネをかけた女性が、ヘッドフォンを首に引っ提げ、ジャージ姿で現れた。


びくっ!?


「あれっ?勝乎じゃん、お帰り・・どうしたの?。」


(びくったぁ~~!?。)


勝乎は気持ちを落ち着けてから口を開いた・・。


「啓子さん・・本当にすいませんでしたぁー!!。」


ガバッ


土下座し頭を下げたそのままの勢いで。


「自分の不注意で、出席日数を学校から警告されましたぁ!!つきましては啓子さんにも、学校にお越し頂きたく・・、すいませーん!!。」


ピクッ・・


啓子の眼底筋が少し動いた。


「・・ここで話もなんだし、リビングに移動しましょう。」


勝乎は恐る恐る顔を挙げた、啓子は安らかに微笑んでいた、だが、所々顔面がピクついているのは明らかだった。


促されるまま、リビングに移動した、広さは12畳程と言ったところだ、綺麗に清掃が行き届いた室内は、4人掛け用の食卓と椅子、2人掛け用のソファ、ガラスのソファテーブル、壁際には最近出始めた大きめの薄型テレビと音響システム、全体的に趣味の良い落ち着いた部屋模様、生活水準の高さが伺える。


2人は、食卓用の椅子に向かい合う形で座り、話を再開した、啓子は微笑みながら言った。


「さて・・勝乎、詳しく聞かせてほしいんだけどさ、つまり何?私に学校に出向いてくれと?そう言うのね?。」


ゴクリっ・・


勝乎は唾を呑み、仰る通りです、と答えた、瞬間、部屋の空気が張り詰めた。


啓子の顔からは、優しかった微笑みが消え、不気味な微笑みにすり替わった。


「あのさ・・、あたし以前から口を酸っぱくして言ってたよね?学校通うのはタダじゃあないんだよって・・勝乎、あんたはあたしの話をちゃんと聴いてたの?ん?。」


勝乎は、返す言葉も見付からなかった、ただひたすらに下に目を向けていた・・そして教員から渡された封筒を、徐に啓子の前に差し出した、目を合わせずに、これを、と。


啓子は、不機嫌そうに封筒をとり、封を切った。


中身を取り出し、書類を確認する、勝乎はチラッと啓子の顔を見た、不気味な笑みは消えていた、眉間に皺を寄せ、書類に目を通している。


心なしか悲しそうでもある、暫くして啓子は。


はぁー・・


と、ため息をはき、勝乎を哀れむ様な目で見据えて言った。


「ねぇ勝乎、あんたももう16よね?このままでいいわけ?あたしに迷惑が及んでる事は、正直仕方ないわ、里親になるって決めた時点で、多少の事は覚悟してたから、でもね。」


啓子はじっと勝乎を見つめた。


「家に来た当時のあんたはオドオドしててさ、悪さ1つ出来ないような、可愛らしいヒョロガキだったじゃない、それがいつの頃から、あの子と一緒に他所で喧嘩に明け暮れるようになった、あの子の影響受けてるのは分かるわ、家族だもの、だから。」


勝乎は、手を前に出して、啓子の目を真っ直ぐ見つめて、キッパリと言った。


「啓子さん、ハッキリ言いますけど透は関係ないんすよ、まぁ、確かに俺もアイツも喧嘩ばっかしてるし、言う通りガキの頃に比べて、俺は喧嘩っぱやくなりましたよ、けど。」


「けど、何?喧嘩したり出席日数足りなくなるのは、全部自分の所為だと言いたいわけ?そんなわけないじゃない、あんたはあの子の影響で・・。」


勝乎は強い口調で割って入った。


「ちがう・・!俺がアイツに救ってもらったんだよ、アイツがいなかったら俺は今、こうして人並みの人生を送れちゃいないよ、影響受けたってのは、まぁ、間違いじゃねぇけどな、アイツが俺を変えてくれたんだ、だから・・。」


「勝乎・・あんた・・。」


「まぁー、啓子さんに一番迷惑かけてんのは変わらないんですがね!つー訳で啓子さん、学校に出向いて、担任と話して貰えないですか?お願いします!。」


説き伏せる様に、啓子にお願いした勝乎、啓子は少しピクついて、ため息をついた。


「わかったわよ・・そういう事にしといてあげる。」


そう言うと、ジャージのポケットから、ストレート携帯を取り出し、操作し始めた、その時だった。


ガチャ・・。


玄関が開く音がした、それから暫くしてリビングのドアが開いた。


入ってきたのは大きな男だ、身長は190cm近くあるのではなかろうか、学生服の上からでも分かる筋骨隆々な肉体に、ガッシリ噛み合った顎に鷲の様に力強い瞳、鼻筋がしっかり通っており、何処か中東系のイケメンを彷彿とさせる、髪は少し長めのウルフカットで全体的に茶髪、根本が黒い事から染めている事が分かる。


彼の名前は葉山透(はやまとおる)、啓子の息子で、現在勝乎が通う高校の3年生である。


勝乎が所属する不良グループの頭で、勝乎にとっては正に兄貴的な存在だ。


「ただいま、なんだ2人ともいるじゃねぇか、丁度良かった2人に話があるんだ。」


「話しって何よ透?、今これからあんたの通ってる学校に、連絡しなきゃなんないのよ・・ちっ・・アドレス帳に登録されて無いわ・・面倒臭い、えーと・・タウンページ何処だっけ?。」


「ちょっと待てお袋、学校に連絡だと?どうしてだ?。」


「この子の出席日数の事で、学校に呼びだされちゃたのよ・・一度連絡寄越して下さいだって・・あー、あったあった・・学校の電話番号は・・。」


すると透が思いがけない事を言い出した。


「まてお袋、俺もだ。」


「「えっ?」」


2人の間の抜けた声か重なった。そして啓子が聞いた。


「俺も・・ですって?なにがよ?・・っまさか。」


透は勝乎同様、書類を啓子に渡した。


中身を確認した啓子の表情がみるみる険しくなっていった。


「今朝登校したら担任から渡されてな、出席日数がどーのこーの言ってたような気がするが・・それ見せて親に学校連絡させるようにと・・?お袋?どうかしたか?。」


ピクピクっ・・


啓子は爆発寸前だった。


(このガキ供がぁ~!!揃いも揃って学校連絡してくれだの来てくれだのふざけんなぁ!!。)


その時、空気を読まず勝乎が透に笑いかけた。


「あっはっは!お前もかよ透!奇遇じゃねぇかよなぁー、お互いマジで災難だよなぁ~、」


ぴくっ・・


「災難・・ですって・・誰が?。」


勝乎は顔面蒼白した、啓子は再び不気味な笑みを浮かべていた、そこへ透が火に油を注いだのだ。


「おいおい、お袋・・そんなにキレると老けるぜ。」


勝乎は絶句した。


(ヤバイ!何て事を言うんだこの馬鹿!。)


「へえ~、私の事を皺くちゃのオバサンだと?、あんたはそう言いたいのね?透?。」


「落ちつけ、そうは言ってねえよ、ただ、顔に皺が増えるから注意しろと・・あっ、同じか。」


透と勝乎は空気が読めず、啓子を怒らせてしまった、啓子はジャージのポケットから、煙草の箱と100円ライターを取り出し、煙草を1本取り出し咥え、火を着けた。


ふー・・


煙草を吸って落ちついてくれれば・・。


勝乎は期待したが、世の中そんなに都合よくは出来ていない、誰だって怒る時は怒るのだ。


「何が同じよ!やってらんないわよ!あんた達の事なんてもう知らないわ!勝手になさい!。」


啓子は怒って部屋を出て行こうとした。


「待って啓子さん!透も悪気があった訳じゃあ・・。」


勝乎は止めようとしたが、流れる様な動きで、リビングのドアを開け、そのままの勢いで、外まで出て行ってしまった。


・・途中何かにぶつかったのだろう。


「痛ぁ!!。」


と、叫び、何処かに行ってしまうのだった。


・・啓子は図星を指されたのだ、啓子はかなりの美人だが、自身が最近、年を取った事を自覚していた、小皺が増えてきたので、化粧品を替えて、色々試してはいるのだが、あまり効果は表れていない様子だ。


普段彼女は、物書きの仕事をしており、人前に出る機会が少ない、部屋の中では化粧をしないので、余計に目立ち、気付いてしまうのだ。


啓子を怒らせてしまった2人、勝乎は。


「おい透、啓子さんに謝りに行った方が良くねえか?・・啓子さんに機嫌直して貰わねえと、俺達の出席日数が・・。」


透は、やれやれ、といった感じで。


「ほっとけ、最近原稿の上がりが悪いだかで、機嫌悪かったんだよ、どうせパチンコ屋にでも行ってんだろうよ、朝までには戻ってくるよ・・それより勝乎。」


透の声が何処か緊張している、それを察した勝乎は、とりあえず啓子の事は置いといて、透との会話に集中した。


「おう、そういや話があるって言ってたな、なんだ?・・連中の事か?。」


「そうだ、連中いや、【デスサイズ】は1年程前に突然現れた新興勢力だ、当時は知名度も低く、周りのグループからはカモにされている印象だったが、ここ数ヶ月で組織は異常な程拡大している。」


「そうだったな、確かに・・壊滅したグループが寄せ集まって出来たってのは聞いてた、現に昨日の抗争で、以前潰したグループの奴等を何人も見かけたからな・・大和の野郎もそうだしな。」


「大和?確か隣街のグループのリーダー格だったな、お前と同学年の、胸糞が悪くなる連中だったのは覚えている。」


「その大和がよ、今朝方俺の前に偉そうに現れやがってよ、俺とお前を必ず後悔させてやる、とか抜かしやがってよ、ムカつくぜ。」


透は少し顔を曇らせながら聞いてきた。


「確かにそう言ったのか?そいつ。」


「ああ?、言ってたぜ、ニヤニヤしながらよ、生意気な野郎だぜ、周りに人居なかったら間違いなくぶっ殺してるぜ。」


「・・そいつに何か変わった所はなかったか?、例えば・・空気がいつもと違うとか、凄みが増していたとか・・どうだ?。」


「ああん?どうしたんだよ透?訳解んねえ事聞いてよ、・・まあ、そうかもな、言われてみれば、確かに今朝は何時もと違うような・・自信に溢れていた様な・・気がしないでもない。」


「そうか・・。」


透は少しの間、思案した、そして勝乎を観察するように見始めた。


勝乎はマジマジと見られる事がこそばゆい様子だ。


「な・・、なんだよ透・・俺に何かついてんのかよ・・あんまりジロジロ見んなよ、妙な奴だな。」


他人には決して言えないが、初めて出会ったあの日から、透に対して特別な感情を抱いている自分自身、薄々気付いている勝乎、こんな事他人に知れれば、どうなってしまうやら、ましてや本人に知られたら・・勝乎は込み上がる感情を無理矢理抑え込んだ。


「いや・・、考え過ぎだな、だが用心しておいた方が良さそうだな。」


「何がだよ?。」


透は力強い眼差しで、勝乎に対して。


「勝乎、お前は暫く単独行動は控えろ、特に夜は外出禁止だ、行動する時は必ず俺に声を掛けろ、それと、俺が指示を出すまで【スターディング】内での集会は当分禁止だ、どうしても連絡をする場合は携帯を使え、いいな。」


「何でだよ?意味わかんねぇって、奴等が人数揃えて、襲って来るかもしれないって事か?考えすぎだぜ透・・。」


「兎に角だ、夜中の集会や徘徊は、俺が許可するまでは許さん、これはスターディングの頭としての命令だ・・いいな?。」


そう言い残し透は、リビングを出て自分の部屋に入っていった、ポツンと取り残された勝乎。


「何なんだよ、マジ意味わかんねぇ、頭がごちゃごちゃだ・・っうう・・。」


勝乎は昨日から、ろくに睡眠をとっていなかったからか、急激な眠気に襲われた。


(あっ、やべぇな眠い・・部屋で少し寝るか・・。)


自室に戻ると勝乎は、制服をデスクチェアの上に無造作に脱ぎ捨てた。


ベッド下の収納に入っていた、ライトスウェットに着替え、ベッドに潜り込み、抱き枕にしがみつき目を閉じた、生暖かな体温の心地良さが勝乎を深い眠りに誘うのだった・・。





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